芦原妃名子さん(『セクシー田中さん』原作者)が亡くなってからというもの、その波紋が広がり続けていますが・・・

 

 

漫画/小説原作→アニメ化・実写ドラマ/映画化・・・にまつわる悶着は昔からポツポツとありました。逆パターンも然り。

 

そんな中、一人の自死がきっかけというところには引っ掛かるし、残念でもあり、何なら、ちょっと気分の悪いことでもあるのだけれども・・・

 

 

●ひろがる波紋

 

此度の件で、基本、個人事業者とも言える作家さんたちが、それなりにモノを言う(メディアもそれを取り上げる)状況になったのは、良いと思います。

 

何についてであっても同じですが、この際、発信する人、伝える人、受け取る人、皆それぞれの立場でそれぞれに、流行り廃りに流されず、たとえ細くても、長く考え続けてほしいと願わずにいられません。

 

 

とは言うものの・・・

 

 

当事者・関係者でもない人が、ぶつけるような言葉を連ねるのは、どうだろうな、とも思います。

 

それらの多くは、何であれ噛みついて鬱憤を晴らすだけの人で、放っておけば良いのでしょうけれども。

 

 

『セクシー田中さん』はもちろん、その他の作品に関しても、作家さん、担当編集者、出版社、監督、プロデューサー、テレビ局(制作会社)、それぞれ個別の事情や経緯があるはずです。

 

そこには、本人にしか分からないことがあるでしょう。

 

あるいは、本人にだって分からないこともあるかもしれません。

 

 

というか、十人十色、百人百様に、「原作の雰囲気を大切に」から「あくまで別モノとして愉しむ」まで、あるいは、「作家の想いをカタチにしたものだから」から「作品として良ければ(売れれば)それで良い」という考え方まで、色々あるわけで。

 

なので、個別の作品と作品の関係について、ひとつひとつ善悪・正邪を論じようとは思いません。

 

いや、もちろん・・・

 

 

●個人の感想はあって良い

 

朝倉南(『タッチ』あだち充)は長澤まさみじゃないだろう、とか、

 

ワタクシとって理屈じゃないヤツ。古いですが。

 

 

 

 

栞子さん(『ビブリア古書堂の事件手帖』)は剛力彩芽は違う、とか、

 

ウチの奥様のこだわり(主に胸の大きさ)。これも古いですが。

 

 

 

 

そういうのはありますよ。

 

でも、そんなのは、所詮「個人の感想」。嫌なら観なければ良いだけの話で、実際、観てません。

 

でもって、自分以外の多くの人が良、もしくは可として楽しんだのなら、それについても文句はありません。単に、感性(好み・拘り)が違うんだな、と思うだけです。

 

一消費者としては、つまり、そういうことです。

 

 

口幅ったい気もしますが、作家さんの中には、同様の考えをお持ちの方もいらっしゃるようです。

 

が、全ての作家さんが、そこまで割り切れるものでもないだろう、ということも理解できます。

 

それこそ、善い悪いの話ではないでしょう。

 

したら、そこは、関係者相互の信頼関係、あるいは、契約の詰め方によるので、どちらかに不満があるのなら、とことん遣り合うしかないと思います。

 

 

そのうえで、少しだけ一般論を言わせてもらえれば・・・

 

 

●テレビが王様の時代じゃないから

 

ここのところ顕になっているのは、「新聞・テレビも最早ワンオブゼムだ」という(主に若い=現場に携わる)人と、「新聞・テレビで扱われてこそ」という(主に年配=会議室で右顧左眄する)人との間にある、風通しの悪さ、なんじゃないかと。

 

 

出版社にしろテレビ局にしろ、漫画を文化として認め、漫画家に作家としての敬意を払う人はちゃんといるはずです。

 

その一方で、テレビで扱えば売上げが伸びるんだから文句は無かろう、くらいにしか思わない人もいて。

 

そのくせ、視聴率を稼ぐために事前の知名度をアテにしていることには無自覚だというのが腹立たしいのだけれども・・・

 

 

話は飛びますが、先日、古本屋で『昭和ベストセラー世相史』という本と目が合って、うっかり買ってしまいまして。

 

その中に、こんな言葉を見つけました。『天と地と』という小説がNHK大河ドラマになった折の、原作者・海音寺五郎氏の言葉です。

 

  「あの本は発表した当時あまりうけなかったのに、テレビ・ドラマになってから急に新版がベストセラーになった。文学がテレビの力を借りなければ読まれないなんて、嘆かわしいことだ。作家も出版社も、テレビに気をつかわねばならない傾向は、今後、ますます強くなるだろう。テレビが栄えて、文学がおとろえる……文学の道を歩むものとして、こんな面白くないことはない」

 

 

 

我が国は、全国紙≒東京キー局という特殊事情もあって、テレビ局絡みの不祥事は、その多くが闇から闇へと葬られてきました。

 

その流れが変わりつつある、少なくとも、テレビ一人勝ちの時代でなくなったのは、ネット台頭の良い側面だろうと思います。

 

それを認められない、それに対応できない「頭の硬い人達」が、まだまだ幅を効かせているからこそ、小学館といい、日本テレビといい、多くを語ろうとしない(語る言葉を持たない)のでしょう。

 

挙げ句、君子だからではなく、単に小心者ゆえとしか思えないカタチで逃げを打つという・・・

 

 

 

●若者達よ、奮起せよ

 

言うのも詮無いことですが・・・

 

これを機に、テレビ局も、再度奮起、オリジナルの企画を世に問う姿勢を取り戻したら良いと思います。

 

若者達は、時代に抗え。

 

老人達は、責任を負え。

 

「原作が好きだからドラマも視る」のではなく「原作があるもの(移植企画モノ)なら視ない」という視聴者もいるということをお忘れなく。

 

 

 

 

 

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「個人の感想」をもうひとつ。『ハルチカ』について。

 

 

「吹奏楽青春ミステリー」と銘打った小説。ヒューマンドラマも織り交ぜてます。

 

 

 

「青春にはいつも、解き明かせないたくさんの謎があふれている!」と謳ったTVアニメ。ヒューマンな部分を削って謎解きメインになりました。

 

 

 

橋本環奈がヒロインを演じた実写映画。謎解きを残しつつも青春ラブ要素が濃くなりました。何より、ハルタとチカと顧問の先生との“歪んだ三角関係”が無いことになってる!

 

 

 

うん、やっぱ、それぞれに別モノです。

 

ワタクシ(というより、むしろ奥様)的には良くないのだけれど、原作者さんが、それで良いなら良いです。