「性自認」→「性同一性」→「ジェンダーアイデンティティ」・・・そんな「修正」があったにしても、それが前進なのか後退なのか、根幹に係るのか枝葉に過ぎないのか、その意味するところが凡人にはとんと理解できませぬ。


 

そもそも不要不急にして有害無益。断固反対という人がいて。

 

こと此処に至っては、容認やむなし。(時間は限られているけど)国会答弁で歯止めをかけ、(むしろ極左の暴走を防ぐ装置として)運用において慎重を期す他ない、という人がいて。

 

国民全体から見れば、極一部だと捉えることも可能ですが、世論荒れてます。

 

 

ともあれ、6月9日 (金)現在、いわゆるLGBT法案は自民・公明と維新・国民民主の間で「修正」合意がなされ、衆議院内閣委員会を通過。

 

今後、衆議院本会議採決、参議院の委員会審議、本会議採決と進み、それこそ、議論が深まることなく、まさに国民不在のままに可決成立してしまうのね、という流れでして。

 

 

 

 

●定義、謎過ぎ!

 
今国会で、改めて(まるで間違い探しのようにほぼ同じ体裁、内容の)3本が提出されていた、LGBT法案。

 

ちなみに、「性同一性」(自民・公明案)、「性自認」(立民・共産案)「ジェンダーアイデンティティ」(維新・国民案)、それぞれの定義はというと・・・

 

 

 (定義)

第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。

2 この法律において「性同一性」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

 

 (定義)

第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。

2 この法律において「性自認」とは、自己の属する性別についての認識に関する性同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

 

 (定義)

第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。

2 この法律において「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

 

 

う、うん?

 

いずれの案においても「自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう」と定義されていますね。

 

ソコで揉めてるんじゃなかったの?

 

全く同じじゃん!

 

いや、もう、猛烈出来の悪いオチとしか言いようがない。


 

内閣委員会での審議時間は3時間48分。それが長いのか短いのか。

 

ワタクシとしては「そりゃ短いだろ💢」と言わずにはいられませんが・・・

 

 

 

まさに「由らしむべし知らしむべからず」を地で行く感じですかね。

 

 

●修正合意、謎過ぎ!

 

けど、そうは問屋(有権者)が卸さない、という方のために、3案の全文はこちらです。あくまでも「理念法」ですから、それほど分量があるわではりません。

 

 

提出回次211・番号13:性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案(自由民主党・無所属の会; 公明党)

 

 

 

提出回次211・番号14:性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案(立憲民主党・無所属; 日本共産党)

 

 

 

提出回次211・番号16:性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案(日本維新の会; 国民民主党・無所属クラブ)

 

 

 

互いに決して譲らないという姿勢でいたのだから、細部に込められた「思い」は似て非なるもの、妥協不可だったはず。

 

ゆえにこそ、継続審議、あるいは審議未了廃案の流れだ、という観測もあったのですが・・・・

 

 

自民・公明、維新・国民は一夜にして修正合意。

 

 

 

立民・共産は、修正案にも一応反対してますが、ポーズの匂いがしないでもない。

 

 

政党として明確に反対しているのは参政党だけ?

 

https://www.sanseito.jp/pdf/2023_against_LGBTbills.pdf

 

 

つまるところ、端から「成立ありき」だったような、そうでないような・・・



●目的・基本理念、謎過ぎ!

 

それでもなお「政治に関心を持て、選挙へ行け」と言われても、そりゃ無理難題というものですよと、正直、拗ねたくもグレたくもなる今日此頃。

 

 

ですが、この際、踏ん張って修正案本文を見ておきましょう。

 

以下、太字が与党案に(それよりは多少マシだとされる)維新・国民案を(一夜漬けで)入れるなどして、修正・追加された文言、取り消し線は削除された部分です。

 

「いや、もうムリ」という方は、結論へと跳んでもらっても良いです。

 

 

 (目的)

第一条 この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵(かん)養し、もって性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。

 

 

 (基本理念)

第三条 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。

 

 

あー、もう、一文長すぎ。

 

法律はそういうもの、なのかもしれませんが、LGBTについて理解増進を求める法律自体が広く国民一般に理解してもらう気がないでしょ、というね。

 

「国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み」という修正が入ってますが、だったら、どこまでいけば「よし、十分理解された」となるんですかい? ってハナシで。

 

 

ま、それだけなら、胸糞は悪いものの、いわゆる「理念法」ということで「まあ、良いんじゃない」と言うこともできるんですが・・・

 

 

●努力義務、多過ぎ!

 

ここから、怒涛の「努力義務」(「務めるものとする」=赤字)が続きまして。

 

 

 (国の役割)

第四条 国は、前条に定める基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

 

 (地方公共団体の役割)

第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

 

 (事業主等の努力)

第六条 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

2 学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。以下同じ。)の設置者は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童、生徒又は学生(以下この項及び第十条第三項において「児童等」という。)の理解の増進に関し、家庭及び地域住民その他関係者の協力を得つつ教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

 

あのねえ、でしょ。

 

少し置いて、さらにあります。

 

 

 (知識の着実な普及等)

第十条 国及び地方公共団体は、前条の研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めることができるよう、心身の発達に応じた教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備、民間の団体等の自発的な活動の促進その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 

2 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるため、家庭及び地域住民その他関係者の協力を得つつ教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 

はぁ〜(ため息)、でしょ。

 

 

「努力義務」。

 

そもそも、これほど「法律」になじまない文言も無いと思うのだけれども。

 

何しろ「努力」は客観的に量れませんからね。

 

個々人について言えば、むしろ、人には見えないところで努力する、方が美しく好ましいってこともあり、実際、そのように振る舞う人もいますし。

 

 

けれど、国・地方公共団体の「役割」として書き込まれてしまえば、当然目に見えるカタチで何かやって見せなければならなくなるわけで。

 

そこで必然的に金が動き、利権が生じるという、だから、ソコが問題なのだ、という話なんですよ。初めっから。

 

 

その上さらに、事業主や学校にも「情報の提供、研修の実施、普及啓発」や「教育又は啓発」する「努力」を求めているわけで。

 

その全てに、いわゆる「左翼・活動化」が入り込むことがないようチェック・監視する、そんなことを(可決・成立やむなし、とする人が仰るように)政治家諸氏に期待できるんですかね。

 

 

最後に、これは条文まるごと追加されたものです。

 

 (措置の実施等に当たっての留意)

第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定する。

 

 

これをもって「女性専用スペース」を守るための担保だという評価もあるのですが、う〜む、そうなのかなあ。

 

「留意するものとする」ですからねえ。これまた客観的に量れない。

 

「留意してますよ」と言われればそれ以上反論できないんじゃないかと思いますし、「運用に必要な指針を策定する」としても、その「指針」自体ががどういったものになるのか現時点では分からないし。

 

いずれにせよ、色々「気休め」に過ぎない気がしないでもないです。

 

 

何しろ、ソレですら、見当違いの「懸念」を示す人達もいたりで。

 

 

 

いやいや、誰もそんなこと言ってないでしょ、ですわ。

 

 

●何もかもが生煮え

 

結局、はっきりしているのは「機が熟した」とも「議論は尽くされた」とも言えない、ということだけ。

 

 

議員立法、理念法であるにも関わらず、今もって政治家の意見はバラバラのようですし。
 


 

当事者(の一部)にも不満が(大いに)あるそうで。

 

 

 

 

ホント、もう、ここまで拗れてるんなら、一旦立ち止まれば良いのに、と思います。

 

 

というか、実際、冷却していたものが再び加熱したしまったのは、首相秘書官の「オフレコ失言」が発端。

 

そこから、駐日米国大使をはじめ諸外国からの圧力もあり、他ならぬ首相が、異常なまでの前のめり攻勢。

 

自民党内の性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議、総務会・政務調査会における、議論が収斂されないままの「法案提出ありき」へと繋がっているわけで。

 

 

もちろん、もっと遡れば、種々諸々複雑な経緯もあるし、だから誰が悪いと犯人探しをするのも、何だかなあ、と思います。

 

 

けれど、だから誰か一人の責任ではなく「みんなダメ」という話でもなくて。

 

「首相としては云々」なんて言い訳してないで、自民党総裁である岸田さんが「今国会での採決は止めよう」と言えば、そりゃ止められるわけですからね。

 

 

●「理解」するって、どゆこと?

 

最後に(というか、最初からなんですが)・・・

 

LGBTに関する「理解増進」と言うのだけれどもさ・・・

 
考えてもみれば、本来、人それぞれ、十人十色、百人百様であって。
 
「LGBT」と言い、「LGBTQ」と言い、あるいは「LGBTQIA+」まで言ったとしても、そうやって一括りにしている時点で「理解」からは程遠いわけで。
 
そんな集団としての「理解」は、漠然とした「概念」にしかなりません。
 
「ストレート」の人を理解しましょう、と言われても、「健常者」差別は許されない、と言い出しても、困惑するだけでしょ。
 
 
「女性」とか「外国人」とか「障害者」とか、一般的傾向としての「何か」があるとしても、その中の一人ひとりは決して同じではなく皆違うはずで。
 
 
「差別」とか「偏見」とかいったものは、個人ではなく、その属性で人を見るからこそ生じるもの。
 
子供であれ大人であれ、教育・啓発するとしたら、
 
世の中、いろんな人がいて、いろんな生き方がある。
 
と、それに尽きます。
 
ソレ以上を、個別具体的なことを事前に「理解」しておかなければならないとしたら、それはもう、キリがない。
 
 
だいたい、人同士なんて、「分からない」と言えば「何で分かってくれないの」と泣き、「分かるよ」と言えば「アナタに何が分かるのよ」と叫ぶものです。
 
 
どんな人に出会ったとしても、あるいは、出会った人がどんな人であったとしても、
 
まずは「そうなんだ」と言えれば良い。
 
それで、その人に興味を持ち、好意を抱けば、自ずと理解に努めるであろうし、逆に、ムリだなと思えば、そりゃ「嫌いだ」くらいは言うでしょうよ。
 
 
ひっそりと生きていくのが心地よい人、そっとしておいて欲しい人だっている。
 
出会う必然のない人同士を、無理に引き合わせる必要もない。
 
 
「みんな仲良く」は、人を優しくもするし、
 
それでいて、息苦しくもします。
 
 
「LGBT・Q・IA……+……」という人はいません。
 
たまたま「LGBT・Q・IA……+……」だという個々人がいるだけです。
 
そこで、仲良くなるか、上手くやるか、距離をとるか、それは、その人が「LGBT・Q・IA……+……」だからではなく、その人だから、です。
 
 
と、どこかの青春ドラマみたいなことを言ってみる。

 

 

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そんなことは有り得ない、という人もいるんですが・・・

 

 

 

 

で、そういう懸念が現実になったのか、あるいは、むしろそういう懸念の声に触発され便乗したのか、どちらが先かは分からないけれども・・・

 

 

【津】女装して女性用浴場に侵入したとして、津署は8日、建造物侵入の疑いで、津市の職業不詳男(54)を現行犯逮捕した。

逮捕容疑は同日午後9時20分ごろ、津市白塚町の公衆浴場の女性用浴場に正当な理由なく侵入した疑い。

 

同署によると、湯船に漬かっているのを別の女性客が気付いて店員を通じて通報。駆けつけた署員がその場で逮捕した。男はスカートなどを身につけて侵入したとみられ、「私は女だ」と容疑を否認している。

 

 

 

多くの当事者にとっても、それこそ迷惑千万だろうなと。

 

 

こんな調査結果があるそうで。とりあえず「そうなんだ」とは思う。

 

思うけど、ストレートであっても、そういった苦労はあることですよねと。もちろん割合に有意差があると言えばあるのだけれども。

 

「LGBTQ+当事者の仕事や職場に関する意識調査」を実施

「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者は非当事者の約1.5倍、
3割以上は「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めた」経験ありなど
職場や仕事探しにおける障壁の存在が明らかに

 

世界No.1求人検索エンジン*「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、4月20日(木)よりダイバーシティのある働き方を推進するプロジェクト「Indeed Rainbow Voice 2023」をスタートしました。本取り組みにあたって、LGBTQ+コミュニティの人たちの仕事探しや職場において直面している困難や課題、職場に求めることなどを明らかにするため、全国のLGBTQ+当事者1,000名を対象に、意識調査を実施しました。

 

その結果、LGBTQ+当事者の約4割が「職場で生きづらさを感じる」と回答し、非当事者の約1.5倍に当たることがわかりました。またLGBTQ+当事者の3割以上が「性自認や性的指向がきっかけで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答し、そのうち約8割が仕事に応募する前に諦めた経験があることが分かりました。これらの結果から職場においても、仕事を探す段階でも、LGBTQ+当事者は障壁に直面しやすい状況であることが推測されます。

 

https://jp.indeed.com/press/releases/20230420-2