午前中の早い時間に蓬田岳から下山してきたので、本日はもう一戦行きます。
同じ阿武隈の東北百名山、大滝根山がダブルヘッダー2戦目のお相手。
まだまだ体力的には大丈夫ですが気合を入れて挑みたいと思います。
同じ阿武隈の東北百名山、大滝根山がダブルヘッダー2戦目のお相手。
まだまだ体力的には大丈夫ですが気合を入れて挑みたいと思います。
大滝根山西側には登山口が二か所ありますが、今回は御沢口から登ろうかと思います。県道381号が登山口へのアプローチ道となりますが、県道沿いにある登山口は「仙台平登山口」。大きく「大滝根山登山口」という看板があるので惑わされないように注意です。
我々が向かう御沢口への目印は「阿武隈高原ホテル」の看板。
この施設はとっくの昔に廃業して現在は廃墟として建物が残るのみとなっています。
営業していれば下山後に入浴することもできたんでしょうけどね。
さて、私が参考にしたガイドブックでは、この廃墟を過ぎて林道に入り、林道の終点まで車で入れるようなことが書いてありましたが、実際行ってみるとそれはお勧めできません。林道は奥に行くにしたがって荒れ方がひどくなり、転回できるスペースも無く、万が一他の車両と行き会ったらかなり大変な思いをしそうです。とくに普通車の場合は手前の廃墟ホテルの駐車場に車を停めるのが無難でしょう。
というわけで、我々はもう少し奥まで進んだのですが戻ってきて写真の場所に停めました。すれ違いができるのも、車を停めるスペースがあるのもこの緑のフェンスがあるあたりが最後です。
さて、ここから先は歩きますか!
「↑山頂」という道標があるこのあたりが実質的な登山口となります。
この後、林道は急速に荒れていきます。
林道終点は小川が横切っている個所となるかと思います。
その先は本当に徒歩道のみ。
沢に沿って奥へ奥へと進みます。
10分ほど歩くと賽の河原という場所に出ます。
昔日の信仰の名残かと思いきや、現在でも篤い信仰を集めているらしく、立派な石碑や真新しいお地蔵様が建立されています。
ここが分岐点となり、下山時はぐるっと回ってここへ戻ってくることになります。
賽の河原を過ぎると登山道は沢と交差しながら高度を上げていきます。
何度も渡渉する場面が出てくるのですが、水量が多くないので問題ありません。
あまり歩かれていないのか、石の上に苔が生えている場所が多いのでスリップには注意が必要です。
沢の源頭部まで登ってきました。
ここは案内板によると御沢地蔵尊という場所でしょうか。ここも古くからの信仰の場所のようで、一体のお地蔵様が登山者を見守っています。一度首が落ちているようで痛々しいですが、修復されてここにあるということは信仰が途絶えていない証でもありましょうか。
濃霧で道を失った里人の前に、神が姿を現し道を示した…というような謂れのある場所のようですが、登山道もまた不明瞭で、うっかりすると昔日の里人のように道を失いかねません。
踏み跡は不鮮明ですが、樹木のネームプレートなどの人工物が多く設置されているので、それを目印に進みます。現在の通行量を考えると、ずいぶん手厚く整備された時期があるんだなぁと不思議に思いましたが、もしかしたら麓の廃墟ホテルが整備を行ったものかもしれません。
ここからさらに急こう配となります。
だいたい沢沿いの登山道って、沢が尽きた場所から一気に登りますよね。
ここもご多分に漏れず…といったところでしょうか。
テロっとした一枚岩の上を登る…。濡れてたら怖そう。
一応ロープも設置してありますが、いつ設置されたのかわからずイマイチ信頼できない…。全体重をかけたりしないように恐る恐る登ります。
この区間、とにかく急傾斜です。
よく急傾斜を表現するのに「鼻こすり」とか言いますが、まさにそんな感じ。
自分の頭と足の距離より、頭と地面の距離の方が確実に近い。
はぁはぁという自分の息遣いが、目の前の地面に反響して、なんだか自分じゃない誰かがすぐそばにいるような感じになります。山の怪なんてものは、こういったちょっとしたことから発生するのかな。
数か所、鎖場があります。
岩よりも木の根がやっかいでした。
上に乗ると滑るし、足を上げるのを邪魔するし、鎖は引っかかるし…。
ね、やっかいでしょ?
鎖場をクリアすると傾斜は次第に緩やかになり登山道は平穏を取り戻します。
…が、植物にとっても生育しやすい場所なのか、笹に浸食されて踏み跡が怪しくなってきました。
今はまだ枯れ枝ですが、シロヤシオがたくさん生えており花のシーズンは見ごたえがありそうです。
足元は笹にからまれ、枯れ枝で顔を引っ叩かれ、本当にこの道でいいのだろうかと不安に…
いや、自衛隊のレーダーが藪越しに見えてはいるし、発電機かなにかの轟音が聞こえてくるので道迷いの不安はないのですが、我々は本当に道を歩いているのかと不安になってきたころ、唐突に山頂広場に躍り出ました。仙台平からの登山道はよく整備されているようです。
三角点はレーダー基地の敷地の中にあり、タッチすることができません。
フェンスの外から目視することはできますので、それで我慢ですね。
つか、こんなご時世ですのでカメラを向けたら見咎められるんじゃないかと少々不安になったりします。まぁ、いきなりしょっ引かれることはないでしょうが。
山頂広場にはお社が建てられていますが、どうやら東日本大震災で一度倒壊したようです。よく見ると石造りの鳥居も金具や針金で補修&補強した跡が見られます。
津波のインパクトがあまりに大きかったので忘れられがちですが、地震そのものの震度もかなりのものがありましたからね。
地震被害の復旧・復興と一日も早く原発の後始末が終わるよう願いを込めて手を合わせておきます。
一応山頂まで来たわけですが、まわりを基地のフェンスに囲まれた空間で、今一つ登った感がありません。そこで近くの梵天岩まで足を延ばしてみることにしました。
梵天岩へは基地のフェンス沿いに北へ向かいます。
フェンスから離れていく踏み跡は所謂「しょんべん道」で、すぐにうやむやになって消えてしまうので騙されないように!(←騙されて踏み込み、トイレットペーパーがあちこちに落ちているのを見て気が付いた人)
しっかし、よくこんなところで用足すなぁ。
フェンスから離れていく踏み跡は所謂「しょんべん道」で、すぐにうやむやになって消えてしまうので騙されないように!(←騙されて踏み込み、トイレットペーパーがあちこちに落ちているのを見て気が付いた人)
しっかし、よくこんなところで用足すなぁ。
絶対基地の監視カメラで見られてますよ(笑
フェンス沿いに林の中を進むとボテッと梵天岩が鎮座していました。
梯子が架けられていて上に登ることができるようです。
せっかくなので登ってみましょう。
梯子が架けられていて上に登ることができるようです。
せっかくなので登ってみましょう。
周りの木々が成長し思ったほど眺めはよくありませんでしたが、山頂から見ることができない景色を見ることができます。
北側はレーダーサイトと風車のコラボレーション。
東側の山影から煙のような、湯気のようなものが上がっていました。
冗談で「まさか原発じゃないよねぇ?」なんて言ってましたが、これはどうやら山林火災の煙だったようです。
下山後、ニュースでその事を知ったのですが、消火作業は難航したらしいですね。
周辺の放射線量も上昇したという話もありますし…。
やはり本当の意味で落ち着くまでには、まだまだ長い時間が必要なようです。
さて、下山にかかります。
基地のフェンス沿いに仙台平方面へ。
しかし異様な雰囲気ですね。絵面が登山っぽくない。
基地のフェンス沿いに仙台平方面へ。
しかし異様な雰囲気ですね。絵面が登山っぽくない。
よく整備された仙台平コースを下ります。
やはりこちらがメインの登山道になるようで、数人の登山者とすれ違いました。
やっぱりねぇ…あんまり人がいないのもね、不安になりますから。
しばらく進むと不自然な場所にピンクテープが揺れているのを見つけました。
なんだろうと思い、そのテープがある場所をよく見ると…。
あ、ここが分岐点なんだ…。
ここ…かぁ。
パッと見、分岐点があるように見えません(笑
ツートンは完全に一本道だと思っていたようです。
日山権現・賽の河原方面への道ということで間違いないようです。
道標もありますし…。
しかし、この道標が無かったら自信を持って踏み込めないなぁ。
細くて猛烈に急な坂を、笹と木の枝に全身を擦られながら一気に下っていきます。
仙台平コースとの状況のあまりの落差に戸惑います。
シャクナゲの木がたくさんあるので花の季節なら花まみれで歩ける…かも。
花に集まる虫まみれになるかもしれませんが…。
ぞわわっ!
日山権現付近の岩場に開けた場所があり大きく眺望が得られます。
今日のコースの中で、もっとも眺望がすぐれた場所かもしれません。
休憩がてら景色を堪能します。
今日のコースの中で、もっとも眺望がすぐれた場所かもしれません。
休憩がてら景色を堪能します。
一息つけるのはここだけで、あとは再び藪っぽい急な下り坂が続きます。
高度が下がってくると、さらに泥濘という要素が加わり歩きにくさが倍増。
想像してください。
ぬかるんだ急な下り坂で不自然な体勢のまま倒木の下をくぐる…とか。
なんの罰ゲームだよって感じです。
手を汚したり、足に打撲を負ったりしながらも、なんとかこの急坂を下りきります。
するとなにやら見たことのある石碑とお地蔵様が佇んでいるのをみつけました。
無事に賽の河原に戻ってくることができたようです。
賽の河原からは往路と同じ道をたどり、車を停めた場所まで戻ります。
終始静かな山行でした。
東北百名山と日本三百名山に選ばれた山ですから、もう少し登山者が多いかと思ったのですが…。意外でした。我々がたどったコースがマイナールートだったのか???
さて大滝根山御沢コースですが、色々変化に富んでいて楽しいとも思えますが、初心者のみで歩くには少々厳しいルートのような気がします。麓のホテルが廃業してからは、あまり手入れがなされていないんではないか、という印象を受けます。
しかしシャクナゲやシロヤシオの木の数を見ると、花の季節は素晴らしいでしょうね~。おそらく名山に挙げられているのもそのへんからだと思うのですが…真相は如何に?
ところで、三角点ハンターの皆様に耳寄りな情報が…。
二週間前までに予約すれば基地内の入れてもらえるらしいです。平日限定ではあるようですが。自衛隊員の方が三角点まで案内してくださるそうですよ。
一等三角点のようなので「ぜひこの手でタッチしたい!」という方もいらっしゃるでしょうから、予約の上平日に訪ねてみてはいかがでしょうか?
さて、さすがに一日二座ともなるとそれなりに疲れますね。
連休前半も明日で終わり。
天気も少し怪しいようですが、もう一座くらい行きたいところです。