以前の記録はこちらから。



恒例の春の潮風トレイルに行ってきました。
今回は正式には未開通の重茂半島を巡ります。
正式開通したら宮古市南部区間とでも名付けられるのでしょうか。

重茂半島の区間は三日間で攻略することにします。初日は重茂半島の付け根、宮古湾の最奥にある川帳場からスタートし月山を登り、重茂の集落まで。距離はさほどでもありませんが、途中に月山登山を含むそこそこハードな道のりです。

まずは車で岩手県北バスの重茂車庫に向かいます。そこで事情を説明し、車を置かせてもらい路線バスで川帳場まで戻ってきました。ここから重茂車庫に向かって歩き、最後は車を回収しようという寸法です。

「宮古からここ(重茂車庫)まで、歩いてきたいので車を置かせてください」
というわけのわからないお願いを戸惑いながらも聞いていただいた県北バスの方に感謝です(笑

6時55分のバスに乗車し30分ほどかけて川帳場へ。休日早朝のローカルバスなんてガラガラだろうと思っていたんですが結構乗客が多く意外でした。
運転手も乗客も顔なじみのようで、我々、若干浮き気味です(笑
でかいザック背負ってトレッキングシューズを履いて…そりゃまぁ異質ですわな。
でも潮風トレイルが正式開通したら、もしかしたらこういう格好の人増えるかもですよ?

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川帳場のバス停に降り立ち、旅装を整えトレッキングスタート。ちょっと今からトレッキングへ…という絵面じゃないですね、コレ(笑
案の定、交通指導に出ていたおまわりさんに職質されました。

…冗談です。声かけられたのは事実ですが、
「! いったいどこ行くの? 山でも登るの!?」
「月山経由で重茂まで行きます」
「…は~、まぁ気を付けて」
みたいなやり取りでした。呆れられた!?

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津軽石川にかかる橋を渡り、まずは白浜集落を目指して歩きます。なるべく車道を歩きたくないので、堤防の上を歩く事にしました。地図上では堤防、もしくは堤防沿いの道路が続いているはずです。

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…はずだったんですが工事中でした。初っ端から迂回発生(^^;
沿岸各地は未だに復興工事の只中にありますので、そこを歩くとなると工事と無縁ではいられません。

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埃っぽい工事現場を抜けると道は海沿いへと抜けます。今日は素晴らしくいい天気で風もありません。海もベタ凪。歩くのには良い日和…いや、ちょっとこの季節としては暑すぎるくらいでしょうか。

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青く澄んだ海を見ながら歩けるこの区間ですが、道が狭く歩道も無いので通行注意。
道幅のわりに交通量が多く工事関係の大型車両も多く通るため、うかうかしていると轢かれそうです。あえてブラインドカーブのアウト側を歩くなど「自分の身を守る」歩き方を心掛けます。車の側は、こんなところを人が歩いているとは思っていないでしょうから。

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ウミウ…とかでしょうか?
遠くから見たらペンギンっぽかったのですが、近くで見ると…あんまりかわいくないなぁ(笑

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そうこうしているうちに白浜集落に到着です。この区間では貴重な飲食物を補給できそうな「御食事処」がありますが、まだ営業していませんでした。

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県道を離れ集落に入って行くと、水産加工場らしき建物の横に「月山登山口」の標識を発見。このあたりも復興工事の最中であり、いずれ景色が変わるかもしれません。

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工事の影響で沢がせき止められているのか、雨でもないのに妙にジメジメした草むらを抜け月山登山口に立ちます。お、潮風トレイルの標柱があるではないですか。未だ未開通とはいえ準備は着々と進んでいるようです。

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登山口からすぐのところに立派なお社が建っています。こう言ってはアレですが、辺鄙な場所にある神社にしてはずいぶん立派なお社です。浜の経済力を伺わせますね。

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お社の傍らには潮風トレイルのコースであることを示す「例の杭」が設置されています。こちらも準備完了ですね。八戸からずっとコレを頼りに旅を続けてきたこともあり、我々はこの杭に愛着を感じています(笑 
なんでしょう、路傍に佇むこいつらを見かけると愛おしくなるんですよね(笑

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さて、月山に登って行きましょうか。我々ヘロヘロ隊、月山は登頂済みということになっていますが、実は林道を車で登ったとう話で自分の足で登るのは初めてです。いずれは…と思ってはいたのですが、まさか潮風トレイルの途中で登ることになるとは思ってもみませんでした。

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登山道は急な階段を登るところから始まります。初っ端からガシガシきますなぁ。焦ってもペースがあがるわけでもないので路傍の花などを愛でながらゆっくり登って行きます。

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少し高度を上げた後、道は水平移動を始めます。急な登りから始まったからといって、一気に登って行くわけではないんですね。まずは我々を重茂半島の突端部へと導こうというわけです。

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水平移動…などと書きましたが、道はけして平坦ではなく、むしろ細かなアップダウンを繰り返しながら先へ進みます。地味~に累積標高差が積み重なっていきます。
けっこうしんどいんですよね、コレ。

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途中、何本もこういった木を見かけました。みたところ幹にいくつも穴をあけて、なにか薬剤を注入し経過を観察しているようです。枯れかけた木の再生実験?

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しばらくアップダウンを繰り返した道は、突然やる気を出したようで一気に上へ上へと進み始めました。

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細く連なる尾根上をぐんぐん登って行きます。このあたり、かなりの急勾配でガッツリ絞られました。

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雪シーズン後、初の登山ということもあり足が重いのなんの。今期はあまりスキーにも行けなかったので足がすっかり萎えてしまっている様子。
おまけに来月に控えた屋久島遠征の訓練ということで、ザックに余計な荷物を入れて重くしてきたものだから足が進まない事甚だしいものがあります。

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休み休みですが1時間ほど登り続けてようやく林道出会いまでたどり着きました。
「遊歩道」として整備されている区間なのですが思いのほかキツイ登りでした。
階段が整備されていることで逆に歩幅の自由がきかないのでキツさ倍増でした。
この手の整備のしかた、どうにかならんものか…。

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林道区間になると今までの急坂が嘘だったかのような緩やかな登りです。昔、車で来たときの記憶が微かに蘇ってきました。

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開放的な天空の道は記憶のままに空へと続いていきます。林道歩きは退屈なことが多いのですが、ここは歩いていて楽しいですね。



しかし、歩みを進めるとなにやら前方から機械の作動音がしてきました。耳を澄ますとキャタピラが地面を噛む音、チェーンソーが唸る音などが聞こえてきます。
ん? これはもしや工事で通行止め…などというオチではあるまいな?

音がするほうへと歩いていくと案の定重機を操る人影が見えてきました。むこうもこちらへ気づき、作業の手が止まります。

恐る恐る近づき「あのぅ、通れます?」と尋ねてみます。
この場合の「通れます?」は「なんとか先へ進ませてくれ」の意(笑

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幸いにも伐採作業中だけど林道の脇にある遊歩道で先へ進めるということだったのでホッと胸をなでおろしました。ここまできて戻れと言われたら洒落になりません。
重茂に抜けることを話すと「この先は下りも急だから気をつけて~」というアドバイスもいただきました。

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ほどなく月山山頂に到着です。里山のわりにやたらと立派な山名標識がお出迎えしてくれました。…立派だけど、よく見ると手書きじゃないか?(笑

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月山の山頂にはテレビの中継局などが建っており正直雰囲気はいまひとつ。
コンクリートの建物やアンテナの鉄塔などに囲まれた神様の心中やいかに…。


NHKの中継局の裏側が展望台になっていて、こちらからは素晴らしい景色を眺めることができます。海に突き出した半島の突端に近い場所なので視界は広く、北から南までの海辺の景色はもちろんのこと、宮古の市街地やその後方に存在感を放つ早池峰など山の景色も楽しめます。ここは潮風トレイル中、屈指の好展望地の一つなのではないでしょうか。

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今まで歩いてきた海岸線を目でたどったり、前回のゴール地点の浄土ヶ浜を俯瞰で見下ろしてみたりとそんなことをしているうちにあっという間に時間が過ぎていきます。ですが、今日は先も長いのでいつまでもここに居るわけにもいきません。後ろ髪を引かれる思いで展望台を後にします。