みちのく120山の一座、翁倉山に登ってきました。
石巻市北上地区と登米市の堺にある山で両方から登山道が通じています。
今回は石巻市側から登ります。
マイナーな里山のため登山口の案内などはありませんのでナビを頼りに登山口を探しました。
集落道終点に駐車スペースありという事前情報を得ていたのですが「駐車場」などの表記がないのでちょっと不安になります。
民家の目の前だし畑との境界も曖昧だし…。
過去の記録を検索して間違いがないことを確認し、ようやく車を駐めることができました。
ちなみに、この駐車スペースを過ぎると未舗装の林道になります。
使われているの?っていう雰囲気なので侵入を躊躇しましたが、実は奥に進むと意外にまともな林道になります。
少々藪っぽいので車に傷が付くのが心配な人はやめておきましょう。
林道にはレトロな標識が立っていた。
実はこの標識、昭和25年から38年までの限られた期間に使用されていたもので現存しているのは貴重である。
そして正式な標識が設置されていることと、設置された年代が古いことから意外と由緒ある道であるということがわかった。
そんなわけで入り口のショボさの割に意外としっかりした道が続いているのが腑に落ちた。
現在はともかく昔はそこそこ重要な道だったのだろう。
林道を歩くことおよそ1km、登山口駐車場に到着。
奥に轍が続いているが登山者の車はここまでだ。
駐車場奥にはさっそく分岐がある。
光の加減で写真では分かりづらいが道は三方向に分かれているのだが、我々はここを左側へ進む。
ゆるゆると登っていくと道の途中に唐突に「登山口」の表記が現れた。
登山口はさっきの広場ではないのか?と一瞬疑問に思ったが、よく見ると左の斜面に道が着いている。
なるほど、今居る路面はあくまでも作業道。
登山道はここから斜面に入っていくということか。
そんなわけでいきなりの急登だ。
作業道脇の急斜面に無理やり道を着けたような無理矢理感を感じる…。
お助けロープが張られているのでそれを頼りに登っていく。
この急斜面を登り切ると大上峠に着く。
再び方向転換してここから先は尾根筋を辿っていくのだ。
尾根筋の登山道は明るくて雰囲気がいい。
標高は低いが、なぜか背の低い木ばかりなので日光が林床まで届くのだろう。
しかし風の通り道でもあるのか倒木が多い。
切断処理されたものもあるが、ほとんどが手つかずで登山道を塞いでいる。
そのため跨いだりくぐったり、はたまた傍らを迂回したりとアスレチック的な動作を強要される。
また日当たりが良いため林床に幼木が多数育っており、こいつらが道に枝を伸ばしてきていて少々煩わしい。
「はまだいいっぺよ。私なんか枝が顔に当たるから煩わしいなんてもんじゃないっぺ」
「ちょうどくらいの背丈の幼木だよね」
西尾根は標高300mくらいまではダラダラ登っていく。
しかしそこから先は山頂から通じる主尾根に向かって一気に突き上げていくようだ。
お、これはトラツグミか?
「鵺だっぺ! 初めて見た♪」
ご新規の鳥にも出会えてツートンご満悦。
西尾根上部は急峻すぎるためか途中からトラバース気味の道となる。
ここの路肩が少々心もとない。
沢側に落ちないように慎重に進む。
鳥獣保護区の赤い看板が主尾根到着の目印だ。
ここから北東方向に進路を変え山頂を目指す。
尾根上は通路部分だけ一段高くなっていて人工的な土塁のような感じがする。
土の斜面としては人間が歩ける限界の斜度じゃなかろうか。
とにかく一直線に登れ!というような道だ。
「アキレス腱が伸び切って千切れそうだっぺ」
10分ほどかけて100mを一気に詰め上げた。
山頂到着か、と一瞬喜んだものの…
偽ピークでしたぁ!
本物の山頂はもう一つ先のピークだった。
「まぁ、あるあるだっぺな」
再度急登を制し翁倉山の山頂に到着した。
里山ながら頭上が開け日当たりの良い山頂だった。
山頂には山名標識と翁倉神社の祠が鎮座している。
「みちのく120山、107座目!」
山頂からは北~東方向の眺望が良い。
神割崎や太平洋…
そして志津川湾などが見渡せる。
少し場所を変えると南方向にも若干の眺望。
北上川や硯上山などが見える。
どこも潮風トレイルで歩いたところだ。
三角点タッチ!
さて帰りは東尾根をたどることにしよう。
他の人の山行記録を見ると東尾根を登る人が多いようだ。
西尾根より道が良いのかなと想像しているが、はたしてどうだろう。
まずは東翁倉山へ向かう。
ここで登米方面への道と別れ進路を南へ。
急な下り坂と…
緩い尾根歩きを交互に繰り返しながら進んでいく。
西尾根に比べて下生えが少なくすっきりしているが、その分道が不鮮明な場所がある。
おや、急に見晴らしが良くなった。
標高が下がったのに周りの木々の背丈が低くなったようだ。
どうやらここ十数年の間に伐採を受けた跡らしい。
そうこうしているうちに作業道に出た。
この作業道が、まさしくこの一帯を伐採した際に作られたブル道なのだろう。
変に日当たりが良いため藪っぽい。
「…」
暫くの間うるさい藪を払い除けながら進む区間が続くが、植林地まで下りてくると道は鮮明になる。
谷底まで降りたところが、ちょうど林道の終点だった。
対面には今朝登っていった西尾根へ続く道が見えた。
あとは林道を歩き車を回収するだけだ。
無事に下山。
「お疲れ様でした!」
初めて登った翁倉山ですが、距離と高低差の割には登り応えがある山でした。
里山らしくあまりジグを切ることなく直登する場面が多いんですよね。
その度に、それほど暑くないにもかかわらず汗を絞られました。
事前の情報収集で「アプローチの林道が荒れている」「クマの痕跡多数」など怖そうなワードを多数見かけていました。
少しビビりながらの入山でしたが、実際にはそれほどでもなく拍子抜けでした。
いや、もちろんそのほうがいいんですけどね。
ただ、たしかに入山者は少なそうだなという印象です。
下生えが煩かったり、ところどころ藪っぽくなっていたりしているので多少の注意は必要でしょうか。
そして往路に使った西尾根には皆無だったのですが、なぜか下山に使った東尾根にはクマの痕跡が多数。
そのほとんどは古いものでしたが、一ヵ所だけ新しい痕跡がありました。
クマ、居るには居る感じです。
油断禁物です。
おしまい
詳しいルートなどについてはヤマレコにて