突然思い立ち、下北半島にある大尽山に登ってきました。
この山は恐山の一角になり宇曽利山湖の対岸にきれいな三角形を描いて立っています。
大尽山の姿は写真などで見たことがある人は多いのではないでしょうか。
ただし登るという話になるとそれほど登山者は多くないようで、アップされている山行記録もそれほど多くありません。

登山道は大きく分けて恐山側から入る道と反対側の川内側から入る道があります。
短時間で登れるのは川内側からですが、林道がしばしば通行止めになるとのこと。
今回は林道の情報が得られなかったため確実な恐山側からの入山としました。

出発の時間が遅くなり、途中で混雑に巻き込まれたりしたことから時間が遅くなりました。
登山口を出発したのが12時少し前。ちょっと褒められたものではないですね。




宇曽利山湖の対岸に見えるのが大尽山

  


登山口の駐車場には7台ほど車がとまっていました。
マイナーな山で登山者も少ないと思っていたのでこれには驚きです。
ただ…軽トラとか箱バンが多いなぁ…。
これ登山者じゃなくて収穫者じゃないだろうか?(笑

時間的にかなり出遅れているので急いで入山します。
登山口には丸太の柵が設置されていて車両の侵入を阻んでいます。
ここからしばらくは登山道というより遊歩道で平坦な道が続くための措置でしょう。
実際に歩いてみると四輪はともかく二輪であれば余裕で通行できそうな道なので、こうした措置が必要なんでしょうね。

この宇曽利湖畔の道は「東北自然歩道」に認定されているようです。
東北自然歩道というとみちのく潮風トレイルでお世話になっていますが、整備後に荒廃したイメージしかわきません(笑
ここは大丈夫なんでしょうかねぇ?

心配を他所に、特段大きな破綻もなく東北自然歩道は左手へ分かれていきました。
そこから先は林道となりますが、大尽山への登山道はまだ先です。
覚悟はしていましたがアプローチ区間が冗長ですねぇ…。

1時間ほどでようやく登山口に到着します。
山の姿はずっと見えていたんですが、取り付くまでがとにかく時間がかかる山です。




登山口


 

車両を阻む丸太の柵 




まずは東北自然歩道を進んでいく
 



途中からは林道になる

 

正面に大尽山が迫ってきた…が、まだ登らない


 

ようやく本来の登山口に着いた 




登山口を過ぎたものの、まだ登っていきません(笑
まだまだ平坦な道が続きます。
この道、本当に山頂に向かっているんだよな?と不安になるくらいです。

コースの半ば…いや、3分の2を過ぎた頃、登山道はようやく登りへと転じました。
右側に流れている沢とともに、一気に登りつめて大尽山の肩を目指すようです。
ここまでまったく標高を上げて来なかった分を一気に取り戻すべく、道は一心不乱に上を目指していきます。

標高が上がるにつれて針葉樹林からブナ林になり林床を笹薮が埋め尽くすようになります。
10年くらい前のガイドブックには、この笹薮をかき分けるようにして進むとありましたが、現在はキレイに刈払されています。
ピンクテープも生真面目に等間隔でたくさん設置されていてコース整備に力を入れていることがわかります。
行政が頑張っているのか、山岳会や個人のボランティアが行っているのかわかりませんが助かりますね。




しかし、登らない(笑




微妙に怖い橋があったりする

  


ようやく本気で登り始めた


 

沢とともに登りつめていくようだ

 


これまでのだらけっぷりを取り戻すように真面目に登る

 

刈払がきれいに行われていて安心感がある


 

ピンクテープも要所要所に設置されている




大尽山の肩まで登ると道は反対側から登ってくる一体地蔵方面からの道と合流します。
一つになった道はここからさらに山頂を目指すのですが、ここから山頂までの区間がなかなか大変でした。
終始鼻こすりの急傾斜が続く上に路面には厚く落ち葉が積もっています。
さらに悪いことに、そのうえには雪がうっすらと積もっているではないですか。
この三者の相乗効果で路面がとにかくよく滑り、よじ登るのに難儀させられました。
合流点からわずか200mの区間に30分ほどかけて、ようやく山頂に到達です。


 

一体地蔵方面からの道と合流




道は一つとなり、山頂を目指す

 

山頂直下は鼻こすりの急傾斜

 

いつ滑るかわからない落ち葉だらけの急斜面 



ようやく山頂に到着




山頂では「東北百名山」と大書された山名標識が出迎えてくれます。
まずはこれとともに記念撮影。
これまでも東北百名山に選定された山をいくつも登ってきましたが、こうした標識はあまり見たことがありません。
○○百名山の中ではマイナーな部類だからかなぁと思っていましたが、こうやって高らかに宣言されているのを見ると攻略を目指している人間としてはちょっとうれしいですね。

ちょっと雲が出てきてしまいましたが、それはそれで幻想的な光景。
平舘海峡から陸奥湾あたりの海が見えます。 
アンテナが立ち並んでいるのが明日登る予定の釜臥山。 
足元に目を転じるとハート型の宇曽利山湖が鈍く光っています。
その向こうには太平洋。

我々が山頂にいる間に、僅かですが風が出てきました。
気温も下がってきたような気がします。
名残惜しいですが下山しなくてはならない時間のようです。
その前に…誰もいないことがわかっているので遠慮なく大声で叫んできました。
「大尽山、登ったどーーーー!!!!」
ああすっきりした♪


 

「東北百名山」大尽山

  


平舘海峡・陸奥湾


 

アンテナが立ち並んでいるのが釜臥山 




ハート型の宇曽利山湖と太平洋

  


登ったどー!!!


  

帰りも登りと同じ道を下りますが、怖いのは断然下りです。
落ち葉のせいで地面が見えないのが難度を上げています。
落ち葉の下にあるのは石か泥か、はたまた木の根か。
少し油断するとたちまち足を取られてひっくり返ってしまいます。
まぁ、その落ち葉が受け止めてくれるので怪我はしないような気もしますが…。

足元にヒヤヒヤしながらも分岐点まで戻ってきました。
ここまでくればもう大丈夫。
あとは登山口に向けて淡々と下っていくのみ。






恐る恐る…

 

分岐までもどってきた

 

サクサク下って林道に出て… 



無事に下山しました




さて、初めての大尽山でしたが、コースの大半が林道と遊歩道歩きなので正直なところ冗長ですねぇ。
特に平坦地歩きが好きでないツートンには不評でした。
まぁ、たしかにアプローチだけで往復8キロはちょっと退屈かも。
もう少し天気が良ければ紅葉を愛でながらの散策となり、また少し違った感想になったかもしれません。

そんな序盤のダラダラ感とは打って変わって、山頂直下はゴリゴリの急登で骨が折れます。
ただでさえ鼻こすりの急登はこの日、落ち葉と積雪でズリズリのスリップ道になっていてだいぶ苦労させられました。
もうちょっと雪が多かったら登れなかったかもしれません。

急登を突破してたどり着いた山頂は見晴らしがよく、360°の展望が得られます。
陸奥湾や平舘海峡、反対側には太平洋が一度に見ることができ、ここは半島にある山なんだなぁと改めて実感させられる景色でした。
足元の宇曽利山湖もキレイに見ることができましたが、いかんせん曇っていたので色がくすんでしまったのが残念。
もっと晴れていれば火山湖特有の鮮やかな青色が見られたかもしれません。
でも、まぁまぁ満足できる眺望でした。

無事に下山できましたが、わずかに想定時間を押してしまい車に帰り着いたのは日没後となってしまいました。
帰り支度をしている間に暗くなってしまいました。
危ない危ない…。
やはり里山とはいえ時間に余裕がない登山は危険ですね。
今回の反省点です。

おしまい