午前中に宰郷山に登ったが、まだ時間があるため近くの別の山にハシゴすることにした。
烏泊山という盛岡近郊にある里山だ。
近くにある七ッ森なんかに比べると地味でマイナーな存在だが、盛岡から雫石方面に向かって進んでいくと右手に必ず目に入る山である。

この山には純然たる登山道は無いが鉄塔巡視路が尾根に沿って設けられているので、それを利用させてもらって登る。
里山らしく作業道があちこちに延びているが、鉄塔巡視路の標識を頼りにすれば問題なく山頂にたどり着けると思われる。
駐車場などは無いので邪魔にならない場所に車を停め入山しよう。



まずは市道から烏泊山に向かって延びる鉄塔巡視路に入る。
近くに住宅街へ続く舗装路もあるのでどっちを通っても良い。

 

なんか藪っぽいな。
あまり整備されていないのだろうか。 



巡視路は浄水場や住宅がある場所に出る。
山頂へ行くには方角的には直進なのだが、巡視路はここを右に折れている。
さて、どうしたものか?

 

ついでだから巡視路に従って八幡館山の山頂も踏んでおこうかな…ということになった。

 

足跡一つ無い雪の急斜面を登っていく。
年末年始の大雪の後は誰も入山していないようだ。

 

鉄塔の下に出ると眺望が広がる。
八幡館山は低山ながらも送電線のおかげで眺めが良い山になっている。

  

盛岡市内全域が見渡せるくらいには広い視界が確保されている。
とても気持ちが良い場所だ。
もしかしたら、初日の出を眺めることができるかもね。

 

広場の一角には「頂上」と書かれた石の標柱がある。
その上には、なぜか猪が載っている。
標柱は表参道沿いに他にも有るようだ。
おそらく他の標柱には十二支がそれぞれ載っているのだろう。

  

景色を楽しんでいると雪原の中をこまちが走ってくるのが見えた。
白地に赤の塗装は雪の中に良く映えるな。
E6系がデビューした時、派手過ぎないか?と思ったが、こんなにも雪景色に似合うとは思わなかった。
  


景色を堪能した後は烏泊山を目指す。
送電線が2系統あるが、烏泊山へ向かうのは右のほうだ。
この後も鉄塔巡視路を利用するので見当違いの方向に進まないように注意しなければならない。

  

とはいえ、鉄塔巡視路は山頂に向かうことを目的にしていない。
なので完全にアテにはできないのだ。
巡視路の標識に惑わされて、ちょっとだけ山中をウロウロするハメになってしまった。

 

正しく巡視路をたどれば、やがて道は明瞭な尾根筋に乗っていく。
ようやく登山らしくなってきた。

 

登るほどに急になる巡視道。
雪の下に階段の感触がある。
この階段にアイゼンが引っかかってしまい、かえって歩きづらい。
とはいえ、登山者のために整備したわけでも無いだろうから、文句を言う筋合いではないのだが…。
  


本日二本目の鉄塔に出会う。
ここまでくればキツイ登りはおしまいだ。

 

鉄塔の下をくぐり、巡視路は尾根伝いに延びていく。

 

細長い尾根が南北に続いている。
樹林に囲まれているが明るく気持ちが良い尾根道だ。
このあたりからあちこちから野鳥の囀りが聞こえてくるようになった。
鳥にとっても気持ちが良い場所なのだろうか。

 

鉄塔巡視路が左右に分かれていた。
左側の道は支尾根に設けられた鉄塔へ向かう道のようだ。
右の道が山頂へ続く道となる。

 

分岐点から先は小さなアップダウンを繰り返しながら尾根上を進んでいく。
風が通る場所なのだろう。
ところどころに小さな吹き溜まりができていた。

 

山頂は唐突にやってきた。
尾根の途中の広場みたいな場所だったので標識がなければそれとわからなかっただろう。
さっき越えてきた小さなピークのほうが高い場所にあったような気がするのだが目の錯覚なんだろうな。
  


疑り深い私は、三角点を掘り出してみた。
三角点の標柱は、ちゃんと雪の中から姿を現してくれた。
うん、間違いなく山頂だね。 



山頂からの展望は樹木の枝越しに…という感じであまりよろしくはない。
眺望は残念だね…などとツートンと話していると樹木に止まったカラスが威嚇するように喚き始めた。
「おらのネグラをディスってんじゃねーぞ!」
「…すんませんでした」

  

午前中登った宰郷山が見え…ない!
残念でした。 
さて、カラスに襲撃される前に帰るか~。



下山の時は急な階段斜面に要注意だ。
尻もちならまだしも、アイゼンを引っ掛けて前に転んだら一大事だ。

 

登りで右往左往した樹林帯にも要注意。
細かな作業道が方々に分岐している。
もっとも帰りは正解を知っているので最短距離を進むことができた。
「え、ツートンはどれが正解だったかさっぱりなんだけど…」

 

住宅のある場所に出たら、あとは舗装道路を車のある場所まで戻るだけだ。
そういえば、このあたりにみちのくプロレスの道場があるという話を聞いたことがあるけど…。
なんだか隠れ里にある秘密道場みたいっすな(笑


初めて烏泊山に登ったが、冬の日だまりハイクには最適ではないだろうかという感想を持った。
樹林に囲まれ眺望は得られないが、それほど樹木が密になっていないため山の印象は明るい。
隣の八幡館山は眺望が優れているので、繋いで歩けば充実度が増すだろうと思う。

おしまい