関東北部遠征三日目。
福島南部の山、関山に登りました。

前日までの晴天はどこへやら。
寒冷前線の通過に伴って北日本は一気に大荒れの天気になりました。
その影響は広範囲に及び、関東といえどその影響を免れず気温が一気に下降。
山歩きには厳しい条件になってしまいました。
そこで少しずつ岩手に戻りつつも安心安全な里山&低山で遊ぼうという方向に切り替えたのです。

それでは行ってみましょう!




寒さにやられたのか、ツートンが体調不良を訴えるので一人で出発。
ペンギン「気を付けて行ってくるっぺよ」



関山の登山道は周回が可能だ。
現地の案内によると東側の道が初級、西側の道が中級であるとのこと。
単独行になったので、まずはお試しで登りは「初級」コースを使うことにした。



…初級者コースっていうか、林道だな。
一応、関係車両以外立入禁止になっている道なので歩くしかないのだが、面白いかと言われると…。



道の脇に不動明王が鎮座していた。
不届き者が居ないか見張っているのだろうか。



それというのもこんな看板を見かけたからだ。
そういえば少し前に登山道の標識を壊して回った輩が居るとニュースになっていたような気がする。
ここの事だったかどうかは定かではないが、そんなことして何が楽しいんだろうね。



道の脇に下馬処と書かれた標識があった。
源義経が戦勝祈願に訪れ、馬を降りた場所だとか書いてある。
意外と歴史がある場所だった。



満願寺の境内へ。
下馬処を過ぎても車の轍は消えない。
馬からは降りなければならないが、車からは降りなくてもいいようだ。
便利な世の中になったものである。



境内に入るとまず寺務所が参拝者を迎える。
御朱印がどうのとか書いていたので人がいるのかと思ったが無人だった。
なにかお祭りなどの時だけ有人になるのかもしれない。



寺務所の先には銅鐘が設置されている。
この鐘は1664年制だという。
江戸時代前期に作られたのか、よく残っているものだ。
昭和19年に国の重文に指定されて戦争による金属供出を免れたようだ。
タイミング的に供出を回避するために重文に指定するように働きかけたのかもなぁ。



その代わり本堂の伽藍は昭和20年に火災で消失したとのこと。
かの松尾芭蕉も訪れた名刹だったらしいが惜しいことだ。



関山、登ったどー!



低山ではあるが眺めよし。
山頂からは阿武隈山地の山々を見渡すことができる。



今日は日本海側から脊梁山脈にかけて大荒れだという。
晴れていれば那須連峰や磐梯山などを眺められるのだそうだ。
しかし残念なことに今日は厚い雲に覆われて見ることはできなかった。



山頂…というか境内の一角に「富士山」と書かれた標識が立っていた。
この方角に富士山が見えるというのか。



うん、まぁ今日の天気じゃ見えないよね。
撤収!
なぜ遠く離れた富士山を示す標識が立てられているのか。
それは昔、このあたりで富士山が見える北限の山はどこかという論争と観測と関係がありそうだ。



下りは中級コースをたどる。
登山道を示す道標は境内の脇にひっそりと佇んでいて見逃しそうになった。



あれ? 
道標を辿ってきたのだがお墓に出てしまったぞ。
このお墓は歴代住職の墓のようだ。
…なんだ、呼ばれてしまったか?



ちょっと薄気味悪くなったが、よく見てみるとお墓の脇に隠し通路のように登山道がある。
いきなり急な階段だな。
転げ落ちないように慎重に下ろう。



道中には謎のオブジェが。
信仰の山のためかぽつりぽつりとこういったものが点在している。



地図に無い分岐が現れた。
方角的に下っていく道が正解だとは思うが、一応登っていく方の道も偵察してみる。



阿夫利神社の祠があった。
どうやらこのための道だったようだ。
下山路とは違うな。
撤収!



阿夫利神社の先の下りが今回の核心部だった。
浮石の上に落ち葉が厚く積もった急な下り坂はいつでも転ばしてやるぞと手ぐすねを引いている。



滑りやすい下り坂に嫌な汗をかいたが、谷底まで下りれば後は緩やかな沢沿いの道だ。



砂防ダムを越えると初級コース・中級コースの分岐点だ。
これでぐるっと一周したことになる。



分岐点の脇には滝不動尊。



しかし…滝ってこれのこと?
現状、砂防ダムの堤体から流れ出す水のほうがよほどダイナミックな落差があるんだが。
昔の人はこのささやかな水の流れに、なにか神秘性を見出したようだ。



無事に下山。
ペンギン「おづがれざばでじだ~」
ツートンの鼻水がすごいことになっていた…。


さて、初めて登った関山ですが、まず眺望が素晴らしい山でした。
低山ですが独立峰なので周囲が開けており阿武隈山地の山々はもちろん、関東方面の眺望も得られます。
条件が良ければ富士山も見えるようですね。
中通りを挟んで安達太良山や磐梯山といった福島を代表する山々も望むことができるようです。
残念ながらこの日は厚い雲に覆われてそれらの山は見えませんでしたが。

また山頂にある満願寺は創建が700年代と由緒と歴史のあるお寺。
源義経が戦勝祈願に訪れたという話や松尾芭蕉が奥の細道の途上で立ち寄ったという話もあり興味が尽きません。
登山者だけではなく、そういった歴史を訪ねて訪れる人も多いようです。

登山というよりは古刹を訪ねて観光したような山行でした。

おしまい


詳しいルートなどについてはヤマレコにて