11月の三連休は福島方面へ遠征に行ってきました。
久々に台風などの極端な気象条件に見舞われることがない連休となり喜びもひとしおです。

さて、今回初めて訪れた奥会津の山、浅草岳。
ヒメサユリで有名なこの山は四方から登山道が山頂を目指しています。
今回は初挑戦ということで最も無難なネズモチ平から登ることにしました。
ただ、岩手からだと最も遠い登山口なんですよね(^^;
慣れない道だったこともあり北アルプス北部に行くのと、そう変わらないくらい時間がかかってしまいました。

登山口までのアプローチは全線にわたり完全舗装の林道です。
道幅が狭いので対向車があれば離合に難儀しますが、それほど難しい道ではありません。
やがてぽっかりと樹林帯が開けると50台くらいは楽に止めることができそうな広い駐車場に出ます。
ここにはトイレと休憩所、そして登山届ポストがあります。
舗装林道そのものはさらに山奥へと続いていますが、ゲートが封鎖されており車で入っていくことはできません。
駐車場から登山口まで10分ほど林道を歩いていきます。




広い駐車場完備




林道はさらに続いているが車はここまで


 

しばらく舗装路を歩く


 

前方に見えるとんがり山が浅草岳…ではない
みんな見間違えるようだ(笑 




駐車場から10分ほどで登山口に到着




登山道は白崩沢沿いに延びているので、いくつか小さな枝沢を渡渉します。
沢そのものは大したことがないですが、そこから溢れた水のためか、はたまた北斜面だからなのか、あたり一面湿っぽく登山道も非常にスリッピーでした。
泥濘を埋めるためにあちこちに丸太が転がしてあるのですが、これがまた激しく滑るという(笑
足の置き場に気を使う登山道です。

比較的無難な登山道、とはいえ2kmの間に標高差700mを稼ぎ出すのは容易ではなく登山口から急登に次ぐ急登が続いていきます。
滑りやすく傾斜が急な登山道…これは下りも苦戦するパターンっぽい。
足の置き場に良さそうな石も苔が生えているのかズルッズルに滑ります。
いや~、これはなかなか手ごわいぞ。
 



渡渉


 

道に転がしている丸太が激しく滑る


 

スリッピーで急な登山道 




豪雪地帯のためか森林限界は低く標高1200mを越えたあたりから景色が開けます。
灌木の枝の間からは(おそらく)守門岳が見えますし、たおやかな山襞を連ねた奥会津の山々が見えてきます。
また行く手には目指す浅草岳がなだらかな姿を見せていました。
山岳風景写真では浅草岳は峻険な姿を見せていることが多いですが、こんな穏やかな表情もあるんですね。
おおらかな景色に心癒やされる一瞬です。





露岩の広場に出ると視界が広がった




守門岳…かな? 




気持ちの良い空間が広がる




目指す浅草岳




登山口から一貫して急な傾斜を登ってきましたが前岳分岐でその苦行から開放されます。
前岳の前にまずは浅草岳の山頂を踏んできますかね。
ここから浅草岳の間は楽しそうな稜線歩きのようですし。

一歩踏み出すとそこは予想通り最高の景色が広がっていました。
おそらく初夏には多くの花で彩られるであろう高層湿原が秋の色に染まって金色に輝いています。
このあたりはヒメサユリが有名なんでしたっけか。
シーズンの頃はあの可憐なピンク色の花がこの湿原を彩るのでしょうか。


 

前岳分岐に到着


 

前岳から浅草岳の間は楽しそうな稜線歩きだ


 

花の季節に来たらすごそうだなぁ



この湿原を守るため木道が設置されています。
ところが、これが谷側に傾斜していて、おまけにものすごく滑るという罠仕様。
そーっと足を置いても、スルスル~っと滑り始めるんですよ。
もうどうやったってまともに歩けません。
転んで脇腹を打ってあばら骨を折る…という未来が見えたので、傾きが大きい部分は木道を降りて草を踏んで歩きました。
申し訳ないけれど危険を犯してまで植生保護する勇気がありませんでした。
木道を補修するのはなかなか大変だと思うので尾瀬で見かけたスリップ防止のゴムネットでも被せてほしいなぁと思います。

我々が生まれたての子鹿のようにギクシャクしながら歩いていると数人の登山者に追い抜かれてしまいました。
なぜそんなにスタスタ歩けるんだ!?
歩き方が上手いのか?
それともソールの材質が違うのか??
あるいは、我々がビビりすぎなのか???



  

濡れた木道が現れた





生まれたての子鹿(笑


 

足元が気になって景色に気が向かない(笑




滑る木道にビビりながらも、なんとか無事に山頂に到着しました。
浅草岳は三方から登山道が延びているのでそれぞれから登ってきた登山者で賑わっています。
山頂からは展望は全方位で、眼下に光り輝く田子倉湖はもちろん、北関東の山々、越後三山、そして燧ヶ岳と至仏山と名だたる名山が連なっているのを見ることができました。
なかなか贅沢な眺めではないですか!

快晴無風の山頂はポカポカと暖かく、ついつい長居してしまいました。
コーヒーを飲んだり甘いものを食べたりしながらまったりと過ごす時間は至福のひと時。
台風や雨に邪魔されてなかなか山に行けない日が続き、今日は久しぶりの会心の晴天です。
これが楽しくないわけがないですな。




  

なんとか転ぶことなく山頂に到着! 





厳重にガードされた三角点




登ったどー!


  

眼下には田子倉湖が


 

燧ヶ岳、至仏山あたりが見えている…らしい


 

一番右のギザギザしたのが八海山…らしい


 

明日登る予定の会津朝日も見えている…はず 




振り返ると守門岳…でいいんだよね?




私達がゆっくり休んでいる間にも続々と登山者が登ってくる。
狭い山頂はあっという間に人で一杯になってしまった。
皆口々に久しぶりに連休が晴れたことを喜んでいる。
うんうん、そうだよねぇ。この天気だもの、みんな登りたくなるよね。

十分に山頂を堪能したので下山します。
帰りも同じ道。
気楽な反面、面白さに欠ける部分もありますが、前岳までは文句なく美しい湿原を通るので良しとしますか。

一つ懸念だったのは「超絶滑る」木道。
しかしこれも日差しに照らされて乾いてきていてあまり滑らなくなっていて助かりました。
余裕を持って周辺の景色を楽しむことができました。
枯れ草の黄金色の中に青い光を放つ池塘とか、咲き残りのリンドウの紫色とかが特に印象的でした。




  

満足したので下山する


  

景色は枯れ色だが池塘は満々と水をたたえている


  

咲き残りのリンドウ


 

恐怖の滑り台木道も乾いてきた


  

やっほ~




前岳分岐まで戻ってくると、さっきまで立っていた標識が引っこ抜かれて地面に転がされていました。
そういえば途中で湿原に張られたロープを緩めて回っている人に出会ったっけ。
どうやら冬支度をしているようです。
豪雪地帯ゆえに、そのままにしておくと雪の重さで壊れてしまうんでしょうね。
あの滑り台木道のように。

往路でスルーした前岳の山頂も踏んでおくかと寄り道したのですが、残念ながら前岳の山頂は道が着いておらず藪こぎしないと到達できませんでした。
山頂のすぐ脇を、鬼が面山へ向かう道が通っているのですが山頂はスルーされています。
藪こぎしてまで頂を踏む根性も無いので回れ右。
泥濘を越えて来たというのに…とんだ無駄足でした。


  

指導標も冬ごもり

 

前岳の山頂も踏んでおこうと思ったのだが… 




藪! え?山頂って踏めないの?


 

鬼が面山方面への登山道を眺めて踵を返す 



前岳の山頂を踏めなかったのは残念でしたが仕方がありません。
そうなれば、あとは安全に下山するのみ…です!
前岳分岐まで戻り、そこからは急な坂をひたすら下っていきます。

この区間、懸念していたとおり、かなり滑りやすい路面でした。
濡れた岩の上に泥と落ち葉がミックスされたものが乗っかっていて、いきなりずりっといくのです。
不意打ちが怖くて及び腰になり、ついには両手も駆使する四駆モードにチェンジ!
(最近の呼び方だと『AWDモード』ですかねぇ?)
油断したのか、あと少しで登山口…というところで一発転けましたが、なんとか無事に帰り着きました。
いやぁ、思ったとおりなかなか手ごわい下りでした。




転げ落ちるように急な坂を下っていく 




泥と落ち葉ミックスなんだよなぁ


 

ついに四駆モードに


 

どうにか無事に登山口まで帰還


 

舗装路を10分歩き駐車場に戻る




下山後の楽しみとして車で5分くらいの場所にエコミュージアムというものがあります。 
建物の中に森林の仕組みなどを解説した展示がある他、周辺に遊歩道が整備されています。
遊歩道の一部はバリアフリーになっていて車椅子でも散策可能なのだとか。
遊歩道にある展望地からは今しがた登ってきた浅草岳が見えるポイントも有り、山行の締めにもってこいでした。

 

 

 




浅草岳、初めて登りましたが良い山でした。
帰路のスリップゾーンで若干嫌いになりかけましたが(笑
ヒメサユリが大変美しいとのこと。
機会があればシーズンに再訪したいところです。

さて、連休一日目は無事に終了。
二日目は会津朝日岳に登る予定です。

おしまい