関東北部遠征、二日目の午前中は奥久慈男体山に登ってきました。
山のスペックを数値だけで見るとコースタイムも標高差もそれほどのものではないのですが、なにやら「なかなかに手強い」という事前情報を得ております。

さて、いったいどんな山なのか?

楽しみ半分、緊張半分で挑みます。





平日の早朝だけど駐車場には車がちらほら。

我々の他に誰も登っていない…というような事はなさそう。

北の外れとはいえ、さすが関東の山。



朝霧の中から姿を現す男体山。

それほど高い山ではないはずなのだが、圧迫感を感じるほどの存在感。
思ったより険しそうに見える山肌に緊張感が高まる。



健脚コースと一般コースの分かれ目でしばし逡巡。

どちらの道へ進むべきか…。
事故多発、自信がない人は一般コースへ!という立て看板が事故の多さを物語る。

びびり散らかすヘロヘロ隊…。



とりあえず行くだけ行ってみるかと健脚コースへ進むことにした。

ダメそうなら戻ればいいやと思ったのだが、岩場に入る前からすでになかなかの急登。

ここを戻るのも精神的にかなり厳しい感じがする。

早くも追い詰められてしまった。

ペンギン「ひとりで勝手に追い詰まってるっぺ」



そそり立つ岩壁…。
あの斜面のどこにルートを取るのだろうか?
ペンギン「いや、普通巻くっぺ? バリルートじゃあるまいし」
お茶「ちょっと、盛り上がってるところに冷水浴びせるのやめて!」



やがて登山道はトンネル脇から登ってくる道と合流する。
いよいよこの先が核心部となっていく。



最初はゴロゴロ岩が転がっている程度だったが…



すぐに鎖場が連続する岩場となった。
標高が低いため落ち葉、木の根、泥がミックスされ高山帯の岩場とはまた違った怖さがある。

歯が立たないほどの岩場ではないが、長く続けば精神的に消耗しそうだ。



岩場に取り付いてから10分程度で展望台に出た。
雲海が美しい。

偶然通りがかった方に、この展望台手前の鎖場が核心部であると教えてもらった。

それならば我々でも大丈夫そうだ。



展望台から見た山頂。
まだ先は長いが核心部を過ぎたとなれば気持ちは楽になる。

お茶「ふふふ、ちょろいじゃん。健脚コース」

ペンギン「ちょろいのはお茶の頭だっぺよ」



とはいえ油断できない場所はいくつもある。

トラバース気味に登っていく岩場はステップの幅が足のサイズに合わずに難儀したし。

ペンギンペンギンは平気だった~」



ここは鎖の上部まで登ったら左に抜けるのが本来のルートだ。

しかし踏み跡に惑わされて、そのまま直登してしまいそうになった。
同じように間違って直登してしまう人が多いようで濃い踏み跡がついているのだ。




とはいえ正しいラインを外さなければ難易度はそれほどでもない。
慣れてくればアスレチックぽくて楽しいくらいだ。



東屋まで登れれば鎖場は終了だ。
山頂は近い。



山頂手前の岩の突端にはお社が祀られている。

その後ろにはひたすらに青い空が広がっていて絶景の予感がする。
ちょっと行ってみよう。



お社の傍らに立てば、予想通りの絶景が広がる。

少し薄れたが雲海もまだ健在だ。

若干霞がかっているのではっきりしないが筑波山や関東平野が見えているはずだ。



お社のすぐ後ろはすっぱり切れ落ちているので要注意。
ペンギン「ヒュンヒュンするっぺ…」



麓の集落が箱庭のように見える。
日本昔ばなしの一コマのようだ。
ペンギン「ソーラーパネルが雰囲気ぶち壊してるけどな」

お茶「そうだねぇ…。クリーンエネルギーとは言うけれど景観にはよくないよね」



東の方角には海が見えることもあるらしい。
残念ながら今日は霞がかっていてそれらしきものを認識することはできなかった。



お社から少し下ったところに山頂広場があり、山名標識などが設置されている。
ペンギン「登ったどー!」
無事に奥久慈男体山の山頂を極めた。



三角点タッチ!
…なんか映り込んだな…。



下山はもちろん一般コースで。
しかし、こちらも一見平穏な道に見えるが左右とも切れ落ちた痩せ尾根からスタートする。

灌木の外側はすぐに断崖絶壁だ。
滑落注意の大きな看板が立てられていることから過去に事故があったものと思われる。



とはいえ、二ヶ所ほど痩せ尾根を通過すればあとは平穏な「普通の」登山道だ。



振り返るとそそり立つ絶壁が見えた。
あの上に立っていたと思うと感慨深い。
ペンギン「時間差でヒュンヒュンくるっぺ…」



あとは下るだけかと思ったら登り返しが…。



平坦すぎていつになったら麓に降りれるのやら。

ペンギン「一向に標高が下がらないっぺよ」



大円地越えまで下りてきた。
ここも各方面へ向かう道のジャンクションになっている。



我々は谷底を大円地へ向け下っていく。

道に水が流れている。

もしや沢下り的な道なのか…。



道の左右には特徴的な岩壁が居並ぶ。

いちいち名前はつけられていないようだが、なかなか見ごたえがある。



下部は杉の植林地。
一気に高度を下げていくが、道がうまく作られているのでとても歩きやすい。

懸念していた沢底歩きだが、こちらも杞憂に終わり一安心。



無事に分岐点まで戻ってきました。

生還!
ペンギン「お疲れ様でした!」

さて初めて登った奥久慈男体山ですが、なかなか楽しく登り応えのある山でした。

登りで使う分には健脚コースは程よい難易度でしたね。

登る前は少しビビり過ぎたかもしれません。
 

岩場、鎖場は(一般登山道ならば)それなりの数をこなして慣れてきたつもりだったんですがねぇ。

今年のGWに石鎚山の鎖場で怖い思いをしてから一気に気持ちが萎縮しております(笑

最後まで鎖場に行くか行かないか迷ったのですが、とりあえず下まで行ってみるべと足を踏み入れ、駄目なら引き返すべと鎖に取り付き、結局最後まで登ってしまったという経過をたどりました。
ペンギン「一番駄目なやつ!」
お茶「そういう君こそ、いざ鎖に取り付いたらえらい勢いで登っていったじゃんよ」

鎖場の難易度としては中級くらいでしょうか。
ただし標高が低い山の鎖場にありがちな岩の上に落ち葉や土が積り、木の根が足元をすくいにくる…そういった感じです。
あと道の屈曲点でコースアウトした踏み跡が多数あり、ここで登山道のラインを外すと一気に厳しくなるのかなと。
過去の事故はコースアウトしたことをきっかけに滑落した例が多いのではないかと想像しました。

展望台や山頂からは美しい雲海を眺めることもできて大満足。
こぢんまりとした山ではありますが、スリル・眺望・登り応えと登山の醍醐味をギュッと凝縮したような素晴らしい山でした。

 

おしまい

 

詳しいルートなどについてはヤマレコにて