下北遠征、二日目の午後は大湊にある釜臥山に登りました。
釜臥山は下北半島最高峰であり麓から見てもよく目立ち、山頂には自衛隊のレーダー基地が設置されていて北の海の安全を守っています。

下北半島最大の都市であるむつ市から近いため麓にスキー場も開かれており市民の憩いの場でもあります。
それだけに開発され尽くした感もあり、1990年版の東北百名山に選定されて以後、2000年版、2010年版ではリスト落ちしてしまいました。
しかし一度は名山に選定された山です。
はるばる下北半島まで来たわけですし、取りこぼさず登って行きます!

さて、釜伏山の登山口は釜臥山スキー場になります。
登山届ポスト、トイレなどは未確認。
第2リフト乗り場まで車で入ることができますが、道が洗掘されていたりしてコンディションがよくありません。
我々も様子が分からなかったので途中の広場で車をデポしました。




ゲレンデの途中からスタート


  

ガタガタの簡易舗装道を第2リフト乗り場まで進む

  

第2リフト乗り場から先は純然たる徒歩道。
とはいえゲレンデの真ん中を登っていくのであまり登山道っぽくありません。
南斜面で遮蔽物がないので日当たりがよくじっとりと汗が滲んできました。
斜度もなかなかのものなので、うっかり気温が高い時期に来たらけっこう過酷かも…。

ただ見晴らしは最高です。
振り返ると陸奥湾がきれいに見えます。
海上自衛隊の基地には護衛艦が数隻入港していてグレーの船体が異彩を放っていました。




見晴らしの良いゲレンデを登っていく

  

すずなみ…かな?

  

多用途支援艦すおう…だと思う

  

…なんだろ? 水中処分船???
  


日当たりの良いゲレンデを延々と登っていく
  



第2リフト降り場まで登ってきました。
このあたりまでくるとむつ市街地も見えてきます。
そこからさらに登っていくとゲレンデトップ。
展望台のような建物が建っていて中で休憩することができるようです。
とりあえず、まだ大きく休憩するほど疲れてはいないですし先客が憩っていたのでスルーして先を急ぎます。
時間があれば帰りにでも寄ってみましょう。




第2リフト降り場あたりまでくるとむつの街が見えてくる


  

ゲレンデトップには展望台のような建物が

  

展望台?を過ぎるといよいよ釜臥山が間近に迫ってくる




ようやく登山道らしい登山道になった…と思っていたら唐突に道が二手に分かれていました。
当然直進だろうと先へ進みましたが実はコレが岩の上に出るだけの行き止まり。
正解は左に降りるでした。

ここのプチ道迷いは数メートル余計に歩くだけで済みましたが気をつけなければ…。
というのもガイドブックや地形図では一本道のように書かれていた登山道が実際はあちこち分岐があることが判明したからです。
ゲレンデとは別の場所を経由して水源地公園とかいうところに行く道のようです。
分岐は一ヶ所だけでなく数ヶ所あるようで下山の時は迷い込まないように注意が必要かと思います。

途中に謎の穴蔵があります。
天然の岩穴のような、人工物のようなよくわからん代物。
厳重に鉄の扉で封印されていますが何か祀ってあるのでしょうか?
それとも何か軍事的なもの?
結局、なにかヒントになりそうなものもないので正体不明で終わりました。


  

道が二手に分かれている?


  

一本道のはずだったが実際はあちこちに分岐が…

  

謎の建造物

  

中腹以降は一旦灌木帯に入る




灌木帯を抜けると目の前に特徴的な岩場が見えてきます。
薬師天と呼ばれる大岩のようです。
宝剣やしめ縄の残骸があるので何か祀られているもののようですが、その岩肌には真新しいアンカーが打ち込んでありました。
どうやらクライミングしている人がいるようですね。
いいのか?(^^;

さすがにこの岩を直登することはできないので登山道は左手へ逃げていきます。
このあたりは里山と侮ってはいけません。
岩場のトラバースはそれなりに高度感があります。
まぁ一瞬のことではありますがね。

薬師天の上部から山頂直下の区間がガラ場になっていて、ここがおそらく一番の難所でありましょう。
見た目よりも落ち着いていない岩が多く、不用意に足を乗せるとグラグラ動きます。
下手をすると人頭大の岩を落としてしまいそう。
慎重に足を運びます。



  

灌木帯を抜けると特徴的な岩場が見えてきた


  

薬師天と呼ばれる岩のようだ

  


いつの間にかかなり登ってきていた


  

地図のようなものが設置されていたが判読不能


  

登山道は薬師天を左手へかわす


  

それなりに高度感がある


  

山頂直下のガラ場




ガラ場を抜けると山頂はもうすぐそこ。
この先は自衛隊の管理地域になるそうな。
安全のため立ち入りを禁止する場合があるとの注意書きがありますが、それって有事の際ってことですかね?
いやぁ…そんな日が来ないことを願いますね。
のんきの登山してられるのも平和だからこそです。

基地の敷地を避けるようにフェンス脇を通り抜けると釜伏山の山頂です。
ここの三角点は基地の敷地外にあるので難なくタッチすることができました。
全国、あちこちの山に自衛隊関連の施設があり、三角点が確認できない場所も多いですが、ここは親切設計(笑



  

ガラ場を抜けると山頂はもうすぐ

  

レーダー基地が目前に迫ってきた

  

基地の横を通り抜けて…

  

山頂!

  

ここの三角点は基地の敷地外にある
  


記念写真♪




釜伏山山頂には釜臥山獄大明神が祀られています。
一方、神や仏といったスピリチュアル?なものがあるのと同時に最先端の科学技術の結晶である軍事レーダーが鎮座していたり。
なかなかカオスな感じですねー。

我々が登ってきたのと反対側には遊歩道が設置されています。
そしてその先には駐車場が。
そう、この山は車で登れてしまうのでした。
我々ヘロヘロ隊は「楽できるところは楽をする」がモットーなので釜臥山は車で登ってもよかったんですけどね。
今回はちゃんと下から自分の足で登りました。
午前中の縫道石山が2時間強の山行時間だったから体力が有り余っていましたし前日に蓄えたカロリーを消費しないままにしたら太ってしまいますし~。





釜臥山獄大明神が祀られている


  

巨大なレーダー設備

  

実は山頂近くまで車で来ることができる
  



さて、山頂からの眺めですがグルリ全方位!というわけにはいきません。
残念ながら基地のある方向は完全に視界が遮られています。
しかしそれでもフェンス越しには宇曽利山湖が見えますし、昨日登った大尽山も見ることができます。
そして陸奥湾やむつ市街地、その向こうにはなんと太平洋までも見ることができます。
下北半島のマサカリの柄の部分は実はこんなに細いのですね。
陸奥湾を挟んで南側には青森市、そしてその向こうには八甲田や岩木山も見える…はず。
残念ながら今日は雲が多くて判然としません。





基地のフェンス越しには宇曽利山湖が見える

  

むつ市が指呼の間に見える

  

この方角には青森市、そして八甲田や岩木山が見えるはず

  

昨日登った大尽山が二本のレーダーアンテナの間に見えた




景色にも満足したので下山します。
あまり遅くなって昨日のように暗くなっては困りますから。

凍結している山頂直下と例のガラ場、そして薬師天の岩場と少々険しい場所を慎重に下ります。
薬師天のすぐ下に地図にない分岐が水道公園に誘いますがここもクリア。
あとはサクサクとゲレンデに向けて下っていきます。

せっかくなので登りの時にスルーした展望所に寄ってみました。
展望所の中は椅子や机が並べられ休憩できるようになっています。
避難小屋を兼ねている感じで地元の山岳会が管理してくださっているようです。

この休憩所、実に眺望が素晴らしい!
ここで夜景を見ながら一泊…なんてのもいいかもしれませんねぇ。
そんな妄想が捗ります♪

小屋の壁には地図が貼ってありました。
やはりあちこちに地図にない登山道が張り巡らされているようです。
他のコースはどんな感じなんでしょうねぇ。


  

下山します!

  

サクサク下っていく
  


せっかくなので立ち寄ってみます

  

眺めの良い展望所

  

小屋の壁には釜臥山の地図が貼ってあった




居心地がいいのでうっかり長居してしまいました。
窓越しの日光が夕方の色に変わってきたことに気づき慌ててゲレンデを駆け下ります。
ゲレンデの真ん中を突っ切っていく道は、まるで海に向かって一直線に下降していくかのよう。
このまま海まで飛んでいけたら気持ちいいでしょうね。
最後は少し駆け足になりましたが、なんとか暗くなる前に下山。
無事に帰還することができました。



  

やばい長居しすぎた!


  

海に向かって駆け下る
  



無事に下山!




旧東北百名山の釜臥山、実はここも一度敗退している山でした。
縫道石山と違って道に迷ったとかではなく、車で登ろうとしたら冬季通行止めだった…という話なんですけどね(笑
というわけでこちらも10年越しのリベンジを果たすことができました。
長く下北半島に残してきた宿題、今度こそ片付けました。

スキー場やら基地やらで人工物にまみれた山ではありますが、登ってみたらなかなか楽しい山でした。
明るく開放的な登山道、緩すぎずさりとて厳しすぎない斜度、山頂からの見晴らしの良さ…ファミリー登山には最適だと思います。
東北百名山の選からはもれてしまいましたが登る価値のある一山、そう思います。

おしまい