GW恒例の遠征。
一日目は、みちのく120山の一座、湯ノ沢岳に登ってきました。
湯ノ沢岳は庄内平野の南にある山で、鳥海山や月山の展望台とのこと。
どんな山なのか楽しみです。
それでは行ってみましょう!
庄内あさひインター近くから山手へと入っていくと未舗装の林道がある。
狭いがよく整備された林道なので普通車でも問題なく走れるだろう。
砂防ダム前が駐車場になっている。
さらに先へ進むことも可能だが、道が悪くなるし耕作地もある。
地元住民の邪魔になるので入らないほうがよいだろう。
というわけで、砂防ダム前に車を駐め橋をわたって入山する。
橋の袂にはお社があり旅人の安全を見守っている。
「行ってくるっぺ!」
最初は耕作地の中を行く。
開拓記念碑が誇らしげに設置されている一方で、耕作されていない場所も散見され寂しい気持ちになった。
集落から離れた不便な場所だし、それも仕方がないのか。
春の花がお出迎え。
「かわいいっぺ♪」
耕作されずとも自然の花は元気いっぱいに咲いていた。
幅広の道は登山道というより林道っぽい。
昔は林業などで車両が入ってくることもあったのかもしれない。
なんと、車がいた!
まだ現役の車道だった。
数台の駐車スペースと展開所がある。
登山道としてはここは一合目にあたる。
一合目から先は完全に登山道となる。
さっそく急な登りが始まった。
「権現ブナ」と名付けられた捻くれた姿のブナがあった。
なぜこんな姿になってしまったのか。
「権現っていうよりタコだっぺ。大王蛸」
権現ブナの傍らは休憩スペースになっている。
視界も広がるが今日は春霞が…いや、黄砂かな?
景色は白く濁ってしまっている。
権現ブナのところで一旦緩くなったと思ったが、登山道はそこからさらに傾斜を増していく。
「落ち葉が滑って歩きにくいっぺ~」
あまり歩く人がいないのか道床には落ち葉が厚く堆積している。
この葉っぱがまた滑るやつなのだ。
急登の先には痩せ尾根が待ち構えていた。
木が生えているからさほど高度感はないが、両側ともにすっぱり切れ落ちている。
谷も深く、万が一落ちたらただではすまないだろう。
尾根が細くなりすぎて上を歩けない場所はトラバースで超えていく。
このトラバースがまたいやらしい。
雪が残っていたら怖かったことだろう。
一応アイゼンは持ってきているが、雪が溶けていてよかった。
ここは五合目。
行く手の視界がひらけてきた。
標高のわりに高い木が少ない。
雪崩にやられて大きく育てないのだろうか。
豪雪地帯の自然は厳しい。
湯ノ沢岳本体が見えてきた。
1000mに届かない山とは思えないほど堂々とした山容だ。
そこへ至る登山道もまた里山らしからぬ険しさ。
鎖やロープが張ってあって助かった。
これがなければ難易度はさらに上がっていたはず。
一旦傾斜が緩んだ。
ここで少し休んでリフレッシュだ。
権現ブナ以来久々に安心して休める場所だ。
「下りのことを考えると早くも憂鬱だっぺ」
「滑るのが…ねぇ…」
トクワカソウが咲いてた♪
スミレも♪
花を見て一息ついた。
しかし再び始まる痩せ尾根。
気を引き締めていこう。
またいやらしいトラバース区間だ。
右に落ちたら死亡確定なので慎重に。
「下りが怖そうだっぺ…」
山肌が雪崩に磨かれている。
岩手だと里山レベルだとまず見ない地形だ。
尾根筋上部は小さなアップダウンが連続する。
ひとつコブを越えたと思うと、また次のコブといった具合。
GPSの軌跡もジリジリとしか進まない。
ここは我慢のしどころだ。
ようやく湯ノ沢岳本体が射程に入ってきた。
山頂付近には雪が残っていそうな気配がする。
あまりややこしいことになっていなければいいが。
振り返って一枚。
この尾根を登ってきた。
こうして見ると、それほど険しいようには見えんのだがなぁ。
右手に見えるのは明日登る予定の母狩山方面へ続く尾根だ。
一気に縦走できる足があれば手っ取り早かったのだが、我々の力量では無理がある。
「無理は禁物だっぺ」
蟻の塔渡り…とまでは言わないが…
落ちたら死ぬ。
気をつけよう。
「人生ボッシュートだっぺ」
ようやく9合目に到着した。
ここで母狩山方面からの縦走路と合流となる。
我々も南へ進行方向を変える。
見立どおり山頂直下には雪が残っていた。
さて、登山道はどうなっているかな?
ショウジョウバカマ発見!
セリバオウレン発見!
このあたりはまだ春浅い。
山頂まであとわずかというところで登山道消失。
どこでも歩けるからかえって楽かも。
ザラメ状に緩んだ雪の上をキックステップで登っていく。
「山頂着いた~」
「テンション低いね」
「だって、この虫の数…」
「…うむ…」
「うわ、めっちゃたかられてる」
「!! fyぐいじょpk@l!!!」
「早く帰ろう!」
月山の展望台なんだけどねぇ…。
虫さえいなければゆっくりコーヒーでも飲みたかった。
虫に追われながら下山を急ぐ。
足元が険しく、下りでも速度が上がらないため虫を振り切れない。
転がるように坂を下って虫から逃げる。
樹林帯に入るとテリトリーが違うのか虫の追撃も落ち着いてきた。
ようやく人里だ。
「ひどい目にあったっぺ…」
無事下山。
「お疲れさまでした~。精神的にやられたっぺ…」
初めて登った湯ノ沢岳。
里山と侮れない険しい登山道を息も絶え絶えに登ると、そこには残雪と展望の絶景が待っていました!
…が、ものすごい数の羽虫にまとわりつかれ休憩もそこそこに逃げるように下山してきてしまいました。
比較的虫は平気な私ですらおぞましいと思ってしまうほどの数の羽虫…。
ツートンの表情は曇りっぱなしでした。
ごめんね、こんな時期にきた俺が悪かったよ。
「山頂に着いたあたりからの記憶が無いっぺ」
「転げ落ちるように下りて来たからねぇ。もう虫対策必須だね」
おしまい
詳しいルートなどについてはヤマレコにて