連休の遠征最終日は福島県と山形県の県境にある栂峰に登ってきました。
どうも天気予報が大きく変わり、南から天気が崩れてくるということになり福島県から北に逃げた次第です。
ううむ…やはり今回の連休も天気にケチが付いたか。

栂峰は東北百名山に選定されてはいますが、あまり登山記録なども上がってこないマイナーな山です。
ただ、毎年9月に麓の住民により例大祭が行われ、そのために登山道も整備されていると聞いてはいたので行ってみることにしました。
急な予定変更ですが、こんなこともあろうかと地図を用意してきて良かった!

長く険しい林道を終点まで走破。杉の木立に囲まれた広場が駐車場になります。
広場の先にも林道が続いているかのように見えますが、すぐに行き止まりになり展開場所もないので広場に車を止めたほうがいいです。
轍が続いていたので「まだ行けるんじゃね?」と突入したら、バックで戻る羽目になりました…。






林道終点直前の広場に駐車



なんとなく予想はしていましたが他に駐車している車はありません。
どうやら今のところ入山者は我々だけのようです。
久しぶりに人の気配の無い登山となりそう。

先ほど車で行き止まった道を進むと奥にお社や鳥居のようなものが見えてきます。
おそらくそこが登山口だと思うのですが沢に阻まれて近づけないように見えます。
しばし辺りをウロウロして見つけたのは周囲の景色に同化した一本の木橋。
うーん…めっちゃ苔生えてますねぇ。
そして傾いている。

恐る恐る最初の一歩を踏み出し、後は勢いで対岸まで渡りきりました。
一歩目のミシッというかベコっていう感触が気持ち悪かったです。
初っ端から不安にさせられる展開ですね。

無事に沢を渡ると「栂峰登口」という標識が設置されています。
地面に落ちてしまっているのはご愛嬌。
また登山口には石造りの祠が安置してあって天照大御神が祀られていました。
栂峰は信仰の山らしいので、よそ者の我々としてはお邪魔させていただくという謙虚な気持ちで登りたいところです。



 

周囲に同化した木橋


 

ここ、行くのか…


 

ここが登山口で間違いないようだ


 

天照大御神が祀られている



天照大御神にご挨拶して登山道に踏み込んでいきます。
季節柄…なのか、年中変わらないのかはわかりませんが、地面には落ち葉がびっしり降り積もっていて踏み跡はごく薄く入山者の少なさを思わせます。
しかし道幅は広く、周囲の林との境も明瞭なので不安になるような感じではありません。
これが例大祭前に毎年行われるという道の整備の賜物なのでしょうか。

ただし決して安楽な道というわけではありません。
里山にありがちな直登で最短コースを登っていく道形なので斜度がキツイ場所が多いです。
前半戦は眺望も得られないので我慢の時間となります。
ここは腰を据えてじっくり登っていきましょう。



 

踏み跡は薄い


 

しかし道幅は広く明瞭 




直登登山道なので斜度がキツイ

  


笹薮も広く刈払われていて安心♪


  

アキレス腱が伸びる…




1102ピークと名付けられた小ピークまで来ると斜面の角度が少しだけ穏やかになります。
樹林も葉を落とした広葉樹となり視界も開けてきました。
木々が開けた先に、我々が目指している栂峰らしき山も見えてきました。
まだまだ遠そうですね。

登山道は基本的に一本道で迷いそうなところは少ないのですが、一ヶ所だけうっかり道を外してしまいそうな場所があります。
それは水場とされるところで、登山道からまっすぐ沢へ直進するように見えるところです。
実は登山道はその少し手前で右に直角に曲がっているのですが、うっかりそれを見落とすと沢の中を直進するように見えるのです。
栂峰へ続く道には沢筋を歩く場所は無いので、もし沢に迷い込んだらそれはコースから外れたということ。
すぐに引き返しましょう。



 

1102ピークまで登ると傾斜が緩む


 

水場は枯れているような気がした
確認はしていないけど


 

登山道は右に90°曲がっている




道の真ん中に唐突に神様がいらっしゃった。
御田神社、とある。
道の真ん中に祠とは斬新な…。

さすがに道の真ん中に祠があるのはここだけだが、栂峰へと至る道の途中にはいたるところに神様がいらっしゃいます。
巨木の下とか小ピークがある場所、池の畔などわかりやすいランドマークがある場所はもちろん、なんでここに?と思ってしまうような場所にも、本当にあちこちに神様が祀られていました。
八百万の神々…ですから「いたるところに神在り」なんでしょうけど、それにしてもずいぶん多いです。
今日は確実に人の数より神の数のほうが多いですねぇ。
うっかりあっちの世界に行っちゃわないように気をつけないと!



 

道の真ん中に神様が…

 

御田神社の側には季節外れの花が咲いていた

 

今度は巨木の下に駒形神社


 

もうとにかく、あちこちに神様がいらっしゃる


 

ここにも 




ここにも 




コース中のランドマークには必ず神様がいる 




蔵王神社のあるピークまで登って小休憩。
風向きが変わったのか、標高が高くなったからなのかはわかりませんが急速に気温が下がってきたような気がします。
ここまでずっと登りっぱなしできましたが、ここから先は栂峰に向けてほぼ水平移動となります。
体が冷えないうちに栂峰へ行ってしまうことにしました。

蔵王神社から栂峰までの間は再び針葉樹林帯となります。
下草も旺盛ですが、刈払はここでも変わらず広く行われておりある程度の前方視界を確保できています。
途中には野生動物の存在を暗示するように地面が掘り返された跡がありました。
地面を掘り返して球根?を食べたのでしょうか。
藪の中でこんな新しい動物の痕跡を見つけたら恐怖意外のなにものでもないですが刈払のおかげで安心して歩けます。







蔵王神社まで登れば一息つける





変わらず道は広く刈払してある


 

またしても神様


 

食痕…だろうか?



眺望は得られないが穏やかな道だ

 

人よりも神様のほうが圧倒的に多い




頭上が開けてきたなぁと思ったら栂峰山頂の広場に飛び出しました。
山頂は明るい広場になっていますが、よく見ると木が倒れてこのような広場が出現したようです。
もしかしてご神木が倒れたってことでしょうか?

倒れた木の根元には数体の権現頭が祀られています。
すぐ近くにはわりと最近作られたと思われる「やまがた百名山」の標柱も設置されていました。
明るく穏やかな雰囲気の山頂ですが眺望は限られており、わずかに麓の町が見えるだけです。
山頂の少し先まで足を延ばすと展望所があるので足を延ばしてみます。

展望所からは西吾妻山や蔵王などを眺めることができます。
恥ずかしながら現地では方角を勘違いしており、飯豊山を眺めている気になっていたんですけどね(笑

しばし眺めを楽しみましたが、そのうちに何か黒い雲が迫ってきました。
よく見ると雲の下には虹がかかっているではないですか。
ということはアレは雨雲なのでしょうか。
この季節に山中で雨にあたるのは御免被りたいので急ぎ下山の途につきました。



 

少し空が開けてきたなぁと思ったら… 



栂峰山頂に到着!

  

やまがた百名山の標柱もある 



山頂からはわずかに米沢、南陽市方向が見えるのみ


 

展望所からは西吾妻山や蔵王などが見える 




たぶん米沢の街
  



正面が西吾妻だとすると、向こうの双耳峰は磐梯山かな?


  

黒い雲が迫ってきた




山頂広場まで戻ってきたところで一人の登山者とすれ違いました。
てっきり我々の貸し切りだと思っていたのでちょっとびっくり。
向こうは車で我々の存在を知っていたので、少しだけ安心して入山してきたんだとか(笑
わかる、その気持。

その方いわく林道がひどくて登山口まで入れず、途中に車を捨ててきたとのこと。
途中で思いっきり車の底をぶつけて気持ちが萎えたそうな。
ああ…思い当たる場所がいくつかあるなぁ…。
その方としばし談笑し、あとは急いで下山しました。
 




雨など降られたら大変なので急ぎ下山


 

登りの時、見ることがなかった景色を回収しつつ下る 



なんか雪雲っぽいものが…



半分くらい下山したところで、スーッと辺りが暗くなるのを感じました。
その直後、辺りからパラパラと乾いた音がし始めます。
その音の正体は雪でした。
最初は雨か雪か判然としなかったのですが、徐々に粒が大きくなり雪だと判明。
今年の初雪は栂峰で迎えることとなりました。

久々に見た雪に若干テンションが上りましたが、これ以上天気が荒れても困るので下山スピードを早めます。
まさか本降りにはならないでしょうが向かいの山が白く烟っているのも気にかかるところ。
落ち葉ですっ転ばないように気は使いましたが、なんとか無事に下山することができました。
車に着いたところで本降りの雨に変わったのでギリギリセーフではありましたが。



あたりが一瞬にして暗くなった 




あ、雪だ! 雪でしたぁ!
  



これ以上荒れてきたらたまらないので急いで下山! 




無事帰還!




さて、栂峰ですが最初に結論を書いておくと、この山の核心部は登山口までの林道です(笑
集落に近いところはかなり入念に補修されていたので、このまま最後までフラット林道なのかなと思ったら途中から状況が一変。
洗掘でガタガタの路面、一発で曲がりきれない急カーブ、深すぎる水切りの溝など普通車にはかなりハードな道になります。

この日は私を含めて4台車が入っていたのですが、登山口までたどり着けたのはジムニーだけでした。
例大祭の近くだともっと走りやすい道になっているんでしょうかね?
とりあえず、現状だと途中にある古いコンクリート橋の手前までが楽に走れる限界でしょうか。
その橋を過ぎると引き返すのも容易でないので運転に自信の無い方、車を傷つけたくない方は、コンクリート橋手前までにしておいたほうが無難ですよ。


登山道ですが、こちらは事前情報どおりキレイに刈払いされていて迷う心配は殆ど感じませんでした。
踏み跡は薄いのでつねにフカフカの草地を歩いている感じで足にも優しい感じ。
ただ傾斜がキツイ場所が多いのでゆっくりじっくり登るのが良いかと。

また、あまり眺望を楽しめるような場所はないのですが、あちこちに神様が祀られているのでそれをチェックしながら登るという楽しみがあります。
私は不勉強なので天照大御神と駒形神社、それと蔵王神社、あと神武天皇くらいしか分からなかったのですけれども。

神々がおわす山、栂峰。
地味でマイナーな山ではありますが、なかなか印象に残る山でした。

おしまい