またも台風がやってきている。
しかも週末にかぶりそうなスケジュールで。
連休もお構いなしで働くとか、どんだけ社畜なんだよ、台風。

毎年10月の連休はアルプスと言わずとも遠方へ遠征にでかけているのだが
台風が来ているとなると行く場所を考えざるを得ない。
わざわざ遠出して台風と鉢合わせとか考えたくもないし…。
ましてや南下して台風を迎撃!とかあり得ない(笑
負ける戦いはしないのが信条のヘロヘロ隊であります( ゜Д゜)ゞ

そんなわけで今回の三連休は近場に遠征することにした。
…近場に遠征…という言い方ははたして正しいのだろうか?
まぁ、そんなことはいいとして、目指すは秋田県北部。
未だ未踏の山々である。

早朝に盛岡を出て3時間程かけて大館までやってきた。
遠征初日に目指すのは田代岳
大館を代表する山といっていいかと思うが、大館市内から登山口までがまた遠い。
未舗装の林道を延々15㎞近く走らないといけないのである。
大館市内からさらに1時間以上かかると思っていた方がいいだろう。

登山口近くにロケット燃料試験場などというものがあるので
林道は未舗装とはいえよく整備されており、普通車でも問題なく走ることができる。
とはいえ林道は林道、気をつけて走行するに限る。
途中の谷には転落している軽トラがあった…。
 
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田代岳にはいくつか登山口があるが、今回は荒沢登山口から登る。
駐車場は広く、駐車に不安はない。トイレも一応ある。
駐車場には何台か先客がいたが、ナンバーを見てみると
首都圏や新潟方面のナンバーが並んでおり少々驚いた。
この山、そんな全国区の山だったのか…。
 
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林道を少し歩き、沢にかかったコンクリート橋を渡ると登山道入り口である。
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案内看板とともに、開山千百六十周年の記念碑が建っていた。
この山、そんな由緒ある山だったのか…。
けっして見くびっていたわけではないが不勉強であった。
驚きの連続である。

登山口からしばらく歩くと道が二手に分岐していた。
左折する側には「迂回路」とある。
私の持っているガイドブックには、この迂回路は記載されていない。
道標も真新しいので最近作られた道なのだろうか?
ちょっと迷ったが、とりあえず正規の道を行くことにし、直進した。
 
 
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ん? 道、無くね???
 
 
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いや、これが道なのか?
ガイドブックには沢沿いの登山道…とあるが、これは沢の中と言わないか?
このあたりを回避するために作られたのがさっきの迂回路なんだな。
帰りは迂回路通過決定である。

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恐る恐るだがドテンもドボンもなく無事に沢底を通過。
見かけによらず、あまり滑らないので助かった。
ただまぁ登りだからまだいいけど、ここを下るのは嫌である。

谷底を脱し、ブナ林の中の登山道を行く。
色づき始めた木々の葉を通して光が差し込み、気持ちいい空間が広がっていた。
 
 
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ところが、突然登山道が消失した。
ここまで怪しいところなど無く、しっかり踏み跡がついていたにも関わらず、である。
え? なんで?
慌てて道を探すが、道どころか踏み跡すら見つからない。
とりあえず、道が明瞭なところまで戻ることにする。
 
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もう一度あたりをよく見回す。
踏み跡、ある。
ピンクテープも、ある。
…おかしい…。

倒木があったので、もしやこの倒木の下に道が?と思い
踏み越えて進もうと試みたのだが、その先に道は無し…。
ウロウロしているうちに、ツートンが沢筋の向こう側に
「自然を大切に」という看板があるのを見つけた。
むりやり沢を跨ぎ、藪を漕いで看板を目指すと登山道に復帰できた。

なぜ突然登山道から外れてしまったのか?
答えは下山の時にわかるのだが、
要は前述の「迂回路」と直登ルートが合流する場所がややこしいのだ。
 
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ピンクテープがあるので直進してしまいがちだが、実は右側に道がある。
 
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こんな感じ。

種がわかってしまえば簡単な事だが、
最初の分岐を見逃すと正規のルートから外れてしまうのである。
間違った方向に踏み跡がたくさん続いているということは
我々の他にも道を見失ってウロウロさせられた人が大勢居るはずだ。
この場所にこそ、立派な道標を作って欲しいと思うのだが…。
 
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これに助けられた…。
 
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道に迷ったおかげで、ずいぶん歩いた気になったが、まだ3合目だった…。
この先は傾斜も緩くなり、楽々散歩気分である。
 
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大広手コースとの分岐を通過する。

まもなく5合目に着こうとする場所で、2人の登山者とすれ違った。
いかにも山馴れた感じのする人であったが、お話を伺ったところ
なんと「田代岳を愛する会」の会長さんだということであった。
色々とお話を伺ったが今度は7月2日の例大祭の日に来なさいとお誘いを受けた。
様々な人が神事目当てで登りに来るということで、とても賑やかなのだという。
また、田代岳単独ではなく、山塊を縦走するとなお良いとのこと。
 
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記念に写真を撮らせていただいた。
ある意味、この山の主のような人に会えて光栄であった。
 
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5合目には鳥居がある。
ここから先は神域ということか。

5~8合目は比較的淡々とした道が続く。
 
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不意に木々が途絶え、空が広がる。山頂直下の高層湿原に出たのだ。
広々とした湿原は黄金色に輝き、
深々と水をたたえた池塘が点在しアクセントを添えている。
思っていた以上に素晴らしい湿原だ。
 
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毎年の例大祭では、この池塘のミツガシワを稲に見立てて作況を占うのだとか。
ツートンとしては神事はともかく、そのミツガシワを見てみたいようである。
 
湿原の奥に小高い丘がある。
それが田代岳の山頂となる。
 
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二度目の鳥居をくぐると山頂のお社が見えてくる。
これまた予想外に立派なお社だ。
情報収集する際、写真などで見ているはずなのだが、
もっとこぢんまりした物を想像していた。
 
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…というわけで、無事に山頂に到着。
 
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三角点タッチもお忘れなく。
 
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山頂は快晴無風の素晴らしい天気♪
しかし、この時期にしては霞がかかっており眺望は今ひとつ。
見えるはずの岩木山や八甲田も確認できず。
(よーく目をこらすと、もしかして山の肩?というラインは見えた…)
秋と言えば空気が澄んできて遠くの景色まで綺麗に見えるイメージがあるが
やはり台風の影響だろうか?

山頂でお昼を食べ、下山の途に着く。
山頂側から湿原を見下ろす。
 
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これこれ、これが見たかった。
田代岳を紹介する記事にはたいていここからの写真が使われている。
この山の魅力を端的に表している景色だろう。
 
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この素晴らしい湿原から立ち去り難く、意味もなくウロウロしてしまった。
今は黄金色の湿原だが、今度来る時は緑一杯の花咲く季節に来たいものだ。
再訪を誓って下山した。
 
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帰りは基本的に往路を戻るが、例の「迂回路」を歩くことにした。
とくに危険箇所もない、なんということはない山道だったが
下りにあの沢底を歩かなくて済むというのは大きい。

迂回路のお陰で安全楽ちんに下山完了!
あとは今宵の宿に向かうだけである。
 
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ところで、このあたりの地形図に描かれた登山道だが、
GPSの軌跡を見てみるとずいぶんとかけ離れた場所を通っている。
たまにあるよね、こういう場所。