福島第一原発被災事故当時に比べれば、多少マシかなと思うところもあるのだけれども・・・日本政府が困るんなら何でも良いという一部日本人、それと呼応する一部近隣諸国は健在のようでして。
まずは地元紙の(オモシロ?)コラムを。
(東愛知新聞8/26-1面)
一読「だったらどうしろと?」と言うしかありません。
いくら海水で薄めても、トリチウムの総量は変わらない。
なんて大発見みたいに言われましてもね。半減期とかあるし。
たとえ科学的に安全が証明されても、怖いのは風評被害だ。すでに中国は日本からの水産物の全面禁輸を打ち出した。広まれば大打撃だ。
に至っては、そりゃ「大打撃」には違いないのでしょうけれども、そういった「被害」を防ぐのもアナタ達の仕事でしょうに。という話で。
●ワカランチン&マスメディア
いわゆる風評被害は、これまでも種々諸々繰り返されてます。
その度、どういうわけか政府や行政が責められるわけだけれども。
いやいや、本当に悪いのは、風評を流布する個人や組織、それを信じてしまう人や団体の方であって。
あるいは、そこを糾すことなしに無批判に伝えるばかりか、被害者に寄り添っていますよの体で、むしろ、その被害が拡大することを「かく、あれかし」と望んでいるかのような報道をするマスメディアであって。
此度について言えば、まずは、科学的根拠のない決定をくだした中国政府をこそ徹頭徹尾批判すべきところです。
放出を「決断した岸田文雄首相ら関係者」の責任を云々するなら、いっそ「買わないなら買わないで結構。国内を始めとして需要は他にいくらでもある」くらいの啖呵を切れ、という方向は如何かな。
●対案なしの反対に意味はない
そもそも「絶対安全」とされていた原発が事故に至ったことが問題だとするのも分からなくはないです。
津波の想定が甘かったと言うのも、その通りなのでしょう。
けれど、それこそ今更言っても詮無いことで。
現に、日々「汚染水」が発生しているのだから、それは順次処理していく他ないでしょう。
でもって、その「処理水」を貯蔵し留め置くにも自ずと限度があるわけで。
その辺りを踏まえた、冷静な解説もあるのです。
一方、全体としてまあまあ冷静なのに、末尾に「ただ、第1原発の水は直接燃料デブリに触れており、発生原因が他の施設とは異なる」なんて言わずもがなの(中国向けの?)一文で締めくくる記事があったりで。
かつて「自然界にある放射性物質と原発事故で発生したソレとは違う」という趣旨の、恐るべき発言をした「専門家」がいたことを思い出します。
●ほどほどの距離感で・・・
我が国において商業用原子力発電が始まったのは1966年。
往時の空気を知る人は、そう多くはありません。
それだけに、今、「夢のエネルギー」に関する政策決定が、核廃棄物の最終処分方法を見据えていたわけではなく、見切り発車だったと批判するのは容易いことで。
だからこそ、それを以て、原子力発電の全てを否定し、現に存在する原子力発電所をさえ稼働させるのはケシカランと切り捨てるのが賢いことかと問えば、それは違うでしょうと。
自覚の有る無しに関わらず、ほとんどの人が原子力発電の恩恵に預かってきたわけだし、これからも、それに頼らざるを得ないわけで。
風が凪いだら仕事は休み。空が曇れば遊ぶこともできない。盛夏には熱中症で倒れる人が続出。
そんな暮らしに耐えられる人がどれくらいいるんですかと。
太陽光とか風力とか再生可能エネルギーとされるものは、既存発電のバックアップがあればこそです。
放射性物質、放射線は、太古の昔から存在するものです。
上手に付き合っていくしかありません。
けれど、それが天然なら大丈夫で(温泉等、むしろ有難がたく思ったりさえもして)、人為によるもの(殊に事故由来)はゼロでなければ納得しないというワカランチンもいます。
そんな人とは(国とも)上手に距離を取りませう。
風評それ自体はもちろん、風評被害があるかもという報道にも惑わされず、自分で判断することが大切。
そういう姿勢・態度こそが風評被害を防ぎます。
「それでも怖い」と言う人は、周囲に触れ回って同意を得ずとも、一人静かに、こっそりひっそり怖いものを遠ざけていれば良いのです。
日本政府も国際機関も、もはや信用できない、と極論に走るのは、ある意味気分が良いのだけれども・・・
ワタクシとて、コロナ[対策]禍以降、その気分は、よ〜く分かるのだけれども・・・
それでも世の中、○と✕とか、白と黒とか、単純に割り切れないことの方が多いですから。
とりあえず、聞くだけは聞いて、しかる後に、印象操作や偽造等、論理的に指摘できる部分について、きちんと意見していくようにしませう。
「ALPS処理水」を海洋放出するにあたり、放出するトリチウムの年間の総量は、事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆Bq)を下回る水準とする方針です。
トリチウムは、国内外の原発・再処理施設においても発生しており、各国の法令を遵守した上で、液体廃棄物として海洋や河川等へ、また、換気等にともない大気中へ排出されています。
上のグラフにも示すように、「ALPS処理水」の処分時に放出するトリチウムの年間総量22兆Bq未満という量は、海外の多くの原子力発電所等からの放出量と比べても低い水準です。
1.日本政府が2021年4月に発表した基本方針を受け、日本政府と国際原子力機関(IAEA)との間で、令和3年7月8日に署名された、ALPS処理水の取扱いの安全性に係るレビューの包括的な枠組みに関する付託事項(TOR)に基づき、これまでIAEAによる一連のレビューが行われてきました。7月4日、これらのレビューを総括する包括報告書が、グロッシーIAEA事務局長から岸田総理に手交され、IAEAから公表されました。
2. IAEA包括報告書の要旨(Executive Summary)においては、以下の結論が述べられています。
(1) IAEAの包括的評価に基づき、IAEAは、ALPS処理水の海洋放出に対する取組及び、東京電力、原子力規制委員会及び日本政府による関連の活動は、関連する国際安全基準に合致していると結論づけました。
(2) IAEAは、包括的評価に基づき、現在東京電力により計画されているALPS処理水の放出は、人及び環境に対し、無視できるほどの放射線影響となると結論付けました。
3.ALPS処理水の安全性やその取扱いについて、信頼性や透明性を確保し、国際社会の理解を醸成していく上で、IAEA憲章に基づいて、原子力分野において国際的な安全基準の策定・適用を行う権限を有するIAEAによるレビューは極めて重要と考えています。日本政府は、今後とも、必要な情報共有を継続するとともに、ALPS処理水の取扱いについて、国際社会の一層の理解を醸成していくことに努めます。