急いては事を仕損じる。まして、此度LGBT関連法整備加速の動きは「オフレコ破り」がきっかけですからね。そんな一時の風に煽られ乗せられてて動くと碌なことはありません。
俄に前のめりになっている岸田さん始め、政治家もメディア関係者も、
●「理解増進」が必要と言うなら・・・
まずは自分たちこそがLGBTについて、より多くを知ってそれを丁寧に発信していけば良いのではないですか?
何事かについて国民の理解を深めるため、いきなり法律を以ってする、という発想自体がちょっと違うんじゃないかなと思います。
法律をつくり行政でやっていこうとすれば、当然、ハコ(何とか会館とかセンターとか)、ヒト(何とか長とか次長とか)、モノ(何とか小冊子とかリーフレットとか)のためにお金を使うようになるわけですし。
一旦そういう流れになってしまった暁には、「LGBT」をマクラにしさえすれば、何でも予算がついちゃうことでしょう。男女共同参画基本法が良い前例です。
しかも、それが真に理解増進へと繋がるならまだしも、概ね無駄に終わるか、あるいは、たまに有害事象を引き起こしたりするもんだから、納税者としてはホントに困ってしまいます。
「差別は許されない」って、そりゃ、そうです。そんなことは当たり前。
でもね、
●「差別禁止」を盛り込みたいのなら・・・
何が「差別」に当たるのか、そこ明確にしてくれないと。
物言えば唇寒し。一庶民としておっかなくてしょうがありません。
例えば「見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」という発言それ自体は、誰もが持ち得る「個人の感情」と言えなくもない。
基本、心の広いワタクシですが、具体的な◯◯さんを目の前にして「今まで生きてきた中で一番嫌いだ」くらい言い放つことがありますからね。
そういう特定の個人を見ずに、不特定の他者をLGBTというカテゴリーで一括にして「嫌だ」と言えば、それは「偏見」になり、かつ、実際隣に住まわせない、となって初めて「差別」になるわけで。
そこら辺をきちんと書いておかないと、それこそ「傷ついた」と同様「差別された」も「言ったもん勝ち」になってしまいますからね。
その意味で「マスクしてない人は怖い」「ワクチン未接種の人は感染源」という「偏見」にとどまらず、実際に、入れない、参加させない、無理矢理降ろしちゃう、という明確な「差別」がまかり通っていても、そこに疑問を持たず咎めることさえしなかった人達が「差別禁止」を言うのか、と思わずにいられません。
もちろん、たとえ個人の感情であっても、時と場所と場面によって「言ってはいけない」はそりゃあるでしょう。
しかしながら、だから「オフレコ破り」が正当かというと、そうも思えないわけで。
●「重大な問題」も言ったもん勝ち
当の毎日新聞は、以下のように経緯を報じてます。
3日の取材では、岸田首相が1日の衆院予算委員会で同性婚の法制化について「社会が変わっていく問題だ」と答弁したことについて記者から質問があり、荒井氏は首相答弁の意図などを解説した。その中で「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと発言した。現場にいた毎日新聞政治部の記者は、一連の発言を首相官邸キャップを通じて東京本社政治部に報告した。
本社編集編成局で協議した結果、荒井氏の発言は同性婚制度の賛否にとどまらず、性的少数者を傷つける差別的な内容であり、岸田政権の中枢で政策立案に関わる首相秘書官がこうした人権意識を持っていることは重大な問題だと判断した。ただし、荒井氏を実名で報じることは、オフレコという取材対象と記者の約束を破ることになるため、毎日新聞は荒井氏に実名で報道する旨を事前に伝えたうえで、3日午後11時前に記事をニュースサイトに掲載した。
ま、この説明(言い訳?)自体の正邪については「個人の判断」でしょうけれども。
文脈、ニュアンス等、現場にいた者でないと分からない部分もあるし、加えて、同じ空間にいても、鈍感(何も考えてない)ゆえに聞き流す人と、敏感である(自らのうちに潜在的差別意識がある?)からこそ「差別的な内容」だと受け止める人とがいるわけで。
そう考えると、件の「問題発言」は、やはり「何でわざわざ餌を撒くかなあ」としか言いようがなく、首相秘書官として不用意の誹りは免れません。
でもね、これまで、新聞社が「重大な問題」だからと(勝手に)判断し、「オフレコ破り」の報道をして、それで良いことがあったかというと、むしろ国益を損ねたことの方が多かったりもして。
こちら、数日後の中日新聞記事です。
(中日新聞2/7-2面)
こうしてみると、新聞記者にとっての「重大性」は、関係者の「首が取れるか否か」なんですね、って感じです。
記者さん達自身に言わせると・・・
政治家など公人の「オフレコ発言」は、市民の知る権利が損なわれると判断される場合は認めない。
・・・のだそうですが。
いやいや、アナタ達の良心が那辺にあろうとも、国民としていちいち知る必要もないことだってあるわけで。
此度の報道が、またまた不幸の端緒にならなきゃ良いんだけどなあ、と思わずにいられません。
ところで、
社会的弱者とかマイノリティとかを全面に押し立てた「運動」というヤツは、大抵、当事者と当事者家族、加えて彼ら彼女らの力になりたいという純真素朴な「いい人」達を、中心にいる悪辣な集団がだまくらかしている、という構図になっているものでして。
●「LGBTという名前の人」は存在しない
今回、例の問題発言の後、「当事者らでつくる団体」が参議院議員会館で集会を開いたって話ですが、そこでの「声」がLGBT当事者を代表するものでない、のは言うまでもないでしょう。
「500人」とかいう報道にびっくりしてはいけません。
例えば、1万人に1人という率の「マイノリティ」も、全国で言えば1万人以上いるわけで。
「理解増進」を謳い「差別禁止」を叫ぶ人達が、じゃあLGBT一人ひとりの気持ちを本当に理解しているのか、彼ら彼女ら(と、その他の人ら)の差別体験をちゃんと共有しているのか、と問いたいですね。
マスメデイアが喧伝する印象で、他人が半端に「分かったつもり」になるくらいなら、むしろ「そっとしておいてください」というのが、多くの当事者の本音ではないかと思います。
1対1で向き合えば、そこに「偏見」も「差別」も在り得ません。
(でも「嫌い」は在り得ます)
3人以上の集団になった時、そこに派閥が生まれ、偏見や差別が生じます。
ならば、理解増進も差別禁止も、集団としてのLGBTではなく、1対1の、名前で呼べる当事者と実際に向き合った時、自分のこととして考えれば良いのではないですか。
「ふつうの人」が実は皆違うように「LGBTの人」だって皆違うのです。
必要なのはLGBT枠の法律ではありません。
「いろんな人がいる」、その現実に慣れておくことだけ。
出会って、互いの違いを受け入れられたら仲良くすればいい。
出会って、互いの違いを受け入れられなかったら静かに距離を取りましょう。
それで良いではないですか。
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人と真剣に係わっていこうとするなら、その複雑さや分かりにくさや面倒くささと、とことん向き合う必要があります。
こちら、豊橋(愛知15区)のお隣、静岡7区(浜松市西区・北区・浜北区・天竜区、湖西市)選出の衆議院議員城内実さんが動画で紹介していました。
昨今、LGBTに対する差別や権利擁護が社会問題として大きく取り上げられるようになりました。しかし、左翼運動の変形としてのLGBT運動では、社会変革はできません。本書は、ゲイであることを公表した元参議院議員の著者が、急進的LGBT活動家が触れたがらない不都合な真実をあぶりだし、保守の立場からの新しいLGBT論を提唱します。差別と公正、人権と正義、保守とリベラルなど、これまで語られることのなかった、まったく新しいLGBT論です。
ご存知の方もいらっしゃるでしょう、城内さんというと安倍さんの弟子筋でして、こんなエピソードに触れてます。
ちょっと城内君来てと言われて。衆議院の第1議員会館の12階の1212号室が安倍晋三先生の議員会館の部屋だったんです。その時にこの本読んだか? と言われて。これを読みなさいということで。
安倍先生これ読んだんですよ。
松浦さん曰く、
ひょっとしたら世界の潮流の方が間違っているのかもしれないっていう可能性があるわけです。それを日本が後追いでやって、世界はもう気づいて180度方向転換し始めているのに、日本がそこに突っ込んでいこうとしてるっていう。この状況をやっぱりおかしいなと思うわけですよね。
運動の中心にいる人達は、社会正義の衣を着せて秩序破壊の種を植え付けたいだけ。与野党問わず、議員の多くはそんなことに頓着せず、とにかく予算がつく法律なら何でも良い。当事者に寄り添っている人は本当に少ない、らしい。
男女共同参画社会基本法ができた時に、男女共同参画センターだとかウィメンズセンターがいっぱいできたじゃないですか。あれと同じ状況ができるだろう。
LGBTセンターが各県にできた暁には、誰がセンター長になるのか、どこの団体が職員として入っていくのか、そこで使われる教材はどこの団体が受注するのかっていうことで。もう今から綱引きが始まってるわけですよね。
「LGBT関連法案」は、アレが出てコレが出て、またソレが出て、と色々ややこしくなってます。
こちら、そこら辺の事実関係を整理した素敵記事です。参考までに。
LGBTに関して、もうひとつの大きな論点が「性自認」の問題でして、海外では、一歩も二歩も(善くも悪くも)前を行ってます。
ソレだけが原因ではありませんが、スコットランド自治政府首相が辞任しました。
2023年1月17日
イギリス政府は16日、スコットランド議会が昨年12月に可決した、性別変更の法的手続きを簡易化する法案の正式な法制化を阻止すると発表した。この法案と、イギリス全土における平等保護の取り組みに矛盾が生じるためと説明している。
スコットランドでは2005年から、出生証明書上の性別を男性から女性に、あるいは女性から男性に変更することが認められている。
変更に必要なジェンダー認定証明書(GRC)の申請はこれまで、18歳以上であることや、性別違和(生物学的な性別と性自認に違和感がある状態)の診断書が必要だった。
しかしスコットランド政府は、既存のプロセスは押しつけがましく苦痛を伴うため、GRCの申請をためらう人がいると指摘。対象年齢を16歳に引き下げ、診断書を不要とし、自己申告での変更を可能とする「ジェンダー認定法案」を提出した。法案は86対39の賛成多数で可決された。
こうした性別変更手続きの簡易化は、ヨーロッパの数カ国がすでに導入しているが、イギリスではスコットランドが初めて取り組んだ。
トランスジェンダーの権利活動家はこの法案を歓迎している。一方で反対派の人々は、女性専用のサービスやスペース、法的保護に対する潜在的な影響を懸念している。
2023年2月16日
[ロンドン 15日 ロイター] - 英北部スコットランド自治政府のスタージョン首相(52)は15日、辞任を表明した。第1党・スコットランド民族党(SNP)の党首も退く。後継者が決まるまでは現職にとどまる。
ここ数カ月は、新たな独立住民投票の実施が英最高裁によって妨げられ、性別変更手続きの簡略化法案を巡っても、英政府に阻止された。
以下は、Newsweek日本版が伝えるLGBT関連ニュース。
そのほとんどは「寄り」というか、礼賛するものなのですが、ここでは、ちょっと微妙な記事を選んでます。
2021年5月4日
<生物学的には男性であるトランスジェンダーのアスリートが、女子選手として競技に出場するのはフェアではないのか>
※トランスジェンダーの選手は女子スポーツに出るべきでない...五輪金メダリストの発言が物議
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/05/post-96212.php
2021年08月24日
<生まれた時の性別か現在の性別か。アメリカの世論も悩む難題を考える上で大切なこと>
※トランスジェンダーは男女どちらで参加すべき? 性別と五輪をめぐる建前と本音
https://www.newsweekjapan.jp/sam/2021/08/post-74.php
2021年10月26日
<ミレニアル世代の中でも最も若い「Z世代」に絞ると、39%がLGBTQを自認しているという>
※アメリカの若者の30%以上が「自分はLGBTQ」と認識していることが判明
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/10/lgbtq-5.php
2022年6月16日
<毎年6月の「プライド月間」は、LGBTQIA+(同性愛など全ての性的少数者)の権利を啓発するパレードやコンサートが世界各国で行われる。ネパールからアルゼンチン、ロンドンからシドニー、まずはどこへ?>
※6月は虹色のプライドをみんなで祝おう──世界のレインボーイベント<10選>
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2022/06/post-98872.php
ここでいう「レインボーイベント10選」というのはこちらです。
2023年01月21日
<法的な性別変更を簡易化する改革についてローリング氏は、女性専用のサービスや空間をトランスの人々にも使わせるのは「女性の権利の破壊」と批判>
※女性専用サービスを「女性以外」から守れ! 性別変更の簡易化改革をハリポタ作者が批判(スコットランド)
https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2023/01/post-201.php
2023年2月3日
<女性として当初は女子刑務所に入れられた元男性だが、女性受刑者の安全を懸念する声が高まったことを受けて移送が決定>
※性的暴行犯、裁判で「性自認は女性」と訴え女子刑務所へ...批判受け、男子刑務所に移送
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100775.php
2023年02月09日
<トランスジェンダーの権利擁護のため性別変更を容易にする法案を進めるスコットランドで、2人の女性をレイプした男が裁判中に女性に性別変更するという珍事が>
※「性別変更簡易化」スコットランドでレイプ犯が女性に性別変更
https://www.newsweekjapan.jp/joyce/2023/02/post-266.php
その他の記事はこちらから。
※ニューズウィーク日本版『LGBT』に関する記事一覧