今回は盛岡市と岩泉町の堺にある御大堂山に挑戦です。
この山には今まで二回挑戦していますが…。
いや、正確には二回挑戦しようとしていますが、いずれも入山もできずに敗退している因縁の山であります。

一度目は残雪期に松草側から挑もうとしたものの、すでに雪が切れていて敗退。
二度目は同じく残雪期に大志田側から挑もうとしたものの、林道の途中で車が故障して敗退。
今年も暖冬少雪で、県道が開通する頃には雪が溶けてしまっているだろう…。

ならば厳冬期にチャレンジだ! ということで県道の冬季通行止め区間を避けて岩泉側から大きく回り込み櫃取湿原付近から入山することにしました。
直線距離なら自宅から30kmも無い山なんですが、アプローチに100kmも車を走らせる羽目になりました。
それでは因縁の御大堂山、行ってみましょう!




櫃取湿原の通行止めゲート前から林道に入る。
いくら暖冬とはいえ厳冬期のこの時期、ちゃんと雪が繋がっているのを確認。
三度目にしてようやく入山が叶った。
ペンギン「行ってきます!」



間もなく道が二手に分かれるので右に折れて橋を渡る。



しばらく林道を進んでいくが適当なところで道を外れ左手に下っていく。
道や目印があるわけではないので、歩きやすそうなところを選んで進んでいこう。

まもなく沢にぶつかるので、これを渡渉する。



融雪期だと沢底を通るのは難しいらしいが、今日は水が少なく難なくクリア。
四月の山行記録では沢に架かった倒木の橋を使って対岸に渡っていたが、今ならそんな危険を冒す必要がない。



無事に対岸に渡ることができた。
次は眼の前の見上げるような急斜面を登っていかなければならない。
取り付きやすそうな場所を選んで登っていく。



樹林帯の急斜面を登り切り、尾根に上がるといきなり視界が開ける。
尾根の反対側には牧草地が広がっていた。
ここで右に方向修正。
尾根沿いに登っていこう。



全体的にゆったりした地形なので放牧地の外縁に沿って登ってくのがわかりやすい。
あちこちで牧柵が雪の上に顔を出しているのだが、これが目印もなってくれるし足を引っ掛ける障害物にもなる。
切れたバラ線なんかもあるので、引っかからないように注意。



お茶「もうちょっと天気良いと思ってたんだけど…」
ペンギン「薄暗くて気味悪いっぺ」
伐採されずに残った木々が風に揺れて不思議な踊りを踊っている。
MPが下がりそうだ…。



北には阿部館山などが連なっているはずだが、雲が垂れ込めてきて見通すことはできない。
本来ならば景色が良さそうな場所なんだが…。
ペンギン「残念だっぺ」



牧草地の中ではあるが、風よけのためなのか樹林帯が帯のように残されている。
このラインを頼りに進んでいくと間違いない。
ここまでは。



標高が1000mを越えるあたりから、だだっ広い放牧場が始まる。
このあたりは吹雪かれたら怖そう。
今日は風も弱く雪も降っていないので絶好のアタック日和だ。
ペンギン「こういう目標物がないところ苦手だっぺ。自分のペースが掴めなくなるっぺよ」



放牧地を突破すると林道に合流する。
とはいえあたり一面と同じように雪が積り、他と同じように沈むので自分たちでトレースを延ばしていくしかないのだが。



やがてこの林道は三叉路へ出る。
左手に行くと今朝出発したゲート前へと通じる道だが、我々は右へ。



おや?
林道にはスノーモービルの轍が残されていた。
まだ新しい。
先ほど、でかい牛の嘶きのようなものが聞こえた気がしたが、スノーモービルのエンジン音だったか。



せっかくのバージンスノーが台無しだ!などとは言わない。
ラッセル続きて疲れていたので、ありがたくトレースを頂戴する。
ペンギン「あざまーす」



ふと上空を見上げると真っ青な空が顔をのぞかせていた。
天候回復に期待するが晴れ間はほんの一瞬だった。
お茶「やっぱ青空が見えるとテンションアガルねー」
ペンギン「アゲアゲだす~」



林道から逸れて、再び放牧地の中に進んでいく。
スノーモービルはそのまま林道を進んでいったようで、轍ともここでお別れだ。
ペンギン「さようなら~(涙」
お茶「泣くなよ、きっとまた会えるさ。帰り道に」
ペンギン「せやな」



放牧地の最奥から御大堂山山頂への最終アタックが始まる。
のっぺりした地形のため分かりづらいが、ほんの少し高くなっている方向を目指して進んでいく。



樹高が低い灌木帯を進む。
横枝がうっとおしく見通しも悪いので方角を見定めながら進む。
吹き溜まるのか雪も深く、なかなか先に進んでいかない。



ようやく頭上が開けた。
ペンギン「山頂?」
お茶「ん~、たぶん…」



樹林帯の真ん中にぽっかりと開けた空間があった。
この慎ましい膨らみが山頂ということでいいのだろうか?



三角点っぽいのもあるし。
お茶「ターッチ!」



一応眺望も得られる。
…のだが、山頂標識の類が見当たらない。
念の為GPSを確認すると残念ながらここは山頂ではなかった。



山頂はこの林の向こう側のようだ。
どこもかしこも似たような高さに見える。
GPSがなかったら、たぶんここを山頂だと思って下山したに違いない。



林の向こうに、またまた広場があった。
今度こそ山頂だろうか。



山名標識発見! GPS確認! 山頂で間違いなし!
お茶「登ったどー!!」



真の山頂はぐるっと灌木に囲まれているので眺望は得られない。
しかし木々が風を防いでくれるので休憩するには良い場所だった。
恒例のコーヒータイム後、下山を開始。



ペンギン「ここで帰らなくて良かったっぺな」
お茶「まったくだ。この50mくらいの差で登頂不認定になったら洒落にならん」



ニセ山頂からのほうが景色はいいんだけどね。
これは青松葉山…かなぁ…。
よくわからん。



こっちは盛岡方向。
微かに町並みが見える。
ということは盛岡からもこの山が見えているはずだ。
でも形に特徴がなさすぎて見えていても認識していないなぁ。



さて、下山しますか。
来た道を忠実になぞって帰ることにする。
余裕があったら阿部館山に寄って周回ルートにしようかと思っていたが、とてもじゃないけれど時間も体力も保ちそうにない。



分岐点は間違わないように注意。
ペンギン「このままスノーモービルのトレースを追って行きたい…」
お茶「まぁねぇ。どこ連れて行かれるかわからんけど」



なんか空が暗くなってきたなぁ。
日没までにはまだ時間があるはずだが雲が厚くなってきているようだ。



トレースがしっかり残っていて道迷いの心配がないのでガンガン下る。



渡渉ポイントにはピンポイントで下りたいのでトレースを忠実になぞり樹林帯へ。



ガフガフ雪の急な下りを重力に任せてワシワシ下っていく。
よく登ってきたな、このフカ雪。



ピクミン?
ペンギン「若い子は知らんのでは?」



やあ♪
ペンギン「かわいいっペ」



ペンギン「いろんなスノーマンがおるのぅ」



ちょっと遊びつつ、無事に渡渉点まで戻ってきた。
朝よりも少し気温が上がったようなので増水が心配だが、さてどうだろう?



良かった、増水はしていなかった。
さすがに残雪期のような急な増水はないか。
これならラクラク渡渉可能だ。



お茶「ドボンしてもゴールはすぐそこだから大丈夫やでー」
ペンギン「御免被る!」



無事にゲートまで帰ってきた。
ペンギン「おつかれさまでしたぁ!」


三度目の正直で御大堂山に登ることができました。
今までチャレンジすらさせてもらえなかったので、まずは入山することができてよかったです(笑

先人たちの記録を参考にすると、この時期一番確実なのは櫃取湿原からのルートであろうということで盛岡から片道2時間半かけて登山口へ。
盛岡市に境を接している山なのに、まぁ遠いこと遠いこと。
岩手の広大さを思い知らされます。

入山ポイントの渡渉がどうなるか心配でしたが、それも難なくクリア。
あとは二人でトレースを延ばすことに専念して無事に山頂を踏むことができました。
思ったより天気が悪くて景色が残念な感じでしたが山頂付近では霧氷を見ることもできました。
風も弱く穏やかだったので過ごしやすいコンディションで思ったより楽に登ることができたと思います。
岩手の山150で宿題になっていた山を一つ登ることができて満足です♪

おしまい


詳しいルートなどについてはヤマレコにて