この日の午後の部は普代村の卯子酉山に登る。
まずは野田村から普代村の登山口に移動するのだが、つい先日全線開通した三陸道を使ったら15分で着いてしまった。
いやー、早いわ。
和佐羅比山で少し予定時間が押していたが、高速道路のおかげで時間に余裕ができた。これはとても便利だが、乗り鉄の端くれとしては三陸鉄道の未来が心配になってしまうなぁ。





鵜鳥神社の山門をくぐり入山する。
社務所などと一体になった拝殿は独特な作りをしている。
私の他にも数人の参拝客が居たが皆奥の院までは行かないようだ。



道の両側の杉木立がいかにも「参道」という雰囲気を醸し出している。



神道橋という石橋を渡ると間もなく「うがい場」という水場がある。
ここで身を清めてから奥の院へ進むのが習わしだとか。
常日頃から心身ともに清らかなので、ここは割愛して先へ進む。



うがい場から間もなく、今度は「お縒り場(およりば)」という水場がある。
ここは占い場ということで「紙縒りを作り池に投じ、沈めば願いがかない、水面に浮かべば願いかなわず」といわれているとか。
面白そうだが紙縒りが無いのでここも割愛。



さらに進むと今度は夫婦杉と呼ばれる巨木が現れた。
樹齢500年以上とされ普代沖の太平洋上からも見ることができるそうだ。
一本杉なのに何故夫婦杉?
さては片割れは枯れたか?
この疑問は下山時に判明する。



道はよく整備されているが岩ガラの急登や…



滑りやすい土道での鼻こすりの急坂などもあり、それなりにハードだ。
登山道であれば極上の部類だが、これが神社の参道と考えるとなかなか厳しい道だ。



岩が地面から突き出してゴツゴツしている。
完全に不整地だ。
足腰がしっかりしてないとお参りにも来れないなぁ。



途中にある石段は嘉永2年(1849)の建設だそうな。
神社の長い歴史が垣間見える。



階段を登った先に鳥居が見えてきた。
お、奥の院に着いたのか?



…と思ったら、まだ続きがあるようだ。
しかも下り。
エグい参道だなぁ(笑
足腰が弱いご老人などが無理をして登ってきていたら絶望するんじゃなかろうか。



参道を緩やかに下っていくと、ようやく奥の院が見えてきた。



奥の院はなかなか立派な構えをしていた。
沿岸にある神社は集落の規模に比べて立派なものが多いような気がする。
海がもたらす財力を現しているのか、それとも農家以上に自然の驚異に直面する漁師ゆえの信仰の篤さを現しているのか。



建物に近づくと壁に落書きがたくさんあることに気がついた。
けしからん!…と一瞬思ったのだが、豊漁祈願とか切実な願いが多い。
少なくともイタズラの類ではないらしい。
願いをお社の壁に記すのはこのあたりの文化なのかもしれないな。



奥宮のさらに奥に遠望地があるという情報を仕入れてきている。
もちろん見に行かねば。
拝殿の脇を抜け更に奥へ進む。



道は尾根の突端へと続いているようだ。



緩い上り坂は石の祠に出会って終わった。
どうやらここが終点のようだ。



この祠がある場所が展望地だ。
ここからは海が見渡せるし、足元には緑の牧草地が広がっている。
そうそう、意外なことだが三陸海岸の絶壁の上に広がる台地は酪農適地なんだとか。



また、ここからは午前中に登った和佐羅比山を眺めることができる。
この場所は海や和佐羅比大権現を遥拝する場所でもあったそうな。



奥の院を見学したらもと来た道を戻る。
そのまま下山するわけではなく、今度は卯子酉山の山頂へ向かうのだ。
まずは一旦登り返して二番目の鳥居へ向かった。



鳥居から脇道が分岐しているので登っていく。
「卯子酉山展望台」というものがあるようなので、まずはそこを目指そう。



展望…台?
鳥居からものの1分ほどで小高い丘に出た。
方位盤のようなものも設置しているが、ここが展望台だというのか。



うーん、神社の奥の祠付近のほうがよほど景色がいいなぁ…。



展望台がある場所は山頂ではない。
ピークを踏むにはさらに奥へ進む必要がある。
…あまり整備されている雰囲気が無いが…とりあえず行ってみるか。



道はすぐに頼りない踏み跡になってしまった。
山頂を目指す人は多くないのだろうか?



踏み跡はすっかり廃道化した作業道へ突き当たった。
うーん、これは不安な展開だぞ…。



作業道の廃道は山頂とは違う方向へ延びている気がする。
さりとて他に道は無し…よく見ると作業道の法面にかすかな踏み跡があるようだ。
行ってみるか。



微かな踏み跡を低木の枝に顔を撫でられながら進む。
すると2~3分で山頂に到達することができた。



灌木に囲まれ特に見るべきものもない山頂ではあるが儀式を済ませることにする。
三角点タッチ!



近くの木の幹に卯子酉山のプレートも確認できた。
女和佐羅比山のプレートと同じくステンレス製の簡易なものだった。
このあたりの山には、このタイプのプレートが多いのだろうか。



景色は残念だが咲き始めのツツジが山頂を彩っていた。
ピンク色の花が初夏の気配を漂わせている。



オオカメノキも。
こちらは春の名残の白色といったところだろうか。
しばし花を愛でた後、下山の途に就く。



夫婦杉まで戻ってきた。
一本なのになんで夫婦杉?と思っていたのだが裏から見て納得した。
ちゃんと二本あったわ。



あとは参道をたどって無事下山!
お疲れさまでした。

おしまい

詳しいルート等はヤマレコにて