久々の遠征にでかけましたが、いきなりちょっとしたトラブルに巻き込まれました。
最初に狙った山が県道の通行止めで登れなかったんですね。
一応、出かける前に道路情報は確認していったのですが…。
おかしいなぁ…。




そのため、急遽予定を変更して蒲生岳にチャレンジすることに。
予定変更で登山開始が遅くなり、登山口に着いた時には気温がかなり上がっていました。
今年は長梅雨で、暑い中を登るという経験をほとんどしていなかったため、このいきなりの暑さは堪えます。




麓の駐車場付近から蒲生岳を見上げています。
なにやら水蒸気を纏ってムワムワしていますな。
小さな山ですが広い駐車場が設けられており、道路を挟んで向かい側にある建物のトイレを使用することができます。
 




登山口は駐車場から少し離れているので、車を停めてから会津蒲生駅へと続く路地を歩いていきます。
この先には本当に駐車スペースは無いので要注意。 





只見線を渡る踏切を越えていきます。 





豪雨災害で長期不通になっている只見線ですが、ようやく復旧の槌音が聞こえてきました。 
この日も復旧工事が行われていて、山の上から軌道バイクが線路を往復しているのが見えました。





畑なのか草地なのか判断しにくいですが、登山口付近はきれいに整備されていました。
山開きのイベントが有ったりするようで、地元としては多少なりとも観光資源として期待しているようです。
もっとも、本日は今の所我々の貸し切りのようですが。
 




登山道は最初、木漏れ日が涼し気な樹林帯の中を通っていきます。 





しかし穏やかなのは本当に最初だけで、登山道はすぐに急な坂道に変わってしまいます。 





岩山のイメージでしたが、意外と土っぽい登山道。
例外なく急坂で、よく滑ります。 





もう少し標高が上がると露岩の急坂になります。
土より滑りにくくていいですね。
ただし、頭上を遮るものが無くなり強い日差しに直接炙られるようになりました。
じわじわと…いや、ゴリゴリと体力が削られていきます。 





岩場に根を張る「夫婦松」という一対の松がありました。
寄り添う姿にツートンが「私達みたいだね」などと言っておりますが、片方がちょっと弱っているような気がします。
さて、弱っているのは私かツートンか(笑
今日の体調という意味なら、間違いなく私が弱々であります。
 




「南尾根コース」と書かれた看板がありました。
しかし、全てが均等に急な斜面に見え、尾根や谷の存在を感じられません。
 




青と黒のツートンカラーの蝶が現れ、我々の周りをひらひら舞ってくれました。
なにこれ、かっこいいな!
微妙に厨二心がくすぐられるカラーリングじゃないですか。
あいにく蝶には詳しくないので種類はわかりませんが。 





登るほどに傾斜は急になり、ゴツゴツとした岩場になっていきます。 
だんだん二本の足だけで登るのが困難になり、時々手を使った4WD走行を強いられるようになりました。





登山口から1時間ほどで鼻毛通しの分岐に到着しました。
ガイドブックには、この分岐から反時計回りに登ると書いてあるのですが、ここは険しいとされる左側の道へ行こうと思います。
下りが少しでも緩やかな方が安全であろう…ということなのですが、果たしてこの判断は吉と出るか凶と出るか?
 




分岐からすぐ岩場が始まります。
険しい岩場とは聞いていましたが…これはなかなか…。
鎖が張られ足の置き場にペンキが塗られて整備は行き届いていますが簡単な場所では無いと思います。
 




鎖を頼りに岩壁をヘツっていきます。
低山の岩場の何が怖いかって、岩の上に落ち葉なんかが積もっていることですよね。
そこに足を乗せていいのか。
滑らずにしっかりホールドしてくれるのか。
足に裏から伝わるわずかな情報を判断材料に、ジリジリと登っていきます。





岩場の中ほどに松の茂みがあり、ここで一息つくことができます。
岩場に方を寄せ合って生えているからなのか「家族松」という名前が着けられているようです。
 




それぞれの木に、それぞれ名前も着けられているのが面白いですね。
文字がかすれて判読できないのが残念ですが、さすがに「おそ松」とかではなかったように思います。 






松の茂みから出ると、再びひりつくような岩場が始まります。
 



手がかり足がかりはたくさんあるし鎖も張られているんですが、ワンミス即死に変わりはなく緊張する場面が続きます。 






下界が丸見えなので高度感も半端ないしー…。
余裕があれば「いい景色」なんでしょうけど。 






延々と続くかに思われた壁登りも終わりの時を迎えます。
無事に山頂に着きました。
いやー、良かった。なんとか登れましたよ。





山頂には二神神社のお社が鎮座しています。
そういえば山頂で二本…、二匹の蛇を見たんですが、もしや神様の化身だった?
…などと、この時はのんきに構えていたんですが、他の方の山行記録を見ると山頂でマムシを見たというのが散見されるんですね。
アオダイショウかと思っていたんですが、あれはもしやマムシだったか?
怖い怖い!
 




山頂は低木が茂っていますが、それなりに眺望は得られます。
これは北側。 





東側。 





南側の風景がお勧めなのか、こちらにだけ案内板が設置されていました。
 




案内板によると手前に見えるピークの左後方に会津朝日岳が見えるようです。 





そしてこちらの方角には浅草岳が見えるとのこと。
ちょっと雲が多くて、どれが浅草岳なのか定かでないのですが。 





景色を眺めているうちに汗も引いてきました。
下山は鼻毛通しを回って行こうと思います。
登りに使った道よりは「緩い」そうですから。 




緩い?
どこが??
ものすごい高度感と、うっかりしたら転がり落ちそうな岩場なんですけど。
確かに登りに使った岩場のように中空に体を晒すような場所はないですが、ゆるいなどとはとても言えない険しい道が続きます。





滑りやすい岩場を必死の思いで下っていたその時、悲劇が起きました。
カメラバックからカメラがこぼれ落ち、二回ほど地面をバウンドしてからヤブの中に消えていったのです…。
まったく一瞬の出来事で咄嗟に手を伸ばす暇もありませんでした。
もっとも、下手に手を出していたら自分も滑落したかも…。

落ちていくカメラに自分が滑落する姿が重なったり、金銭的な損害を考えたりしてしばらく呆然としてしまいました。
しかし、いつまでも危険な岩場に張り付いているわけにもいきません。
なんとか気持ちを立て直して下山を再開します。





カメラを落とした場所から10mくらい下った場所に「風穴」というものがありました。
この風穴にアクセスするため、道が僅かに横に延びているのですが、なんとこの平場にカメラが留まっていてくれました!
私はもうカメラは遥かに崖下に落ちていったものとばかり思っていたので気が付かなかったのですが、私の後に風穴を見に行ったツートンが見つけてくれたのです。






見た目には多少汚れたくらいで、レンズや液晶に割れや日々も無し。
電源を入れて見ても動作に問題は無さそう。
奇跡だ…。
うまい具合に枝葉や草で減速して柔らかい土の上に落ちたのでしょう。
20センチもずれていたら岩だったので本当に幸運が重なって無事に帰ってきてくれました。 





しかし、カメラが落ちる一部始終を見ていた私の精神的なダメージは思ったより深かったようです。
カメラが無事に帰ってきて気が抜けてしまったのか、膝が震えてきて上手く歩けません。
そこからは這いずるようにして麓を目指すことになってしまいました。
 




山頂からそれほど離れていない鼻毛通しの岩。
ここまでが今の私にとっては遠いのなんの…。
 




鼻の穴の中から空を見上げる図。
昔、穴の向こうに生えている木の枝が、この穴を通して向こう側にまで伸びて、まるで鼻毛のように見えたことから鼻毛通しの岩と名付けられたそうな。
見たまんまじゃないですか。なんつー安直なネーミング(笑





なんとか鼻毛通し岩分岐まで戻り危険な場所を脱したものの、次第に体調が悪くなってきました。
今年は長梅雨で体が暑さに慣れていないことと、先程のカメラ落下による精神的なものとが相まったのでしょう。
ポカリなどを飲みつつ、騙し騙し下っていきます。
 




コースタイムは大幅に超過してしまっていますが、焦って怪我をしてもつまらないですし、ここは我慢のしどころ。
麓はすぐそこに見えているのに、道のりはものすごく遠く感じました。
 




ヘロヘロになりながらもなんとか下山。
険しいとはいえ小さな山に思いの外苦戦させられました。
標準コースタイムが2時間40分のところ、休憩時間込みとはいえ4時間20分もかかってしまった…。
 


初めて登った蒲生岳ですが、なかなか厳しい登山でした。
急登ということもあり最初から異常に発汗。
さらに鼻毛通し分岐から先は緊張を強いられる岩場が続き、さらに冷や汗がドバドバ。
下りではカメラを崖から落とすという大失態を演じ、これがトドメになりました。

熱中症になりかけたのか、あるいは別の要因だったのかわかりませんが山中で思うように動けなくなるなんて…。
もしかしたら遭難の入り口に立ち入っていたのかもしれません。
久しぶりの遠征登山だというのに、反省点ばかり多い山行となってしまいました。




本日みかけた鳥さん。
百舌鳥かな?

おしまい