北海道遠征四日目は樽前山に登る。
特徴的な溶岩ドームを持つ苫小牧のランドマーク的な山だ。

アプローチの県道から駐車場の間は未舗装の林道だ。
よく整備されているが砂利が深いのと交通量が多いせいで滑りやすくなっている場所がある。



またシーズン中は駐車場が混み合うようだ。
朝7時の段階で駐車場はすでに満車寸前。
こんなに混んでいるとは思わなかったので面食らった。 

ちなみに駐車場が満車になると林道入口で規制がかかる。
早めに出かけるか時間に余裕を持った行程を。



次々にやってくる車を眺めながら人の流れが途切れるのを待つ。
ペンギン「わいも行くで! 野鳥観察や!」 
お茶「火山灰で滑りやすいから気をつけて」
いい具合に登山者の列が途切れたのでツートンを伴って入山した。



登山道はよく整備されている。
…が、火山灰土壌で崩れやすいのかあちこちで大なり小なり崩壊している場所がある。 



ペンギン「いえーい、樽前山踏破!」
お茶「いやいや、まだだって」
ツートンはここまで。
滑りやすい路面に恐れをなしたようだ。



15分ほどで頭上を覆う灌木が途切れ視界が開けた。 



支笏湖が見える。
ツートンももうちょっと頑張ればこの景色を見られたんだが…。 



ネジリバナ? 



足元には広大な原野が広がる。
地平線が見える…とまでは言わないが、北海道らしいスケールの大きな景色だ。 



外輪山に登る道は上に行くほどゆるく穏やかになっていく。
砂礫の平坦な道なのでハイキング気分で登れる。
実際、ファミリー層や観光客も多い。 



登山口から約50分、外輪山の縁まで上がってきた。
目の前には先程までとはガラリと違った風景が展開する。 



正面にこんもりと盛り上がっているのは溶岩ドーム。
今も盛んに噴煙を拭き上げている。
駐車場から一時間弱でこの景色だ。
人気のスポットになるわけだ。 



右に進めば、すぐに最高地点である東山を踏めるのだが、それではつまらない。
外輪山を時計回りに一周してこようと思う。 



分岐点から少し進むと溶岩ドームの影から西山が見えてくる。
西山は外輪山にあるピークの一つで、最高点の東山からは溶岩ドームを挟んで反対側に位置する。 



広々とした景色の中を風に吹かれて歩いていく。
気分はどこまでも爽快だ。
この開放感を言葉で説明するのは難しい。 



西山へ向かう道の途中には樽前山神社奥宮がある。
岩やコンクリートで覆われているのは、万が一の噴火の際にはシェルター代わりにするためだろうか。 



溶岩ドームからは時折風にのって硫黄の匂いが流れてくる。
突然噴火したりしないことを祈るしかない。 



だいぶ西山が近づいてきた。
比較対象物が少ないから距離感がつかめないな…。 



イワギキョウ…かな。
ペンギン「だから花の名前は(笑」 



遠くからでは平坦に見えた山頂一帯だがところどころに深いガリーができていた。
いかにも脆そうな地質なので大雨の後は通行注意かもしれない。 



浸食谷から西山へ一気に登っていく。
なかなかの急坂だが道は悪くない。
ゆっくり登っていこう。 



荒涼とした岩原も夏の緑に彩られている場所がある。
ビロードみたいで綺麗だな。 



緑のビロードに混じってイワブクロが咲いていた。
イワブクロの別名はタルマイソウ。
樽前山に多く存在することからつけられた名前だ。
樽前山はイワブクロの本場、というわけだ。 



西山の尾根に乗り上げる。 



するとまたガラリと風景が変わった。
火山風景だけでなく周囲の眺望が良いのもこの山の魅力。
支笏湖と羊蹄山のコラボレーションが素晴らしい。 



見た目より急な尾根を登り詰めると西山山頂だ。
標高は1000mに満たないが、いやいやどうしてなかなか、素晴らしい眺望だ。 



三角点タッチ! 



西山の山頂には何やら周囲の景観になじまない人工物が設置されている。
おそらく火山観測用の機器だろう。
まるで月面に着陸した宇宙船のようにも見えるな。 



さて、それでは後半戦に突入だ。
溶岩ドームに向かって西山尾根を下りていく。 



分岐を過ぎ風不死岳方面へ。
時間があれば風不死岳も…と思っていたが、午後から雷警報が出ているので割愛することにした。
また次回ってことで。 



分岐点まで来た。
せめて932m峰まででも行ってこようかと迷ったが、振り向くと真っ黒な雲が西山を覆い隠しているのが見えた。
…やめとこ。 



予報より天気が崩れるのが早いのかもしれない。
こんな何もないところで雷に曝されるのはゴメンだ。 



下界はまだ天気良さそうなんだけどねぇ。 



東山に向けてゆるゆると登っていく。
やたらトレランの人とすれ違うのはなぜだろう。
樽前山を走るのが流行ってるのか? 



ハァハァ…。
意外とキッツいな、この長い登り。
マイペースで登って行けばそれほどでもないだろうけど、雷が怖くてオーバーペース気味だ。 



山頂! 
…じゃなかった!! 



今度こそ、山頂!
もうもうと噴煙を上げる溶岩ドームの迫力がすごい。
一周してきたが、このアングルが一番迫力がありそうだ。 



三角点タッチ! 
樽前山には東山、西山にそれぞれ三角点があるようだ。 



東山のピークから少し降りれば、駐車場方面への道にぶつかる。
これで溶岩ドームの周りを一周したことになる。 



あとは駐車場に向けて下っていくだけだ。
このあたりでは多くの登山者…というか観光客とすれ違う。
おいおい、大丈夫か? 雷雲来てるぞ? 



階段…というか、ハードルを華麗に乗り越えて… 



ツートンと合流し登山口へ。
これにて無事下山。お疲れさまでした。
ペンギン「鳥、いなかったっぺ…」 



支笏湖畔から見る風不死岳と樽前山。 



支笏湖畔の野鳥の森にて野鳥観察。
ペンギン「コゲラ!」



樽前山は手軽に登れるわりに異世界感のある風景が見られる山だった。
それ故、なかなか人気のある山のようで、老若男女様々な年代の登山者が大勢訪れていた。
実際、盛んに噴気を上げる火山風景や麓に見える湖沼風景などが展開し見ごたえがある山岳風景だ。
外輪山を一周すれば、それらが角度を変え形を変え次々に眼前に展開し見飽きることがなかった。
今回は外輪山一周だけだったので三時間程度の山行だったが、風不死岳を行程に組み込めばもっと登り応えのある山行となっていたはず。
次回は是非チャレンジしてみたい。

おしまい

詳しいルート等はヤマレコにて