遠征三日目にしてようやく晴れたので、泊まっていた場所から一番近くにあった明神ヶ岳に登ってきた。
登山口に「会津三十三観音第二十七番札所」があるということで整備された参道のような場所と思っていたのだが予想は見事に裏切られた。
現地に着いて最初に目に入って来たのは駐車場すら無い放置気味の登山口と怖いクマ注意の看板だった。



今回から新兵器がアイテムに加わった。
まぁ、気休めだけど。
過去に熊による人身事故もあった山域らしいので、さっそく臨戦態勢で挑むことに。



登山口はこんな感じ。
あまり歩かれていないようだ。
下草が生い茂っている。



入山してすぐ、左手に大岩観音方面への道を分ける。
一応観光地っぽく紹介されてる場所だけど、足元はぐちゃぐちゃ、下草は伸び放題。
軽い気持ちでやってきた観光客はドン引きじゃなかろうか。



大岩観音は帰りに寄ることとして先へ進む。
写真ではわからないだろうが、登山道をジャブジャブ水が流れている。
さっそく足回りが泥だらけになった。
スパッツを装備してきたよかった…。



登山道が消えていた。
ビッショリ濡れた藪に突入しなければ先に進めないようだ。
意を決して藪を漕ぎ始めるとあっという間に下半身がずぶ濡れに…。
厳しい! これは厳しい!



道が…見えない…。
すぐ足元を沢が流れている気配がするのだが、どこが沢だか道だかさっぱりわからない。
こういう場所が道中に数ヶ所待ち構えている。
特に沢と道の高低差がある場所は足元が見えないのは結構な恐怖だ。



樹林帯に入ると下草がおとなしくなるので歩きやすくなる。
木に道標が括り付けてあるのを見ると、まんざら放置されている道というわけでもなさそうだ。
それならば道標を設置するより刈払でもしてくれよと思わなくもない。



明るくなると下草が元気になる。
頼むから日当たりに出てくれるな、最後まで樹林帯を進ませてくれ。
登山していて樹林帯に潜りたいと思う事も珍しい話だな…。



中腹まで来ると藪は影をひそめるが、今度は泥濘地獄が始まる。
何度もくるぶし付近まで泥にハマる。
帰宅後の靴洗いを考えると気が重いなぁ。



地図上で「挾間峠」と書かれている場所まで来た…はず。
広場のようになっているようにも見えるが、ただの草の原にも見える。
特に何か目印やランドマーク的なものは無い。



挾間峠を過ぎると山頂へ向かって登る急坂に差し掛かる。
ようやく登山道らしい登山道になった。
麓に近い場所のほうが荒れているとか、なかなか珍しい現象ではないだろうか。



山頂手前に小さな祠がある。
もう勘弁してくださいと手を合わせる。
帰宅後調べたらなかなかに社格の高い歴史ある神社のようだった。
こんな忘れられたような場所に伝説級の神社があるとは、ちょっと驚いた。

 

 



祠を過ぎると坂は一段と急になる。
木の根と落ち葉とどんぐりでたいへん滑りやすい。
帰りは気をつけよう。
どんぐりを踏んづけて坂を転げ落ちるとか嫌すぎる。



急な坂を登りきると山頂に到着する。
登山開始から1時間半しか経っていないのだが、随分長くかかったような気がする。



三角点タッチ!



山頂からの眺望は…残念ながら全方位こんな感じだ。
標高が1000mを超えているので、もしかしたらこの季節でも展望があるのではと思っていたが期待はずれだった。
まぁでも…日当たりの良い山頂だったら藪に埋もれていたかもしれないしね。



一瞬の達成感の後、現実に引き戻された。
ふぅ、またあの藪と泥の中を帰るのか…。
思わず天を仰いでしまった。



下山後のずぶ濡れの下半身と…



何かに取り憑かれた上半身。
全身に絡みついた草木の葉っぱや小枝、種子などを払い落とし泥を拭って車に乗るまでに実に30分もかかってしまった。


初めての明神ヶ岳だが、これがなかなか大変な山だった。
そんなに険しい地形ではないのだが、足元が見えない場所に沢があったりして気が抜けない。
なにより常に足元を脅かす泥濘と、じっとりと濡れた藪に精神力をゴリゴリ削られた。
小粒だがピリリと辛い…そんな山だった。
というか、完全に行く時期を間違ったという話なんだろう(笑
第10代天皇の時代に遡る歴史を有した山なのだから、もう少し整備すればパワースポットとか言って人を呼べそうな気もするんだけどねぇ。

おしまい

詳しいルート等はヤマレコにて