北上山地のほぼ中央、区界からほど近い場所にある火石山に行ってきた。
この日は天気はいいがとても寒い日で、道中に見た温度計は朝の九時頃でマイナス17度を表示していた。
見間違いかと思ったが、その日の最低気温は区界でマイナス23度を記録し観測史上最低だったのだそうな。
いやはや、どおりで寒かったわけだ。

この寒さのせいか、経年劣化のためか、登山準備中にスノーシューのバンドがブツリと切れてしまい使用不能になってしまった。
さすがに登山前にリタイアというのも悔しいので、急遽ツボ足での登山に切り替えることにして入山。
さて、どうなることやら。



まずは林道歩きで登山道…というより、登山ポイントまでアプローチする。
この時期は登山口まで車で入れないので、林道の入り口に車をデポした。

 

川が凍っている。
流れの中程が凍るとは!
今朝は寒かったからなぁ。 



とあるポイントから斜面に取り付く。
道は無いが積雪期ならではのショートカットだ。 



雪の斜面を漕ぎ、上部林道に出た。
そこら中に伐採された木が積まれている。
中には「売約済み」の札がかかったものもある。
ここで一冬寝かせて乾燥させているのだろうか?
それとも、単に積雪までに山を下ろせなかっただけ?



上部林道を横切り、再び山中へと入っていく。
ここは踏み跡がある。
最近のものではなさそうだが、登山者か林業関係者か?



道型が雪の上からでもうっすらと分かる。
おそらく鉄塔巡視路だろう。
この鉄塔巡視路が我々を山頂まで導いてくれるはず。

 

積雪は30センチほどだろうか。
ごく軽い雪なので底づきしてしまうが、おかげで踏み抜き気にしなくてすむ。
ツボ足でどこまで行けるか心配だったが、この調子だとなんとかなりそうだ。

  

明瞭な作業道が続く。
これなら道迷いの心配は無さそうだ。

 

標高が800m越えたあたりから雪が深くなり、ツボ足では難儀するようになってきた。
歩けないほどではないが、あきらかにスノーシューを履いたツートンとの差が広がってきた。
これはなかなか厳しい戦いになりそうだ。

 

ついに送電線の真下まで到達した。
あとはこの下を辿っていけば山頂近くまで導かれる…

 

…はずだったのだが、鉄塔巡視路を雪の下に見失ってしまった。
中途半端な積雪のため、笹薮と巡視路の見分けがつかない。
結果、道なき道をゆくハメになってしまった。 



谷を超え… 



藪を突破していく。
まだ雪が浅く、どこでも歩ける状態になっていないのが辛いところ。



再び作業道らしき物を見つけることができた。
今度こそ我々を山頂に導いてくれるのだろうか。 



いい天気だなぁ。

  

快適快適♪
道の有無でかなり労力が違う。 
途中、どうなることかと思ったが、作業道に復帰できたのでこの先は大丈夫だろう。



…そう思っていたら、ふたたび道が消失してしまった。
というか、この一面の笹薮の原のどこかに道はあるのだろうが見分けられないのだ。
笹藪の上に積もった雪はスノーシューを履いていても深く潜り、なおかつ絡みつくという最悪の状況。

 

厄介なのは道のように見える場所を選んで歩いているつもりでも実は笹薮だったりすることだ。
これはだめだ、どうやっても見分けがつかない。
30分かけて500mも進めない状態に陥り、ついに撤退を決断した。

 

帰りは往路で突破に苦労した場所を迂回しつつ新たな経路を求めた。
そういう時、カモシカの足跡をたどると斜面の弱い場所が分かる。
野生の勘はすごい。

  

足跡に導かれて比較的楽に林道に出ることができた。
カモシカ先生、あざーっす。 



帰りはあえてショートカットは使わず林道を辿ってみた。
次回、リベンジする時の偵察も兼ねている。

 

夏はこの看板まで車で入れるようだ。



しかし、下から歩かなければならない冬だと、林道経由だとちょっと冗長に感じる。
やはりショートカット作戦は間違っていなかった。
リベンジ時の作戦を考えるうえで参考になった。

スノーシューの破損という入山前からのトラブルに見舞われた今山行。
結果的には雪が軽すぎて、スノーシューだろうがツボ足だろうが大差はなかった。
場合によっては笹の葉にシューが絡まってしまい、ツボ足のほうが身軽に歩けたりしたので、道具による困難度の差異はあまりなかったのだ。

しかし、この軽すぎる雪のせいで笹薮の上では踏み抜きがひどく、送電線下の見通しの良い場所で進退窮まるという事態に陥ってしまい無念の敗退となった。
今回は完全に行く時期を間違った。
もう少しして雪が締まり、どこでも歩けるようになったら、今日の苦労は考えられないような楽な行程となるだろう。
そのうちリベンジしなくては…。