5月5日午前3時、起床。
道の駅大滝温泉はまだ暗闇の中にあった。
空を見上げると満天の星!
東京からそう離れてはいないはずだが、
こんな素晴らしい星空が見られるとは予想外だった。

真っ暗な中登山口を目指す。
初めて通る深夜の山道である。
登山口までがやけに遠く感じられた。

登山口に着くころには空が明るくなってきた。
今日もいい天気になりそうだが、放射冷却で今は寒い。
どれくらい着込んでいこうか悩ましい。

登山準備をしていると駐車場にパトカーがやってきた。
こんな山の中を早朝に警邏とはごくろうなことで…と思ったがなんだか様子が変。
パトカーを止めるやいなや警官はあわただしくどこかへ向かっていった。
なんかあったのかな?

4時30に登山口を出発。
例年ならばシャクナゲが見ごろらしいが
今年は早かったらしくすでに花は終わりかけ。
茅葺屋根の保存住宅を左手に入山する。

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すぐに鳥居があらわれる。
この道は雲取山への登山道であると同時に神社の奥の宮への参拝路でもあるのだ。

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道は最初立派な杉の木の中をゆったりした勾配で登っていく。
今日は道中長いこともあり最初の30分は努めてゆっくり登り体を慣らしていく。
あえてゆっくり歩いているわけだが、あとから来た人に追い抜かれる一方…。
あれ? そんなに遅いか? なんだか自信なくすなぁ…。
確かに今年は冬の間あまり山に入らなかったので衰えている自覚はあるんだが…。

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しばらく行くと奥の宮への分岐点に到着。
鳥居をくぐっていくのが奥の宮方面だ。
せっかくだから寄ってみようかとも思ったのだが
改めて確認すると片道30分程度とある。
うーん、雲取山本体だけでも10時間の行程なのに寄り道は現実的じゃないな~。
というわけで今回はパス!

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「二股桧」という場所に出る。
なにが二股なのかよくわからない…。
(付近に二股に分かれた桧があるらしい。薄暗くて見落とした模様)

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1時間強ほどで炭焼平に到着する。
炭焼平とは文字通りかつて炭焼きが行われていた場所で炭窯の遺構も残っている。
窯口に生えた木の大きさが使われなくなってからの年月の長さを示している。

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ちなみにここで作られていたのは白炭と呼ばれるもので(備長炭などが有名)
製造に手間がかかることなどから次第に生産されなくなった
…というようなことが現地の説明板に書かれていた。



炭焼平を過ぎると林相が変化し明るい樹林帯になった。
勾配も穏やかで静かで平和な山歩きが楽しめる。
…というかGWの百名山とは思えぬ静けさである。
スタート直後に数人に抜かれた以外、ここ1時間半ほど誰にも会っていない。
静かすぎても逆に落ち着かないものだ(笑

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道は少しずつ傾斜を増し地蔵峠に至る。
その名のとおりお地蔵様が一体佇んでいた。
なんとなく直進したくなる場所だが、ここは右へ。
「地蔵峠」と書かれた標識のほうへ向かう。

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地蔵峠を過ぎると馬酔木の林の中を抜け進んでいく。
なだらかな尾根筋の道は幅も広く歩きやすい。

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唐突にトイレが現れる。
霧藻ヶ峰休憩所かな?と思ったらトイレだけだった。
このあたり、景色も開放的だが、トイレも開放的なトイレだ。

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秩父宮様のレリーフの下を通りぬけると…

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霧藻ヶ峰休憩所に到着。
時間が早いからか小屋には誰もいなかったが飲み物の無人販売をしていた。
無人販売といっても小屋の外の棚に並べてあるだけなのだが。
ポカリやサイダー、ビールなど案外種類は多彩だが一律400円。

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藻霧ヶ峰からの展望は東側に限られるが、なかなかの好展望。
しばし眺めながら汗を乾かす。

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ところでこの藻霧ヶ峰だが、
もともと地元の人からは単に藻岩などと呼ばれていたそうだ。
それを秩父宮様が訪れた際に藻霧ヶ峰と名付けた由。
藻岩ではあか抜けないが藻霧ヶ峰などと言われると詩的なイメージになる。

さて、ここまで1時間40分。
まぁまぁのペースで登ってきた。
すでに一山登った気分になっているが、目的の雲取山まではまだまだ距離がある。
無事に歩ききれるだろうか?



藻霧ヶ峰を過ぎると、道はいったん下りに転じる。
山頂はまだなのだから下ったら登らないといけない。
当たり前の話なんだけど、つい嫌だなぁと思ってしまう。
今日はとにかく行程が長いので、体力の配分がいつも以上に気にかかるのだ。


気持ちの良い落ち葉道。
春にしては空が青く高いので秋の風景みたいだ。
正面にはこれから超えていく白岩山が見えている。
なかなか登り応えがありそうじゃーないかぁ。

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藻霧ヶ峰と白岩山の間の最低鞍部、お清平に到着。
ここは太陽寺・大日向への分岐点ともなり標柱が設置されている。
ベンチや三峰雲取自然研究路案内図も設置されている。
案内図を見て山頂まではまだまだ長い行程が控えているという事があらためてよーくわかった(笑

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お清平とは思わせぶりな地名だが、由来が二通りあるようだ。
ひとつは杣人の娘、お清の悲恋の物語から名付けられた説。
もう一つは修験者が霊験有としてお経を埋めたという伝説から名付けられた説。
どちらの説をとるかで印象がまったく違ってしまうが、そこもまた面白い。
…と現地の案内に書いてありました(笑
うん、確かに面白いね。
私はお清説を採ろうかな。物語性がありそうだし。



お清平から先には見上げるような斜面が待っていた。
藻霧ヶ峰の山頂に「ここから先は本格的な登山道」みたいな事が書かれていたが
いよいよその「本格的」が本領を発揮してくるらしい。

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つづく