サミットに集ったG7首脳らが、打ち揃って(!)広島平和祈念資料館⎯⎯原爆資料館を訪れたそうで・・・

 

たぶん、それは良いことだと思います。けれど、そういう「絵」を見せられて、どうしようもない「軽さ」を覚えるのは、何故なんでしょうか。

 

 

ともあれ、彼ら彼女らがどういった「感想」を持ったのか、記念館での記帳内容を見てみましょう。我が国首相以外は外務省による仮訳です。

 

 

●G7首脳による平和記念資料館訪問(記帳内容)

 

 

 

「歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う」(岸田総理大臣

 

 

感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。(マクロン仏大統領

 

 

この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!(バイデン米大統領

 

 

多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。(トルドー加首相

 

 

この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。(ショルツ独首相)

 

 

本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。(メローニ伊首相)

 

 

シェイクスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。(スナク英首相)

 

 

80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいのか、改めて思い起こさせます。それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。(ミシェル欧州理事会議長)

 

 

広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。(フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長)

 

 

 

 

 

この件に関して、NHKなどは、もちろん大真面目に報じています。

 

 

 

とは言え、個別の記帳内容に対する「感想」は、それこそ、人それぞれでしょう。

 

 

ワタクシ的に、記帳した本人の「顔」が見えるのは、そうですね、スナクさんくらい? 

 

あと、詩的、という意味で「ほほう」と思ったのがメローニさん。

 

 

他は、ぶっちゃけ、何処で、何について書いたのだとしても「そりゃそうですよね」という内容に思えてしまいます。

 

「サミット前にLGBT法案提出を」からの流れで、広島サミットそれ自体への熱が猛烈冷めてしまっていただけに、ワタクシの感性がどうかしちゃってるんでしょうか。

 

 

さて、コレより前のようですが、配偶者の方々による記帳内容も公開されています。

 

●G7首脳の配偶者による平和記念資料館訪問(記帳内容)

 

 

 

「今日、皆様と共に原爆資料館を見学できた事は大変意義深く一生心に残る出来事でした。G7広島サミットにおいて皆さんと平和への願いを共有し、核のない世界の実現に向けて前進することを心より願っています。」(岸田総理大臣夫人

 

 

平和で自由な世界を構築し続けるために私たちが集うこのG7サミットの機会に、この資料館は私たちの使命を改めて思い出させてくれます。温かい歓迎に感謝いたします。(バイデン米大統領夫人

 

 

私たちはこの場所において、広島の人々の想像を絶する苦しみを、まざまざと目の当たりにする。この恐怖が繰り返されることは決してあってはならない。(エルンスト独首相夫人

 

 

今日、この場所、広島に証人として訪れました。戦争の恐怖。戦争による破壊。被爆者の言葉に耳を傾けるため。戦争がもたらす悲劇を決して忘れないために、我々は平和、結束、人類のため、集結する。(マーティ英首相夫人

 

 

ヒロシマは、私たちの良心に消すことのできない痕跡を残しました。
この慰霊碑の深い静寂の中にたたずみ、犠牲者の方々に謹んで哀悼の意を表します。彼らが残した記憶は、将来世代のために平和を堅持せよと私たちの背中を押しているのです!(
フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長夫君

 

 

 

こちらは、首脳ご本人のように「責任ある立場」でない分だけ、想いが伝わってくるような気がしないでもないですね。

 

フォン・デア・ライエンさん、定型文ではあるのだけれども、情景描写によるものなのか、「哀悼の意」が、ちゃんと「心から」出たものだと思えます。

 


ところで、どういうわけか(!)、ゼレンスキーさんも現れました。

 

 

「(平和記念)資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅しの居場所はない。」(ゼレンスキー・ウクライナ大統領

 

 

 

えーと、何か、単なる悪口になってしまいそうなので、ノーコメントで。

 

 

●どのように見るか、も、本来人それぞれ。

 

もちろん、ゼレンスキーさんを含め、各国・地域首脳やその配偶者が広島に来て、平和公園、記念資料館を訪れたという、その事自体に意義がある、と捉えることもできるでしょう。

 

一方で「平和アピール」のためにヒロシマを利用するな、という感じ方だって有り得るわけで。

 

 

ソーシャルメディアなどでは、G7の首脳が一堂に会し、資料館の視察と献花を行ったことに意義を見いだす意見もある。「こんな光景がみられるなんて」という強い気持ちのこもったツイートも散見された。

 

一方で広島市内では、サミットに反対するデモが連日行われている。

 

平和記念公園に近い商店街では、抗議参加者たちが警察に囲まれながら、サミットは戦争会議だと主張するプラカードを掲げて行進した。

 

 

 

いずれにせよ、種々諸々、政治的駆け引きの結果であることは知っておいた方が良いですね。

 

 

 19日午後、各国首脳を案内した原爆資料館の館長が会見しました。

 原爆資料館・滝川卓男館長:「(Q.どの辺りまで見られた?)政府行事の一環なので、視察時の対応については政府にお尋ねいただきたい」

 本館に行ったのか、どの展示品を見たのかなど詳しくは分かりませんでした。なぜ、中の様子を明かさないのでしょうか。そこには“アメリカ側の事情”もあるというのです。

 

 

 

 

(中日新聞5/20-3面)

 


ワタクシ自身について言えば、スケジュールに組み込まれた中で訪れる場所ではないな、と考えています。

それは、40分ならダメで、3時間なら良い、ということではなく・・・

 

 

「よし、見たよ。じゃ、次行こう」という気分にはなれないだろうな、と。

 

何であれ、感じたこと、想うところと、じっくり向き合う時間が欲しくなるだろうなと、そういう自分を想像するわけで。

 

 

その意味では、修学旅行の一環として団体で訪れるのも、何か違うでしょう、と常々思っている次第です。
 

 

記念館の導入展示に、こうあるそうです。

 

 一発の原子爆弾が、無差別に多くの命を奪い、生き残った人々の人生も変えました。広島平和記念資料館は、被爆資料や遺品、証言などを通じて、世界の人々に核兵器の恐怖や非人道性を伝え、ノーモア・ヒロシマと訴えます。

 

 

 

その訴えを受け止める、その心は、私だけのものです。

 

 

 

https://hpmmuseum.jp/modules/xelfinder/index.php/view/2531/Japanese_s(2023).pdf

 

 

 

 

●「過ちは繰り返しませぬから」

 

時に、平和公園と言えば「原爆死没者慰霊碑の碑文を改めるべき」という意見が根強くありまして。

 

曰く「主語がないゆえに、過ちを犯したのが日本であるかのように受け取れる」というものです。

 

 

広島市のサイトには、こうあります。

 

 

 「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という原爆死没者慰霊碑の碑文は、被害者である日本が「過ち」を犯したかのような文言となっており、改めるべきではないか。

 

回答
 この碑文は、全世界の人々が、原爆犠牲者の冥福を祈り、戦争や戦争によって生まれた核兵器の使用という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉です。過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、全人類の共存と繁栄を願い、真の世界平和の実現を祈念するヒロシマの心として、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれています。つまり、碑文の中の「過ち」とは、一個人や一国の行為を指すものではなく、人類全体が犯した戦争や核兵器使用を指しています。

 

 このように、この碑は被爆者や広島市民だけでなく、核兵器廃絶と世界恒久平和実現を求める人々にとって祈りと誓いの原点であると考えており、碑文を改めるのではなく、この碑文の趣旨を多くの方に御理解いただけるよう、発信に努めてまいりたいと思います。

 

 

 

これについては、フツーの日本人(これがまた、難しいハナシになるわけですが)であれば、広く人類一般を含意しているのだろうと察するはずで、だから良いんじゃないの? とワタクシは考えています。

 

 

 平和記念公園(広島市中区)の原爆慰霊碑の碑文を考案した雑賀(さいか)忠義元広島大教授(1894~1961年)の碑文と英訳を併記した書計4作が、西区の個人宅で見つかった。英訳は2種類あり、市公文書館は「教授の英訳に対する強い思い入れがうかがえる貴重な資料」と評価している。

 

 〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜

 

 和紙の英訳は、「過ちは繰返しませぬから」の部分を「For to repeat the fault we shall cease」と表現する。市が碑文を発表した1952年7月ごろに使われていた。
 

 英文学が専門の雑賀教授は、発表後も米国の大学関係者から意見を聞くなどして英訳を練り続けた。色紙には自然な言い回しになった公式訳の「For we shall not repeat the evil」が記されている。

 

 

 

無論、外国人には、その機微は伝わらない、要らぬ誤解を生む、という論点は分からないでもないです。

 

でもね、そこで「実はこれ、We:私たち≒人類、が隠された主語なんですよ」と訴えてみたところで、そうだと受け止める感性が先方に無ければ、どっちにしたって意味のないことで。

 

何しろ、外国人一般は、勝手に「we」に入れてくれるなと怒るだろう、という説もあったりで。

 

 

今回紹介した「記帳内容」を見ても、原爆の使用やその結果としての惨禍を、自分のこととしている人は、驚くほど少ないように思います。

 

というか、ほとんどいませんね。

 

 

ひょっとして、プライベートな発言等で「もっと、ゆっくり向き合いたかった」くらい言ってくれている人がいるのなら、救われるんですけれども。

 

 

 

戦争は悲惨で、命は大切で。

 

 

そんなことは分かり切っている。

 

かつての“we=私達”だって、それを知らなかったわけじゃなない。

 

けれど、戦争した。

 

 

怒りとか、欲望とか、大義とか、正義とか、

 

そうものに駆られて戦争したし、今もしている。

 

 

そこに武器だけ与えて片方を支援する。

 

それは、一番卑怯なことではないのか。

 

平和をと訴えるならば、

 

せめて、自分自身傷つく覚悟で戦争と向き合えよ、と思う。

 

 

圧倒的戦力でもって、双方を叩くか。

 

もしくは、全く口を出さず手を出さず、とことん戦わせるか。

 

 

年中行事のように集まって会議して文書出して。

 

 

そんなのは意味が無い、までは言わないけれども、

 

政治やってますアピール、もしくはマスメディアの売り物、

 

としか思えなくなっております。

 

 

イカンなあ。

 

 

こちら、外務省のサイト。

 

首脳声明他、ウクライナに関するG7首脳声明、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」、経済的強靭性及び経済安全保障に関するG7首脳声明 、G7クリーン・エネルギー経済行動計画、強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明、等々、サミット関連一次資料がいっぱいです。

 

 

 

 

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広島サミット全般、大成功なのか、目立った成果はなかったのか、いろんな見方があります。

 

しかしながら、その入り口論的に扱われたLGBT法案の危うさは、もう、どうしようもない。

 

このまま、吊るし審議未了廃案になるなら、自民・公明案による「保守派への配慮」が正解だったことになるし、逆に、野党がそれでもOKと言って抱きついてきちゃった日には「骨抜き」は嘘だったことになります。

 

 

とりあえず「性的少数者も含め、人権と基本的自由を損なう暴力を非難」(G7首脳声明)するのであれば、まず女性の「女性用トイレを使う権利」を守れ、と言いたいですね。

 

そこに、性自認≒性同一≒性アイデンティ女性(生物学的男性)が入るのは、女性に対する暴力以外の何物でもないないでしょう。