この日は雨予報だったが季節の花を見に行こうということで濡れるのを覚悟で八幡平に向かった。
麓の天気は霧雨、時々粒の大きな雨がぱらつくという予報通りの天気。
ところが、アスピーテラインを登っていくと次第に空が明るくなり、ぽっかりと雲の上に出てしまった。
晴天とは言えないまでも高曇りのまずまずのお天気。
これだから、山は来てみないとわからない。



予報が悪かったせいか見返峠の駐車場はガラガラでハイカーの姿もほとんど見かけなかった。
ドラゴンアイが有名になって以来、今の季節は観光客で麓から渋滞することもあるという。
そんな中、この静かな八幡平の景色は貴重だろう。

 

静かだ。
ドラゴンアイが有名になってから、この季節は連日渋滞が発生すると聞いていた。
この静けさは、人混み嫌いな我々にはありがたい。

  

さっそくビンズイが出迎えてくれた。
木の上で盛んにさえずっている。


負けじとウグイスも出てきた。
樹の葉に隠れていることが多いので、声はすれども姿は見えずな事が多い。
今日は人間が少ないので表に出てきたのかもしれない。 



この後混まないとも限らないので、まずはドラゴンアイを見に来た。
お立ち台には誰も居ない。
貸し切りだ。 



ドラゴンアイも終盤だ。
もうじき崩壊しそう。
今日は曇り空なので色がいまひとつ。
写真で見るような青い瞳にはまだ出会ったことがないねぇ(笑

  

登山道周辺にはたくさんの花が咲いていた。
キヌガサソウは華があるよねぇ。 



気品漂うミヤマスミレ。

 

可憐なミツバオウレン。

 

春の使者ショウジョウバカマは雪の下で出遅れた組(笑

 

シラネアオイ。



お、ルリビタキ?
今年に入ってから数回目撃したが、いずれも遠かったり角度が悪かったりで、まだちゃんと観察できていない。 



あっさり山頂に到着した。
誰もいないねぇ…。
いつも混んでいる場所が静かすぎるのも若干不気味ではある。
貴重な光景だけど。

 

条件が良ければ展望台の上から八甲田や岩木山が見えたりもするのだが、今日は雲に遮られて見えない。
天気予報からすると雨が降っていないだけでも御の字だけどね。

 

いつもうつむいているベニバナイチゴ。
薄幸美人的なイメージ(笑

 

ミヤマカラマツ



プロペラみたいなノウゴウイチゴ。

 

カワイイ…というか、面白い形をしているイワナシ。
なんかオバQを思い出すんだよねぇ。

 

いつもの散策コースを巡る。
ガマ沼と岩手山。

  

八幡沼と源太森。 



湿原を貫く木道へ進む。
当然、お目当ては花だ。 



ヒナザクラが一大群落を作っていた。



チングルマはぽちぽち咲き始め。
盛りはもうちょっと先かな。

 

ベゴの舌…もといミズバショウ。
他にもヘビノマクラだのアジアンスカンクキャベツだのひどい異名だらけの植物。
キレイなんだけどねぇ。



イワカガミ。



だぶんウスバスミレ。 



ツバメオモト。



ヒューヒューと音を立てて風が吹き付けてきた。
おや、そろそろ天気が崩れてくるのだろうか。



雪解け後間もないので湿原の水も豊富だ。 



チングルマとヒメシャクナゲ。
かわええ~。



池塘も満々と水をたたえている。
温暖化の影響か八幡平の池塘は乾燥傾向にあると聞いたが、雪解け直後の今の様子を見ていると信じがたいものがある。

 

ミツガシワはもうちょい。



湿原を縦断し源太森に到着。
ここも貸し切り。
いやぁ、静かでいいな。 



今日はこのへんで引き上げることにしますか。
源太森で折り返して見返峠へ戻ることにした。 



今度は湿原の南側に進む。

  

やはり、ほとんど誰にも会わずに戻ってきた。
シーズン真っ盛りの土曜日に、こんな静かな山歩きが楽しめるなんて想像してなかった。 



サンカヨウ。



ハクサンチドリ。



ミヤマキンポウゲ。



これは、ウソ。 



ウソだぴょーん。
いや、ほんとほんと。 



ウグイス、再び。
ホーホケーッキョ!
…なんか変な鳴き方するやつだな…。 



最後はビンズイが見送ってくれた。
ありがとう、また来るよ。


今回の八幡平散策はとにかく静かだった。
天気予報様様である。

周りが静かだからなのか、野鳥も登山道のすぐそばまでやってきてくれた。
撮影はできたりできなかったりだったが、間近で鳥たちの動きを観察するだけでも楽しいものだ。

足元の花々もゆっくり見ることができたし、なにより混雑の元凶のドラゴンアイは我々二人の貸し切りであった。
なんだこれ、最高か。

雨でも霧でも足元の花が見れれば…くらいの気持ちででかけてきた八幡平。
思わぬ良い条件で散策を楽しむことができてラッキーだった。
微妙な天気予報でも出かけてきてみるものだなぁ。

おしまい