世は移ろい人は変わる。生まれも育ちもそれぞれだ。そこら辺を余すところなく伝えようと努めればこそ、言葉が力をもって迫ってくる。こともある。

 

 

いささか古い話題で、かつ、既に少なからぬ人が指摘していることですが・・・

 

●「アレ」と言うより「あれ?」

 

<年間大賞>
■アレ(A.R.E.)

<トップ10>
■新しい学校のリーダーズ/首振りダンス
■アレ(A.R.E.)
■OSO18/アーバンベア
■蛙化現象
■生成AI
■地球沸騰化
■ペッパーミル・パフォーマンス
■観る将
■闇バイト
■4年ぶり/声出し応援

 

 

 

あれ? えっと、ゴメンナサイ?

 

ワタクシ的に流行した、というか、知っているレベルでさえ「生成AI」と「地球沸騰化」と「4年ぶり/声出し応援」くらいしか・・・

 

 

ま、もともと〈『現代用語の基礎知識』収録の用語をベースに、自由国民社および大賞事務局がノミネート語を選出。選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる〉モノであるわけだし。

 

 

 

その選出・選択が、ワタクシ個人の感覚・感性と(激しく)違っていたとしても、それもこれも「多様性」ということで認めましょう。

 

皆が納得する「新語・流行語」を選ぼうなんて、およそ無理な時代ですしね。

 

もともと、ちょっとした遊びなんでしょうから。

 

 

●似て非なるモノ

 

ところで、同様の企画(?)は、他所の国でもあるようで。

 

こちら「Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.(ドイツ語協会)」が発表している「Wort des Jahres(今年の言葉)」、2023年です(日本語は機械翻訳)。

 

 

 1.Krisenmodus

 2.Antisemitismus

 3.leseunfähig

 4.KI-Boom

 5.Ampfelzoff

 6.hybride Kriegsführung

 7.Migrationsbremse

 8.Milliardenloch

 9.Teilzeitgesellschaft

10.Kussskandal

 
 1.危機モード
 2.反ユダヤ主義
 3.文字が読めない
 4.AIブーム
 5.アンプフェルゾフ
 6.ハイブリッド戦争
 7.移民ブレーキ
 8.10億ドルの穴
 9.パートタイム社会
10.キス疑惑
 

 

 

あれれ? ワタクシ的には・・・

 

むしろ、こちらの方が「知ってる(意味がわかる)」言葉が多いぞと。

 

 

もちろん、日独ではトップテンの決め方が違うので、単純に比べてもあまり意味はないわけで。

 

ドイツの方は、協会が主になってはいても、広く一般からの「提案」をも入れているのだそうです。

 

 

Die GfdS-Mitarbeiter lesen Artikel in Zeitungen und im Internet.

Sie sammeln Vorschläge für das Wort des Jahres.

Auch alle anderen Menschen können mitmachen.

Jeder kann der GfdS Vorschläge schicken.

Die Vorschläge werden in einer Liste gesammelt.

Auf der Liste stehen am Ende des Jahres ganz viele Wörter.

 

Anfang Dezember gibt es dann ein Treffen bei der GfdS.

Die GfdS sieht sich die Liste mit den Vorschlägen an.

Dann wählt sie das Wort des Jahres.

Und sie wählt 9 weitere Wörter.

Die GfdS veröffentlicht dann diese 10 Wörter.

 

GfdSの社員は新聞やインターネットの記事を読む。GfdSの社員は新聞やインターネットの記事を読み、その年の流行語大賞の候補を集める。誰でも参加できる。誰でもGfdSに提案を送ることができる。提案はリストに集められる。年末になると、リストにはたくさんの言葉が並ぶ。

そして、12月の初めにGfdSで会議が開かれる。GfdSは提案のリストに目を通す。そして、その年の流行語を選ぶ。さらに9つの言葉が選ばれる。そして、GfdSはこの10語を発表する。

 

 

 

へー、くらいのモノですが、せっかくなので雑感を少々。

 

 

●「leseunfähig(文字が読めない)」

 

Um die Lesefähigkeit der Bevölkerung ist es nicht gut bestellt – die Schulschließungen während der Pandemie und die Deutschkenntnisse von Migrantinnen und Migranten dürften die Situation noch verschlimmert haben. In jüngsten Studien erfüllen bis zu 31 Prozent der Viertklässler nicht die Mindeststandards beim Lesen. Das Adjektiv leseunfähig (Platz 3) bezieht sich jedoch darüber hinaus auch auf das Verstehen komplexerer Texte, das offenbar immer mehr Menschen Schwierigkeiten bereitet, und ist ein Verweis auf eine grundlegende Bildungsmisere in Deutschland.

 

国民の読解力は決して良い状態とはいえない。パンデミック時の学校閉鎖や移民のドイツ語能力が、状況をさらに悪化させていると思われる。最近の調査では、小学4年生の最大31%が最低読解基準を満たしていない。しかし、leseunfähig(3位)という形容詞は、より複雑な文章の理解も指しており、どうやらますます多くの人が困難な状況に陥っているようで、ドイツの根本的な教育不足に言及している。

 

 

国民一般の「読解力」に危機感が持たれているのは、洋の東西問わないようです。

 

「根本的な教育不足」は、それはそうなんでしょうけれども、短文・単純こそが「いいね!」とされる昨今、時代・環境の影響も大きいですから。

 

「言葉が通じない」と嘆くその人が「人の話を聞かない」ということも、往々にしてありますし。

 

とにかく結論を急ぐ、白黒はっきりさせないと気が済まない、自他ともに立ち位置が明確でないと落ち着かない・・・人達が多いような気がします。

 

難儀なことです。

 

 

●「Migrationsbremse(移民ブレーキ)」

 

Eine Migrationsbremse (Platz 7) forderte angesichts der weiter ansteigenden Asylbewerberzahlen der brandenburgische Innenminister. Die Wortbildung, die sich in eine Reihe mit weiteren -bremse-Komposita wie SchuldenbremseKostenbremse oder Miet-/Strom-/Gaspreisbremse stellt, steht für die 2023 intensiver gewordene Debatte um den politischen Umgang mit Migration und ihren Folgen für die Gesellschaft. Auch der Bundeskanzler schwenkte ein: »Wir müssen endlich im großen Stil diejenigen abschieben, die kein Recht haben, in Deutschland zu bleiben.«

 

ブランデンブルク州の内務大臣は、庇護を求める人の数が増え続けていることを考慮し、移民にブレーキをかけるよう呼びかけた(7位)。債務ブレーキ、コストブレーキ、家賃・電気代・ガス代ブレーキといった他の-bremse合成語と並ぶこの語形成は、2023年に激化した移民の政治的処理とその社会への影響に関する議論を表している。連邦首相はまた、「ドイツに滞在する権利のない人々を最終的に大規模に強制送還しなければならない」とも述べた。

 

 

言葉自体もさることながら、その言葉が選ばれる政治的背景の方に興味が湧きます。

 

あちらでは既に「兎にも角にも移民受け入れ」から相当程度「揺り戻し」が来ているようで、移民拒否、強制送還の議論もタブーではなくなっている様子。

 

 

我が国における移民政策など、その周回遅れ二周遅れの感ありです。

 

 

 

 

ま、そこはね、移民とか、ついでにLGBTとか、「差別」とくっつきやすいものだけに、多くの人の腰が引けているのでしょうけれども・・・

 

 

●それは「差別語」だから?

 

そう言えば「増税メガネ」が流行語にノミネートされないのはおかしい、といった話もありましたが、同じ理由かもしれません。

 

「メガネ」も時と場合によっては、普通に差別語になりますからね。

 

 

ただ、それにしても・・・(少なくともマス・メディアには)岸田さんって叩かれないなあ。

 

余程(誰にとって、かは置いといて)都合の良い首相なんでしょうか。

 

そこは不文律? アンタッチャブル?

 

 

実際、最近の国内政治ニュースでは、清和政策研究会だけ(!)を(当の安倍さんは亡くなっているのに)安倍派と呼び、虚実ないまぜにして叩いています。

 

確かに、金額的にショボくても、あるいはみんながやっていても、悪いことは悪い。

 

それはそうです。

 

だったら、他派閥だって、それこそ宏池会だって岸田派としてもっと批判しないと。

 

 

というか、これだけ閣僚辞任が続いているのに、安倍政権時代横行した首相としての「任命責任追求」はどうなってるんだ、ってハナシで。

 

 

つまりは目的ありきの言葉なんでしょうね。

 

そういったマス・メディア人(に限らないけれども)のダブル・スタンダードが「言葉の力」を失わせていくんだよ、と思います。

 

 

●決めなくて良い、決めない方が良い。

 

2022年2月24日以前のことには一切触れず「力による現状変更は(国際法違反であり)許されない」として、全面的にロシアが悪いとしていた人々が、2023年10月7日以前に遡って「テロ行為(国際法違反)に至るのにも理由がある」としてハマスを擁護したりする。

 

オカシイでしょ。

 

ウクライナを少しでも批判すると「ロシアの味方をするのか」と怒ったり、イスラエルの言い分を伝えるだけで「パレスチナの敵だ」と決めつけたりする。

 

そういう短絡的な二分法も、ホント止めてほしいです。

 

 

要するに結論ありきの言葉なんでしょうね。

 

大多数の学者・専門家が、最初に示した見方・立ち位置を決して変えないというのも「言葉の力」を失わせるもので。

 

 

実際、簡潔明瞭な言葉には「インパクト」があって、人は、つい「反応」してしまうし、それが度々繰り返されると容易に刷り込まれてしまう。

 

けれど、その言葉は、あくまでも入り口であって結論じゃありません。

 

 

人を説得するには、あるいは、自分を納得させるには、単純明快な言葉の背後に複雑緻密な言葉の積み重ねが不可欠だと思います。

 

そこを割愛し面倒くさがって触れずにいたら、そりゃ読解力など、どこまでも落ちていくでしょう。

 

 

不変こそが尊い、なんてことは、そう多くはありませぬ。

 

目的ありき、結論ありき、の言葉に惑わされてはいけませぬ。

 

 

「差別だ」とか「傷ついた」とか、何なら「陰謀論だね」とか、対話や議論を断ち切る言葉も多いけれど、そこで萎えちゃダメだと自戒する、令和5年の暮です。

 

 

 

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地元豊橋では「多目的屋内施設(新アリーナ)」建設の是非が焦点ということに(マス・メディア的には一応)なっています。

 

賛成する人は、その必要性・必然性を言うわけですが、反対する人は、ま、とにかく次から次へと論点を増やして(変えて)いくわけで。

 

 

 

 

ワタクシ的にちょっと前に衝撃を受けた、というか、面食らったのが「今の豊橋公園が良いので反対」という御意見。

 

「おおぅ」ですね。

 

以来、「それは素敵、いや無敵? 反論できないわ」ということで、ワタクシの中で「今の◯◯が良いから」が流行語になっております。

 

これ(↑)が皮肉だと分からない人もいて「伝わらないなあ」と思ったりする。

 

 

ちなみに、新アリーナ建設で、豊橋公園がどう変わるかというと・・・

 

 

 

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/106201/gaiyoban.pdf

 

 

確かに「今の豊橋公園」ではなくなるわけですが、それだって、昔から「今の豊橋公園」だったわけもなく、市民プールがあって泳いでいたり、体育館があってプロレスやってたり、さらには動物園だった時もありで・・・

 

ま、どんな意見(単なる感想?)があるとしても、つまりは人それぞれ、多様性の時代だから、良いですけどね。

 

 

ただ、もはや「反対することが目的」、とにかく「反対のための反対」、みたいな言葉の群れには、付き合いきれないなあと思います。

 

それでも、直接向き合って話をすれば、ひょっとして「分かり合えないことが分かる」くらいまでは歩み寄れる気がしますけれども。