戸隠山といえば蟻の塔渡り。
戸隠山を登るに当たって蟻の塔渡りを攻略するのは不可分な要素ですが、ここは難易度が高く見た目のインパクトもあって「最恐」の登山道などと言われたりもします。
それなりの覚悟を持って挑むつもりで登山口に立ちました。

ところが、偶然にお会いした遭対協の方から開口一番「蟻の塔渡りは行っちゃダメ」「死ぬよ」「悪いことは言わないから手前までにしておきなさい」と言われてしまいました。
長年登山やってますが、ここまではっきりお前らでは死ぬと言われたのは初めてです。

我々の歩き方からそう思うのか、佇まいからなのか、あるいは霊感的ななにかからなのか、そこまで断言されると不安になるのが人間というもの。
しばし迷いましたが、今回は挑戦を断念。
逆方向から戸隠山を目指すことにしました。




今日も「朝は」天気が良い。
ツ「…でも湿気でモヤってるっぺ」



戸隠牧場~一不動間は昨日と同じなので割愛。
ツ「今朝の大洞沢にはクマの気配無し!」
茶「今日は休日で人も多いしね」



一不動で高妻山への道と分け戸隠山へ向かう。
戸隠と言えば「蟻の塔渡り」のイメージのため、どんな登山道なのかと身構えていたが、このあたりは普通の登山道だ。



標高だけを見れば、一不動から戸隠山まではほぼ水平移動だ。

しかし、だからと言って平坦な場所ばかりではない。



いきなり下りの鎖場が登場。
この先も延々と細かなアップダウンが続いていくのだ。
そのため累積標高差はなかなかのものになる。



何度か小さなピークを越え九頭竜山に到着。
山頂には東方向をのぞける窓が開いているが、早くもガスが上がってきていて真っ白けだ。



九頭竜山から先は、いよいよ戸隠山の雰囲気が出てくる。
すっぱりと切れ落ちた路肩、深い谷、そびえ立つ絶壁。
ガスのお陰で高度感はないが、うっかり足を踏み外そうものなら一瞬で奈落の底だ。



メボソムシクイ?



たまにガスが晴れると、けっこうとんでもない場所にいることがわかる。
人はなぜこんな場所に道を通して往来しようと思ったのだろうか。



茶「たまヒュン…」
ツ「わざわざ身を乗り出したりするから…」



繰り返すアップダウンに飽きてきた頃、ガスの向こうに戸隠山が見えてきた。

左肩の尾根が「蟻の塔渡り」だろうか。



崖の上で「ぴえヨンブートダンス」踊ってみた。
ツ「何をさせるっぺ!」
茶「え? いや~飽きたかなと思って…」



なおも先へ進むと突然開けた空間に出た。
コンクリートの柱には、なにやら禍々しい赤ペンキで道が示してある。
ツ「奥社…とあるっぺね」



矢印の先には蟻の塔渡りが。
ツ「無理!」
茶「まだ何も言ってないでしょ!w」
ツ「行けそうなら行ってみる?…とか言う気だっぺ! 無理!」



ツ「というわけで、八方睨みが我々の最終到達点!」
茶「あ、強制終了だ」
ツ「遭対協の人にも『死ぬよ』って言われたっぺ!」
茶「まぁねぇ…」



というわけで、蟻の戸渡りは見るだけに止めておくことに。
目を凝らすと、蟻の塔渡りの起点に今まさに難所に挑もうとする行者の姿も見えた。雰囲気あるなぁ。



というわけで、戸隠山攻略!
…裏口からだけどな!



戸隠山山頂からは昨日登った高妻山が見えていた。

…やっぱり雲に隠れ気味ではあるけれど。



さっき蟻の塔渡りを見下ろした「八方睨み」も見えていた。

あんな砲台のような場所だったんだ。

あれならたしかに八方を見渡せるだろう。

…晴れていれば、な。



ガスの隙間からは、これから戻る道筋…つまり、午前中に歩いてきた場所も見えていた。

なるほど、あんな崖の上を歩いていたのだな。



で、帰る頃になるとガスが晴れてきた。
ツ「もはやお約束!」



振り向くとさっきの行者が蟻の塔渡りに挑んでいるところが見えた。

なんか一般登山者より動きが俊敏なような気がする。

さすがだ。



いよっ!
ツ「対抗してみました!って?」
茶「いや、そういうわけでは…」



帰路も当然アップダウンを繰り返すことになる。
慣れのせいもあるのかもしれないが、戸隠山から一不動に戻る時のほうがコースの難易度は低いような気がする。



一不動まで戻ってきた頃には暑さと緊張でヘトヘトになっていた。

ここで大洞沢の下降に備えてしっかりと休憩を取る。



暑さといえば、一不動の下には氷清水という銘水が湧いているので、こいつでクールダウンしていこう。

冷たくて美味しい水だ。



大洞沢を通過するのは三回目となるが下るのは初めてだ。

苦手な沢筋の下りとなるので慎重に行こう。



やっぱ登るより下る方が怖い。



今日は乾いているからいいけど、濡れていたら嫌な感じ。
ツ「ウォータースライダーになるっぺな」



平和な牧場の景色が別世界のようだ。
無事下山。
ツ「お疲れ様でした!」

裏口からの戸隠山。
つまりは蟻の塔渡りを終えた登山者が帰路に用いるコースを用いた今回の山行。
蟻の塔渡りほどではないとはいえ、アップダウンも多く鎖場もある体力と根性を試される道のりでした。
難易度はともかく、普通に蟻の塔渡りを登って周回するほうが体力的には楽だと思います。

道中、昔蟻の塔渡りの上で逆立ちをしたことがあるという人や、今まさに難所を通過し終えた人たちとの出会いがありました。
皆、充実感に満ちていて楽しそう。
そんな人たちとの会話は楽しくも少し羨ましくもあり、少々複雑な気分でした。

今回は挑めなかった蟻の塔渡りですが、もう少し経験を積み、技量を身に着けてリベンジしたいと思います。

おしまい

本日出会ったお花たち

 

 

 

 

 

 



詳しいルートなどについてはヤマレコにて