過去に林道の通行止めに阻まれて登ることができなかった帝釈山・田代山に再挑戦してきた。
今度は事前にアプローチ道の情報を仕入れ万全の体勢で臨むことにする。
その林道だが整備されていて普通車でも走行は可能だ。
時々鋭い形の岩が路面から突き出しているのでパンクやホイールの破損に注意が必要ではあるが。



長い林道のアプローチを経て、帝釈山登山口に到着。
ちょっとのんびりしすぎて到着が遅くなった。
いそいそと身支度を整えて出発する。 



登山道はのっけから急な登りだ。
まだ温まっていない体が悲鳴を上げる。
立派な木道が整備されているが段差が大きめでちょっとつらい。

 

さっそくオサバグサが登場!
さぁ、オサバグサ祭りの始まりですよ! 



そこかしこに咲いているオサバグサ。
オサバグサ祭りの名に恥じない咲きっぷりだ。 



オサバグサ以外にもタケシマランとか… 



ミツバオウレンとか… 



イワナシなど、多彩な花が咲いていた。
否が応でもツートンのテンションが上がる上がる。 



木道が終わると急な角度はそのままに岩場の登りとなる。
足があがらーん! 体がおもーい!と悲鳴を上げながら進んでいく。 



ポッカリと明るい場所に出た。
帝釈山の山頂だ。
早っ! 
まだ登山開始から40分しか経ってないぞ。
馬坂峠からだと帝釈山の山頂を極めるだけならば実に簡単だ。 



山頂からの眺めはなかなか素晴らしい。
あれは…燧ヶ岳? 



会津駒ヶ岳はまだまだ白い雪に覆われている。 



会津駒の後ろには遠く越後の山々も。
去年登った平ガ岳あたりだろうか? 



さて、40分登って下山というのも、あまりにもアレなので田代山まで往復してこようと思う。
うーん、結構下るのね。
帰りはもう一度登りになるが…まぁいいか。 



アズマシャクナゲは終わりかけ。
ほとんどの花がしおれかけていた。
比較的キレイに残っていたやつをパチリ☆ 



シャクナゲの足元の岩場にはイワカガミが盛りを迎えつつあった。
ピンクの花部門、選手交代ってところか。 



ある程度下ると道は平坦になる。
苔の林床と相まって日本庭園のような風情を醸し出している。
なかなか趣のある登山道だ。

 

オサバグサ祭り、再開!
いやぁ、売りにするだけあって本当にすごい数のオサバグサが咲いている。 



コミヤマカタバミも咲いていた。 



バイカオウレン。
福島以南の分布らしいから岩手では見れない。
珍しいものを見れてラッキー。 



ウスバスミレ…でいいんかな~。
スミレはさっぱりだわ。 



楽しみは足元ばかりではない。
突然、目の前の木の枝にカワイイのが現れた。
キクイタダキ? 
特徴のある頭頂部が見えないので断定はできないが…。 



最低鞍部付近には未だ雪が残っていた。
とはいえ、通行に支障があったり登山道を見失うようなレベルのものではない。
涼風をもらってひと跨ぎといったところだ。 



何やら騒がしいのがいるなぁと思ったらホシガラスだった。
聞き慣れた鳴き声とちょっと違う感じだったから誰かと思ったら。 



鞍部から少し登り返すと木立の向こうに建物が見えてきた。
大師堂兼避難小屋と新しくできたというトイレだろう。 



ログハウスみたいでワクワクするな。
ちょっと中に入ってみよう。 



おっと。
外見とは裏腹に中は純和風だ。
真新しい畳が青々としていて居心地が良さそうだ。
弘法大師様も見守ってくださるぞ。
しかし…ここで寝るとなると、なんだか他人の家の仏間で寝るような気分になりそうだ(笑

 

小屋の前からは木道が林の中へ続いていく。
この先に田代山湿原があるはずだ。
行ってみよう。

 

林を抜けると目の前に一面の湿原が広がった。
田代山湿原だ。
この湿原をぐるっと一周できるように木道が設置されている。
ちなみに田代山湿原の周回コースは反時計回りで一方通行になっている。
離合ポイントもほとんどないので、これは是非守ろう。 



広々とした高層湿原は「別天地」と呼ぶに相応しい。
景色ももちろんだが、この季節と言えばやはり楽しみは花ということになる。 



チングルマとタテヤマリンドウ。 



ヒメシャクナゲも祭りといっていいほど咲いていた。 



案の定、ツートンの歩みは亀のように遅くなるのであった。 



お、タテヤマリンドウの群生だ。
なかなか見応えがある。 



ピンクの共演、イワカガミ&ヒメシャクナゲ。 



一面にヒメシャクナゲなどが咲いていて湿原がほのかにピンク色に染まっている。
まさに天空の楽園だな。
小さな画像では伝わらんかもしれないが。

 

楽園の外苑を守るかのようにそびえ立つ会津駒。
これもかっこいいな~。 



湿原の中に唐突にT字路が現れた。
左方向には猿倉登山口などの文字があるが、右方向については何の言及もない。 



それもそのはずで右方向はこんな感じになっている。
廃道…なのか。
木道が途切れている場所にロープも張ってあるから少なくとも一般登山道ではないのだろう。 



分岐を左に進むと、もう一度T字路が現れる。
これは右方向は猿倉登山口へ行く現役の道だ。
我々は左手へ向かい、周回路を小屋がある方向へ戻っていく。 



帰りは湿原の真ん中を突っ切っていくコースだ。
木道の脇には池塘が点在し、素晴らしい景観を作り出している。
はぁ…、天国だな。 



田代山湿原の只中に田代山山頂の標識が立っていた。
しかし、そこはどうみても周りに比べて低い位置にある。
本当のピークは小屋のあるあたりのようだ。なぜここに標識立てたんだ? 



山頂標識の前から見る景色は、やはり見渡す限りの高層湿原だった。
山頂という言葉が、これほどしっくりこない山頂も珍しい(笑



たっぷり一時間半ほどもかけて湿原を一周してきた。
景色にも花にも大満足なひとときであった。
いやぁ、いい山だね。 



田代山に別れを告げ下山の途に就く。
下山とは言え帝釈山に登り返さなければならないんだけどね。 



帝釈山山頂直下は、結構険しい道だった。
下る時はあまり感じなかったのだが…。 



こういうメタボ返し的な狭窄部や… 



はしごが架かった岩など、なかなかアスレチックな感じの登山道だ。 



谷底から雲が湧いてきたな。
いよいよ夏山らしくなってきた。 



帝釈山に戻ってきた。
暑さと寝不足で若干体調がよろしくない…。
少し風に吹かれてクールダウンしていこう。 



トントントンっと調子よく階段を下っていくと、突然目の前の木に一羽の小鳥が舞い降りた。 



なんだかモジャモジャした鳥が現れたぞ。
ファーマフラーつけたセレブみたいな?(発想の貧困)
…ん~、ルリビタキのメス??? 



最後にカワイイ森の住人にも出会えて楽しい気分で下山してきた。
お疲れさまでした。 



そうそう、馬坂峠登山口では檜枝岐村の方から記念品のバッチをいただいた。
特に山開きの日とかではなかったと思うので、これは思いがけないサプライズだった。
聞くところによるとオサバグサ祭り?のような感じで6月20日までバッチを配っているのだとか。
大盤振る舞いだなぁ。

帝釈山と田代山、初めて登ったが良い山だった。
序盤のオサバグサに始まり、湿原ではヒメシャクナゲを始めとする高層湿原に咲く花たちが百花繚乱。
全体的に眺望を得られる場所も多く見どころが多い。
終始楽しい山歩きができて大満足の一日だった。

おしまい