2018年7月28、29日の二日間で朝日連峰の以東岳に登ってきました。
久々にけむけむさんとたちばなさんとご一緒することになって楽しみにしていたのですが、なんと狙ったように台風が接近。中止が危ぶまれたのですが…っていうか、ほぼ中止だと思ってなんの準備もしていなかったのですが、台風がまさかのUターン!
しかも前日に東京に出張しておりまして、出張先で「決行!」のGoサインを受け取り慌てふためくというドタバタ劇を演じてしまいました。
台風に翻弄された山行、その顛末を記していきたいと思います。




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登山口の泡滝ダム すでに奥山の風情である







盛岡から車を走らせること約4時間。ようやく登山口の泡滝ダムにたどり着いた。今回は高速を使っているのにこの時間のかかりよう。ほんと東北は広いし奥深いですわ。(運転は全てたちばなさんにお任せしちゃいました。ありがとうございました。)


「車を降りた途端アブが群がる」などと恐ろしげな事前情報を仕入れていたが、この日はそんなこともなく平穏にスタートすることができた。台風の影響なのか風に湿り気を感じるが、連日猛暑が続く今夏においては涼しい部類だ。飲食物を(不必要に)満載したザックが肩に食い込むが、タキタロウ小屋までの3時間の我慢である。

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登山口






まずはほとんど勾配を感じない平穏な道を歩く。泡滝ダムの設備の一環なのだと思うが、道床は突き固められ法面には落石防止ネットが張られており、登山道と言うよりは林道の続きのようだ。道標の類も充実しており登山道の整備状況も心配いらないようだ。ちなみにタキタロウ小屋までの区間は10分の1ずつにセクションが切られており、ゴールに向けてカウントダウンしていく仕組みだ。1区間およそ15分とあるから距離ではなく所要時間で区切られているのだろうか。

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十のセクションに分けられた登山道




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導入部は平坦





沢の向こうの斜面に巨大な雪渓が残っていた。七月もすでに下旬。1000mに満たない標高の地でこれだけの残雪があるとは驚きだ。冬季の豪雪っぷりをまざまざと見せつけてくる。

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巨大な雪渓 眼の前で崩落したりせんだろうか…






登山道は概ね平穏だが支沢が落ち込んでくる箇所などでは若干の崩落が見られる。
量の雪解け水の影響か、はたまた昨今多発する大雨などによるものか、真新しい崩落痕が登山道を横断していた。今は平穏だが、降雨の後はなかなかに怖い場所に変貌するのかも。台風、本当に来ないだろうな??? ここ数年、台風は「観測史上初」な動き方をするので、まったく油断ならない。

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崩落が進む涸れ沢





登山道脇の斜面からはあちこちで水が流れ落ちてきている。滝有り、沢有り、湧水?有りと水場には事欠かない。場所によっては多少土臭いようだが…。これならば水を一本少なく持って、代わりにビールを一本多く持って来れば良かったかな(笑

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流れ落ちる滝が天然のミストを生成中




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いたるところに水場あり




小屋までの道半ばあたりで吊橋が登場する。登山道上の吊り橋とはいえ主塔やハンガーロープは全て鋼製の立派なものだ。転落防止用のガードロープも設置されたとえ転んでも、そうそう簡単に転落するようなものではない。…が、大の吊り橋嫌いのけむけむさんがここで大幅にスローダウン(笑 穂高の岩場を平気で歩ける人なのに、なぜこんな吊橋が怖いのか。理解に苦しむが…まぁ人の苦手意識なんて他人からはわからんものだし。

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沢の支流に架けられた吊橋
人道橋としては立派な作りだ




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どんなに立派でも怖いものは怖いのだ!




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たちばなさんからポンコツ扱いされる
気の毒だが見ている分には面白い(笑





二本目の吊り橋を渡ったあとから、登山道は徐々に傾斜を増していく。ここまで、ほとんど水平移動に徹していたので、登山口から小屋までの高低差は後半戦で詰めていくのだ。特に「7/10」から先の「七曲り」と呼ばれる急傾斜は、雷光型に付けられた登山道を一気に登って行くという、コース中最大の難所である。ちなみにこの「七曲り」であるが、実際は14の折り返しがある。倍じゃねーか。名に偽りありなのだ(笑

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沢筋から離れて高度を上げ始める




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「7/10」の道標が出てきたら急登の始まりの合図だ




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七曲りの始まり




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見事なスイッチバック
お手本のような九十九折の登山道である




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七曲の途中には崩落箇所もある
登山者のショートカットでできて踏み跡が引き金になっている可能性も…




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「十四曲り」を登り終えると一風変わった道標が出迎えてくれる。池や沢を青で、登山道を赤で現した地図着きの道標なのだが、その色合いから学校の理科室にある人体模型を思わせる静脈と動脈を青と赤で塗り分けているアレである。ちょっと他では見たことないかも。

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人体模型?






人体模型を過ぎると間もなく右手に大鳥池が見えてくる。奥山にある池としてはかなり大きな部類のためか、樹木越しに見る池はどこか俗っぽく見える。なんかこうスワンボートとかが浮いていたりしそうなのだ。けむけむさんも同じことを思ったらしく「車で来れそう」という感想であった。

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俗っぽい?大鳥池




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セクションコンプリート!




16時ちょうどにタキタロウ小屋に到着。ちょっとゆっくりしすぎたかもしれない。
山小屋に着く時間としてはギリギリだっただろうか。3時間強の道のりとはいえ、ザックに満載の飲食物と蒸し暑さのせいで思いのほか疲労した。

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タキタロウ小屋に到着




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小屋の前にはベンチとテーブルがあり寛げる






台風の影響なのか、この時期としては宿泊者の数は少なくゆったりとしたスペースを使うことができた。タキタロウ小屋は避難小屋としてはかなり立派な部類で、ちょっとした民宿か湯治宿のような雰囲気。小屋の中に水場があり、綺麗なトイレもあってかなり快適であった。

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広くて快適な室内




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小屋の窓からは大鳥池が望める
レイクビューのお部屋



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キャンプの人や通りすがりの人のために外水場も完備
池からの揚水のようだ




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マイクロ水力発電書なるハイテク機器も設置されていた




消灯の八時まではお酒を交えて山談義を交わしながら過ごした。たちばなさんとけむけむさんとは久しぶりの宴会となったので話が弾んだ。やはり山好きが集まると山の話題が尽きることなく宴は楽しいものとなる。

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今宵の肴♪




夜半からは台風の影響が強く出始め、時々小屋を揺るがすような強風が襲ってくるようになった。明日は大丈夫であろうかと心配ではあったが、ここまで来てしまったらなるようにしかなるまい。風の唸り声を子守歌にして眠りについた。

つづく