絶好の遠征チャンスだったシルバーウィーク。
当然、ヘロヘロ隊もアルプス遠征を目論んでいた
…が、まさかの待機指示が出て遠征は中止を余儀なくされたのであった。
渡世の義理とはいえ、めったに無い大型連休を潰された精神的なダメージは大きい。
結局、連休初日は家でふて寝して終わってしまった…。

しかし天気は上々。
このまま無為に過ごしてしまっては、さらに精神にダメージを上塗りしてしまう!
そこで「連絡を受けてから半日以内に駆けつけられる」
という条件を逆手にとって隣県への遠征にでかけることにした。
ちなみに、山行中は携帯が繋がらない設定である(笑

まず向かったのは宮城・山形県境の山、神室岳。
県境を挟んで(実際は少し違うが)二つの神室が対峙しているユニークな山だ。
それぞれの頭に「山形」と「仙台」が冠され区別されている。

一般的な登山口は国道286号の笹谷峠にある。
古くから仙台と山形を繋ぐ歴史有る峠だが、
現在は地中を貫く高速道路のトンネルに主役を明け渡し
もっぱら登山者やワインディングを求めるライダー達が集う場所となっている。

手元のガイドブックには宮城県側の仙人沢から入山して沢筋を詰め
仙台神室の足元に上がり、山形神室、トンガリ山、ハマグリ山を経て
笹谷峠に戻ってくるという周回コースが紹介されている。

しかし「道が不明瞭」「迷いやすい」という注意書きが複数書かれている。
東北百名山の場合、こういった事が書かれていなくても
往々にして藪っぽかったり険しかったりする場合が多い。
ましてやガイドブックに注意書きが書かれていると言うことは…。
というわけで、安全最優先で笹谷峠からのピストンを選択した。



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笹谷峠を出発する。
天気予報では連休は晴れ予報だったのだが…なんじゃ、これ。
ガスに加えて山形側から吹き付ける強風でコンディションは最悪だ。
グローブを付けていても指先が痺れるような感じがする。


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最初の斜面を登ったあたりですっかりガスに包まれてしまった。
晴れていたら景色良さそうだなと思わせる雰囲気ではあるが…。

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最初のピーク、ハマグリ山に到着。
岩が露出した狭い空間には山頂標がポツンと立っている。
どこにでもありそうな小さなピークの景色だが
山頂標の足元にハマグリをあしらったモニュメント?が
設置してあるのがこのピークの個性だ。

そういえば以前登った蛤山の山頂にもハマグリの貝殻があったなぁ。
これって何か意味があるのだろうか?
それとも単に山の名前にかけて誰かが酔狂で置いていったものなのだろうか?


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ハマグリ山を過ぎるとちょっとした岩場がある。
足場が豊富でロープもかかっているので難しい事はない。
下りなのでスリップには要注意だ。

道は次のトンガリ山へ向けて再び登りに転じる。
トンガリ山というからには尖った形をしているのだろうがガスで何も見えない。
淡々と登る…。



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トンガリ山山頂に到着。
せまい山頂には道標が設置されているくらいで特に見どころはない。
尖った山頂だがほとんどの方向が樹木で囲まれているため眺望はあまり良くない。
もっとも今日の天気では…。

相変わらず濃いガスに視界は遮られ強い風が吹き付けてくる。
しかし、なんだか気温がグングンあがってきている気がする。
体に当たる風も強さこそ変わらないのだが、なんだか生ぬるい?
これはもしかして天候回復の兆しなんだろうか?


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登山道はゆるゆると山形神室に向かって登っていく。
雰囲気からして晴れていれば素晴らしい稜線歩きなんだろうが…。


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黙々と歩いていくと、いつの間にか山形神室の山頂に着いていた。
山形神室山頂は灌木に囲まれ、あまり眺望は良くない。
…あれ? なんかさっきも同じような事書いたような…。

山頂には大勢の先客がいて思い思いにくつろいでいた。
話の端々に「丹沢が」「奥多摩では」などという言葉が出てくるので
関東方面からの遠征なのかもしれない。
遠くから来てこのガスガスでは気の毒だなぁ。



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山形神室山頂を越え少し下ると二口峠方面と仙台神室方面の分岐点がある。
ここはもちろん仙台神室方面に行く。


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分岐を過ぎると急な下り坂となる。
急なだけならいいのだが、粘土質の泥道で至る所にスリップ痕が(^^;
下るにつれドロドログチャグチャ度があがり、四苦八苦しながら下る。
どこにどう足を置いても滑るので登山道脇の木や笹に必死で掴まって
なんとか体勢を維持しながら歩いたが、後で腕がプルプルしているのに気が付いた。


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山形神室と仙台神室の間の鞍部はダンゴ平というらしい。
ダンゴ、ねぇ…。
ダンゴはダンゴでも泥ダンゴだねぇ、ここは(笑
仙人沢からのコースがここで合流するはずだったが気付かなかった。
やはりあまり明瞭な道ではないようだ。


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ダンゴ平から仙台神室の間は今度は一転して急な上り坂になる。
こちらは泥道ではないが、山形神室側以上の急な坂道で
浮き石がそこらじゅうにあるという、これまた油断ならない道だった。


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途中に一抱えもある大きな石がぐらついている場所があった。
万が一転がるようなことがあれば事故に繋がるかもしれない。
実際、下りの時には石と地面の隙間が広がっており
後ろから転がってくるのではないかと気が気ではなかった。


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この急な坂を登り切ると仙台神室山頂となる。
残念ながら未だガスは晴れていなかった。
しかしなんとなく陽射しを感じるような気もするので
天候回復を期待して山頂で大きく休むことにした。


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コーヒーなどを飲みながら30分ほど待っただろうか。
時折青空がのぞいたり、近くの山が見えたりと天候回復の兆しはあるが
いいかげん待つのにしびれを切らし下山を開始することにした。
残念ながら山頂からの眺望はおがむことができなかった。


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ダンゴ平に下り…
おや?…なんだか少しガスが晴れ来たようだ。


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泥グチャの急坂を登る。



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振り返ると仙台神室が姿を見せていた。
こんなゴロっとした山容だったんだね。
帰り道だけど見ることができてよかった。


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山形神室山頂付近から見るトンガリ山とハマグリ山。
予想通り気持ちの良い稜線歩きコースだった。
帰り道だけとはいえ晴れて良かった。


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振り返って山形神室。
ゴロっとした仙台神室と比較して丸く女性的な山容だ。


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ここまでまったく見ることができなかった宮城県側の眺望。
仙台市街とその向こう側には太平洋が見える。
思いのほか海が近いことに気付かされる。


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トンガリ山を目指す。


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トンガリ山山頂よりハマグリ山。
笹谷峠を挟んで雁戸山も見え始めている。
あちらには明日登る予定。


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振り返ってトンガリ山。
うーん、確かにトンガリ山だ。
しかし…もうちょっとひねった名前付けられなかったのだろうか?(笑
見たままやんけ。


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ハマグリ山を過ぎて笹谷峠に下る前にもう一度振り返って撮影。
今日踏んできたピークが全て見えている。
登りにこの景色を見ることができたら、もっとワクワクしただろうが…。
まぁ、下りたら晴れるの法則ではなく山中で晴れたのでよしとしよう。


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無事に下山。
この頃にはすっかり晴れて気持ちがいい青空が広がっていた。
この天気は連休中続くようなので明日からの山行も期待できそうだ。
シルバーウィーク遠征、まずは1座!


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夜はテント泊ならぬ車中泊。
地元産のソーセージなどを買い込み宴会♪
車中泊遠征だと夜の部がボリューミーになるよねぇ…。



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