茨城県の最高峰、八溝山に登ってきました。
この日は諸般の事情で家を出るのが遅くなり、登山口に着いたのが午後2時。
ちょっと遅すぎますが急いで登ることにしました。
山頂近くまで車道が延びている山なので遭難することはありますまい。
林道の中程、山の中腹にある日輪寺口から出発する。
登りは旧参道をたどる予定だ。
「すごい車が駐めてあるな」
「スーパーカーだっぺ」
駐車場から林道を少し登った場所に旧参道への分岐点がある。
「お邪魔します!」
名残の紅葉が綺麗だ。
岩手はすっかり冬枯れの景色になってしまったので色づいた木々が目に鮮やかに映る。
ここは比較的赤が出てるな。
今年は紅葉の色が悪くて鮮やかな赤を見ていないような気がする。
猛暑の影響だというが、来年以降も目が覚めるような紅葉を見ることはできなくなってくるのだろうか。
唐突に「妙見菩薩」と書かれた標識が現れる。
んー? そんなもの地図にもないし、そもそも道が分かれるような表記にもなっていないのだが…。
ああ、あれか。
斜面を少し登ったところに祠があるのが見えた。
今日は時間がないので横着してここからお参りしていこう。
「妙見さん、お邪魔しますっペ」
妙見菩薩の祠から5分ほど歩いただろうか。
道の脇にまたなにかが現れた。
「時間がないのにエンカウント率が高い登山道だ」
「なに言ってるっぺ?」
湧き水だった。八溝五水の一つで金性水という。
水戸光圀公が命名したんだと。
「こうもんだ!」
「その言い方はどうかと…」
「せっかくだから飲んでみるっぺ! ごくごく…」
「どお?」
「クセがなくて美味しい」
謎の高梨家屋敷跡。
「誰やねん」
「ホントだよ、由来の一つも書いてないから誰なのかさっぱり分からん」
謎の高梨家屋敷跡の近くには、また湧き水が出てきた。
今度のは「鉄水」と名付けられた湧水のようだ。
しかし枯れてしまったのか水は流れていなかった。
「…せっかくだから、飲んでみる?」
「水たまりの水を飲めというのか!」
また地図にない分岐が現れた。
「龍毛水」が湧いてる場所は山頂への道から少し外れた場所にあるらしい。
「ここまできたら八溝五水全部見ていくか!」
「おう!」
涸れ沢の源頭部に龍毛水が湧き出ていた。
ここは少しだけ流れがあるな。
傍らでポンプアップしているようなので本来の水量ではないのかもしれないが。
「せっかくだから…」
「ペロリ! うん美味い!」
「…うそくせー」
上空が明るくなってきた。
山頂が近くなってきたようだ。
登山道は山頂直下で林道と交差する。
そして八溝五水のひとつ「白毛水」はここから林道を少し戻ったところにあるようだ。
「シラケみず?」
「なんかやな湧き水だな…」
白毛水もチョロチョロ。
「せっかくだから飲んでみて」
「え、俺?」
「せっかくだから」
「…ぐび…。あー、飲める飲める」
「以上、八溝五水でした!」
再び登山道へ戻る。
山頂のすぐ手前には鳥居が立ち、白馬が脇を固めている。
山頂には八溝嶺神社のお社が建っている。
創建が景行天皇40年…と言ってもよくわからないが、西暦だとなんと110年!
2000年近い歴史を持った神社ということで、社殿もなかなか立派だ。
しかし…
こっちの城のインパクトが強すぎて神社に目がいかない(笑
コンクリート造りの展望台なのだが間延びしたシルエットが強烈に異彩を放っている。
この場所に過去に城があったわけではないようなので単なる意匠のようである。
山頂展望台からの眺めはなかなか素晴らしい。
人工物で下駄を履かせてもらっているとはいえ、ほぼ360度の眺望を得ることができる。
田代山などの尾瀬近辺の山々や安達太良山、那須連山などが見渡せるそうだ。
どれがどれだかはわからん…。
「どの山も良い山だったっぺ」
方位盤によると、このあたりが日光の山々のようだ。
男体山、女峰山あたりが見えているのだろうか。
「男体山はなかなかきつかったっぺ」
南側には筑波山…が見えるはず。
条件が良ければ富士山も見えるそうな。
肉眼ではなかなか難しいようだがスカイツリーも見えるといえば見えるらしい。
おっと、下山する前に山頂を踏んでおかねば。
「先に山頂より高い場所に登ってしまったっぺ」
「いやー、こんなインパクト大な展望台あったら登っちゃうよね」
「八溝山、登ったどー」
無事に茨城県最高峰に足跡を記すことができた。
さて下山はどの経路で帰ろうか?
時間が遅いのでピストンする予定だったが、意外と早く登ってくることができたので日輪寺経由にしようか。
「おけだす」
日輪寺経由の登山道は県道と交差する。
登り道に沿っていた林道とは違う道だ。
八溝山は三方向から山頂に車道が繋がっている。
「ちょっと歩いて登る気持ちが失せるよね…」
「まぁまぁ、紅葉が綺麗だよ。歩かないと見られない景色もあるさ」
「そうだねぇ」
日輪寺まで下ってきた。
日輪寺は坂東三十三所観音霊場の21番とのこと。
巡拝するにあたって一番の難所として知られた場所だという。
「ほほう…坂東三十三箇所…とな。それは完全巡拝してみたくなるなぁ」
「あ、また悪い病気が…」
日輪寺から先の道が分からずしばしウロウロしてしまった。
駐車場下の公衆トイレの脇にある道が登山道の続きだったのであるが何の標識もないので確信が持てるまで不安だった。
遅い時間なので道間違いで遠回りとかは勘弁だ。
ここまで懇切丁寧に道標あったのに、いきなり無くなるんだもんなぁ。
日輪寺から先は鬱蒼とした杉林の中を進む。
「薄暗くなってきたっぺ。日没までに戻れるっぺか?」
「いや、さすがにそれは大丈夫かと…」
ずんずん下っていくと沢に降り立った。
この沢は八溝五水を集めて流れているのだろうか。
沢から少し登り返す。
無事に下山。
「お疲れ様でした!」
八溝山に初めて登りましたが、道中には石仏や湧き水が点在し、歩いて楽しいコースでした。
幅広で良く整備された道で遊歩道と言っても過言ではないくらいの快適登山道で安心安全。
八溝五水が枯れ気味なのが残念でした。
晩秋だし、猛暑だったし仕方がないのかもしれませんが。
下山後「霊水八溝」という生酒を飲んだのですが、これが美味しくて。
飲みすぎて二日酔いになりました。やっぱ日本酒は危ないなぁw
おしまい
詳しいルートなどについてはヤマレコにて