今回は岩手山をマイナーコースで登ってきた。
実効性があるのかは疑問だが、岩手県独自の緊急事態宣言とやらが発出されている。
そんな中で密を避けて岩手山に登るならばこのコースだろうということでチョイスした。
まぁ、半分以上は建前だけど(笑



登山口…を出発! 
ちょっとズルしました。



まずは七滝を拝んでいこう。
自己責任で滝壺まで降りれるようだが先が長いので上から見るだけにした。



轟々と音を立てて流れる左俣沢。
今日は水量が多い気がする。
昨日の雨だろうか。 



左俣沢と並走するあたりまでくると黒倉山の大絶壁が覆いかぶさるように迫ってくる。
このコースにおけるビューポイントの一つだと思う。



大絶壁の景色は素晴らしいが足元はひどい泥濘だ。
うっかり変な場所に足を置くとくるぶし近くまで沈む。
下手をするとハイカットの登山靴でも水没(泥没?)しかねない。 



ここの渡渉は来るたびに足場が削れていくような気がする。



ここのヘツリもだんだん道幅が狭くなっているような…。
近年の大雨多発の影響なのか、全国的に登山道の崩壊が相次いでいるので心配だ。



温泉臭がしてくると大地獄谷が近い。
…さっき転びそうになって硫黄の泥の中に手を突いたもんだから自分自身からも温泉臭がする…。
いや、これ一日中この臭いに付き合うの?



いつ見ても荒涼とした大地獄谷。
あちこちから噴気が上がっている。
風のない日は硫化水素に注意だ。 



昨日の雨のせいなのか浮き石が多い。
慎重に登っていく。 



大地獄谷上部に至ってようやく鬼ヶ城の稜線が見えてきた。
岩手山本体はまだ見えない。
やっぱり長いな、七滝コースは。 



大地獄谷分岐まできても岩手山は見えなかった。
なんか真っ黒い雲で山頂付近が覆われている。
風も強いようなので当初の予定通りお花畑コースから登る。

 

ガサガサと笹をかき分けてお花畑に出た。
木道は破損しているし両脇から笹が侵食してきているし、どうもあまり整備の手が入っていないようだ。
昔は毎年刈払が入っていた気がするのだが…。
やはりこのコロナ禍の影響なんだろうか?



お花畑では野鳥がお出迎え。
百舌鳥のメスかなぁ?と思ったのだが、なんかちょっと違う気もする…。 



お花畑の分岐から先、道はさらに藪っぽくなってしまった。
視界が効かないため途中で変な踏み跡に迷い込みそうになってしまった。
危ない危ない。



木の枝に頭をぶつけ、笹の葉に頬をひっぱたかれ、アザミにチクチクさされながらお花畑コースを登りつめ不動平に到着。
樹林帯から出た途端強風にさらされる。 



でも晴れたじゃないの!
下から見た時は雨でも降っているんじゃないかと心配したけど。 



青空に気を良くしてイソイソとお鉢の淵に上がってくると…アレ!?



虚無だ…。虚無が広がっておる…。
泥に汚され、藪に蹂躙され、強風に弄ばれながら登ってきたというのにあんまりだよ…。



長居しても仕方がないと下山開始した直後…。



なんだぁ? 岩手山に嫌われたかな。
今年4回目、通算41回目の登頂だというのにツレナイねぇ…。 



下山はこちらから。
まずは平笠不動に降りる。 



イワブクロが健気に生き残っていた。



おや、不動平の避難小屋がいつもと違うぞ?
なんか網かかってないか?
どうやら改修工事を行ったようで足場が組まれていた。
窓の補修、屋根・外壁の塗装などが行われたようだ。 



不動平で一休みした後は屏風岩コースを下る。
おそらく岩手山の登山道の中で最もマイナーなコースだろう。
なんかもう入り口からして「ここ行っていいの?」っていう感じになっている。



数年前に通った時より草が生い茂っているような…。
やはりあまり利用者がいないのだろうか。 



屏風尾根に続くこのロケーションはなかなかのものだと思うんだけど。



左側に道が続いているように見えるが、ここは私が立っているハイマツの茂みの中に入っていくのが正解。
このように何ヶ所か道が分かりづらい場所がある。
テープやペンキを見失わないように注意が必要だ。 



鬼ヶ城を向こうに回し雄大な景色が広がる…はずなのだが、雲に邪魔されて今日はイマイチな感じ。 



反対側の八幡平市方向は良く見える。
麓は晴れているのだな。
天気が悪いのは山頂付近だけのようだ。 



次々に姿を表す大きな岩がゴジラの背のよう。 



米倉が見えてきた。
屋根をかけたような形からそのように名付けたものか。
とりあえず尾根歩きはあそこまでとなる。



米倉の足元まで来た。
標柱が立っているのがわかるだろうか。
あそこが下降ポイントだ。 



振り返ると平笠不動の大岩がまるで要塞のように見えた。
これでお鉢が見えていたらもっといいんだけど。



では、下ります。
一見しただけでは道があるようには見えんのですが(笑 



樹林帯の中に入ってしまえば道型はわかる。
ただ、特に下りでは足元が見えづらいので雨裂に足を突っ込んで転ばないように注意が必要だ。 



雪崩の跡地で樹林帯が途切れたので、振り返ると米倉が尾根上にそそり立っているのが見えた。




こ、これは…。なめこ?
自信が無かったので収穫はしなかったけれど。



御苗代湖近くまでくると明瞭な登山道に復帰となる。



あとはお花畑で往路と合流し… 



大地獄谷を経て七滝へ戻る。 



大地獄谷の下りは登り以上にご用心。
大雨が多いせいか雨裂ができて足元がもろくなっている場所がある。 



泥濘と長い樹林歩きに苦しめられたが、どうにかこうにか無事に下山。
お疲れさまでした。


密を避けるという建前で辿った今回のコース。
実際、お鉢周辺以外では数人に出会っただけだった。
ハイシーズンの百名山に登っているとは思えないほどの静かな山行だった。
屏風岩コースに至ってはコース内で出会った人数はゼロだ。
静かで豊かな原初の岩手山の雰囲気を楽しめる良コースだと思うがどうだろう。
ただし他の賑わっているコースに比べれば道の整備状況はそれなりなので、そのへんは覚悟して入山するべし。
初心者だけで歩くのはちょっとお勧めしないかなぁというところだ。

おしまい