今回はみちのく潮風トレイル番外編。
なぜ番外編なのかと言うと、冬季間は野蒜海岸から浦戸諸島に渡る手段が無いからなのです。

野蒜から浦戸諸島に渡るためには渡船に乗らなければなりません。
過去記事でも何度も触れていますが、この渡船の利用の難易度が高すぎると思うんですよね。
冬季間運休なのもそうですし、利用するには5日前までの予約が必要だし。

そんなわけで、野蒜と塩竈の間を徒歩で赤線を繋ぎにいきました。
正規ルートではないので好き勝手に歩いてきましたよ。
それでは、番外編スタート!



前回一区切りをつけた野蒜駅を出発。
絶好の青空の下でのトレッキングとなった。
お茶「天気予報はあまり良くなかったけど、これはいい天気だね♪」
ペンギン「これも我々の日頃の行いがいいからだっぺ」



震災後、高台移転した仙石線の線路跡を進む。
旧線はサイクリングロードに生まれ変わり、野蒜周辺を散策できるコースになっている。
鉄道時代のトンネルがそのまま残っていたり…



随所に勾配標やキロポストなどが設置されていて、この道がかつて鉄道であったことを主張している。
よく見るとこの勾配標やキロポストはレプリカのようだ。
道路を整備するときにわざわざ設置したということだ。
お茶「うんうん、設計者は雰囲気づくりの大切さをわかっているねぇ」
ペンギン「謎の上から目線」



ここは仙石線沿線随一のビュースポット…だった場所だ。
かつては車窓から松島が見える風光明媚な場所だったようだ。



旧線は陸前大塚駅付近で現路線敷と合流。
当たり前だがサイクリングロードは現役の線路には入れないため内陸側へ分かれていく。



もちろん我々もサイクリングロードとともに県道へとおいやられる。
ここから先、暫くの間単調な道路歩きの区間となる。
ペンギン「でも広い歩道があって良かったっぺ」



東松島市を抜け松島町に突入。
八戸を出発してもう…いくつめの市町村だったか忘れてしまった。
なにせ累積歩行距離はすでに1000kmを越えているのだから。
ペンギン「よく歩いたっぺよ」



県道から外れ陸前富山駅前を進む。
県道は内陸をショートカットするのだが「潮風トレイル」らしく海岸沿いを歩くためだ。
番外編の非公式ルートとはいえ、そのへんは手を抜かないつもりだ。
ペンギン「謎のこだわり!」



松島湾内はベタ凪。
強風予報だったのにこれは意外。
ペンギン「日頃の行いがいいからだっぺ」



海沿いをてくてく歩く。
このあたりは島々に守られて高波にさらされる可能性が低いためか堤防が低い。
おかげで道路から海が見える場所が多い。



どこまで行っても静かな青い海が続く。
あまりに平和で歩きながら眠くなってくるくらいだ。
ペンギン「zzz」
お茶「寝てる!?」



海岸沿いには整備された公園も点在する。
ここは手樽海浜公園。



手樽の浜からは海を挟んで松島の中心地が見えてきた。
手前の囲いはなんだろ? 
養殖でもしてるんだろか。



決められたルートのない旅だ。
なるべく海岸近くを気ままに進む。
ペンギン「さっき気まますぎて進退窮まったっぺ」
お茶「それも楽しみの一つよ」



小路を抜けると思いがけずキレイな公園に出たりするから楽しい。
ここは西の浜貝塚。
縄文中期から平安時代までの遺物が出土した重要な遺跡なのだとか。



高城町の海岸沿いには何やら楽しそうなお店が立ち並んでいる。
ペンギン「ちょっと見てくる!」
お茶「ツートンホイホイ…」



ペンギン「タコ足の串焼きを買った!」
お茶「これはビールが欲しいな」
あかま水産さんでは店頭で魚串や貝焼きを1つから買える他、ホタテや牡蠣を生け簀で販売している。
串焼きなどを買ってその場で食べる場合、わかめスープが無料でサービスされる。



お腹も満足したところで、いよいよ一大観光地松島へ突入だ。



めっちゃ混んでる…。
潮風トレイル初めて以来、こんなに大勢人がいるところに出たのは初めてだ。
ペンギン「田代島もすごかったけど、そんなもんじゃないっぺね」



最も混雑が激しかった五大堂付近を通過してホッと一息。
ペンギン「疲れたッペ…」
お茶「写真を撮る気にもなれなかった…」



松島の西の外れには雄島という小さな島がある。
遊覧船のりばやお土産品店が並ぶ場所からは少し離れているので人影も少なめ。
お茶「ここは来たことないな」
ペンギン「せっかくだし寄ってみるっぺよ」



島の中には神社などが鎮座している。
松島らしい石切の跡なども点在。
独特の景観を作り出していた。



なによりあまり混んでないのがいい。
松島にも静かなスポットがあるのだな。
ペンギン「わさびを感じるっぺよ」
お茶「…もしや侘び寂びって言いたい?」



松島や、嗚呼松島や松島や。



松島の一番賑やかな場所は脱した。
次は塩釜を目指し海岸線をなぞっていく。



進むにつれて次々と現れるビュースポット。
見る角度によって島の配置や見え方が刻々と変化していく。
正直、松島の何がそんなに良いか分からなかったのだが、こうして徒歩で歩き回ると景観の良さが分かってくる。



歩道が尽きた…。
道路管理者は、観光地も終わったし、この先に徒歩で行くような酔狂な人間はいないだろうとでも思ったのだろうか。
いるのだ、ここに。



そのまま国道を進んだほうが目的地には近いのだが、車を避けて脇道へ。
多少遠回りでも海っ傍を歩いたほうが楽しいだろうし。



ほら、いい景色だ♪



…すぐに歩道無し国道に戻ってきてしまった…。
松島町を通過し、利府町に突入。
利府って内陸の町だと思っていたが、海に面した場所もあるんだ。
自分の中では新しい発見であった。



脇道があれはすかさず突入する。
地図では集落などがあるようには見えないが、ここの脇道はそれなりに交通量がある。
なにか面白いものでもあるのだろうかと思っていると…



「馬の背」というスポットに行き当たった。
山歩きをしていると「馬の背」と名付けられた場所に出会うのは珍しいことではない。
丸みを帯びた稜線などにそういう名前が着けられがちだからだが、海っぱたで馬の背とは?
ペンギン「面白そうだから寄ってみるっぺよ」



ほほー、これが馬の背ですか!
細長く海に突き出た岬が馬の背の正体だった。
お茶「俺にはナマコとかナメクジに見える…」
ペンギン「台無しだっぺ」



馬の背は先っぽまで歩いて行くことができる。
まるで海の上を歩いているような気分になれて楽しい。



ただし、足元には注意。
安全地帯は稜線上の幅数メートルほど。
さらに先端付近にはクレバスのような岩の割れ目がある。
ペンギン「こんなところに落ちたら挟まって抜けなくなるっぺ!」



馬の背の突端!
ペンギン「行き止まりだどー!」



行き止まりといえば、時にこんな場面に遭遇することもある。
地形図を見ながら歩けそうな道を探しているわけだが、地図では道が繋がっていても実際には通れないこともままあるのだ。



このトンネルを避けようと海側に回ったのだがね。
脇に人道トンネルあるじゃない。
遠くから見たときには気付けなかったわ~。
これなら最初からトンネル通ることにしてたよ。



夕闇が迫ってきた。
秋の夕暮れはあっという間にやってくる。



ついに塩竈市へ!
我々の潮風トレイル史上、一日に複数の市町村を跨いだのは初めてかもしれん。



塩竈市内に入ったというのに、再び歩道が消滅。
脇道へ逃げる。
お茶「またこのパターンか」
ペンギン「そろそろストレートに行かせて欲しいっぺ」



なんだかんだで本塩釜駅に着いたときにはあたりは暗くなっていた。
ペンギン「がんばったー!!」


さて潮風トレイル番外編ということで徒歩で松島を横断していったわけですが「意外に良かった」というのが正直な感想です。
松島は日本三景の一つということで有名な観光地ですが、実のところ今まで良いと思ったことがなかったんですよね。
遊覧船があって、遊園地的なものがあって、お土産屋が立ち並び…みたいな、古臭い日本の観光地という印象しかありませんでした。

それが今回徒歩で巡ることで新たな松島の顔を見ることができました。
いろんな角度から松島を眺めることができましたし、ほんの一部の区間を除いては人もおらず静かな海を楽しむことができます。
一山越えて目に飛び込んでくる絶景。
昔の文人はこんな感動を得て歌にしたり絵にしたりしたんだろうなと思わず想像してしまいました。

潮風トレイルの正式ルートではありませんが、徒歩で楽しむ松島、いいですよ。
迂回ルートとして正式に設定すればいいのに…。
浦戸諸島はいろいろ条件が揃わないと攻略し難いのですから。

おしまい


詳しいルートなどについてはヤマレコにて