原子力災害対策特別措置法が定める)緊急事態宣言下、文字通り、死を覚悟して奮闘する現場の人達を描いた「事実に基づく物語」です。

 

 

地上波(『金曜ロードショー』正確には『金曜ロードSHOW!』)初放送と知りながら、あえてDVDを借りてきて観ました。

 

『Fukushima 50』です。

 

(以下、ネタバレあります)

 

 

福島第一原発に残り続けた名もなき人たちを、

海外メディアは“Fukushima 50”と呼んだ。

 

奇跡は起きると、信じたからこそ―

 

 

 

 

監督は『ホワイトアウト』や『空母いぶき』の若松節朗さん。

 

福島第一原発1・2号機当直長・伊崎利夫さんを(『空母いぶき』の、ちょっとした撮影裏話を披露して叩かれた)佐藤浩市さんが、福島第一原発所長・吉田昌郎さんを(世界の)渡辺謙さんが、それぞれ演じてます。

 

他にも渋い役者さんが多数出演していますが、まずは、家族を守り故郷を救おうとする人々の想いと行為を描いた作品として、素直に良い映画だと思いました。

 

 

いや、それにしても・・・佐野史郎さん演じるところの内閣総理大臣ですよ。

 

原子力に対する政治的立場は人それぞれあるでしょうし、ひとまず置くとします。

 

置くとしますが、実地経験のない、人の話を聞く気がない、そこだけ見てものを言う、ような人物がトップにいること、そういう人物による現場視察ほど迷惑な話はないですなあ、と。つくづく。

 

 

こんな本があります。

 

⚫亡国の宰相 : 官邸機能停止の180日

読売新聞社(著)読売新聞社政治部(著)読売新聞政治部(著) 新潮社(2011年)

 

 

第1章 国難(震災発生 混乱の始まり)
第2章 独り相撲(信用失墜 入閣要請 ほか)
第3章 菅降ろし再び(敗北 自縄自縛 ほか)
第4章 内閣不信任への道(浜岡ショック 早期退陣否定)
第5章 居座り首相(巻き返し 四面楚歌)

 

 

 

という内容。

 

帯には・・・

 

戦後最大の危機に「最悪の愚宰相」を戴いた日本の悲劇―。

震災を人災に変えた民主党の大罪を問う。

 

人望、人脈、調整能力なし。国民に知らせるべき情報を隠蔽し、思いつきのパフォーマンスを連発して大混乱を招いた挙げ句の果てに逆ギレ。にもかかわらず、権力の座にはしがみつく。地震、津波、そして原発事故―。未曾有の大災害に襲われた日本にさらなる危機をもたらしたのは、菅首相その人だった。危機管理とは、リーダーシップとは何か?緊迫の政治ノンフィクション。

 

・・・なんて書いてあります。

 

 

まあ、こういった本を読まずとも、(極々一部のシンパさんを除いて)誰もが、氏が今になって何を語ろうとも「お前が言うな」「どの口がそれを言う」と、いちいち突っ込むのもバカバカしい、くらいに思っていることでしょう。

 

 

おっと、いけない、いけない。

 

良い映画ですよ、っていう話でした。

 

 

終盤、吉田所長から伊崎当直長への手紙が読まれます。

 

俺たちは 自然の力を舐めていたんだ

10メートル以上の津波は来ないとずっと思い込んでいた

確かな根拠もなく 1Fができてから40年以上も

自然を支配したつもりになっていた

慢心だ

 

 

ワタクシ自身は、原子力絶対反対という立場ではありません。けれど、絶対安全とも思いません。

 

世の中、大抵のことは、そこそこ安全ではあっても危険は付き物です。安心の中にも不安が潜んでいます。

 

にも係わらず、本来、俯瞰してものを言うべき政治家が、何者かにおもねるように「絶対」とか「ゼロ」とか言い出すから「分断」が始まるんです。

 

 

『Hukushima 50』、昨年春に劇場公開でしたが、折り悪く新型コロナ騒動と重なってしまい、映画館入場者は伸びなかったようです。

 

 

ラストは、こんなテロップで締めくくられてました。

 

2020年7月より開催される

東京オリンピック・パラリンピックは

復興五輪と位置づけられ

 

聖火は福島からスタートする

 

 

あぁ、もう、何と言えば良いのか・・・

 

 

ちなみに「原作」はこちらですが、文字情報だけだからこそ、映画以上に泣ける箇所がいっぱいありました。
 

⚫死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発  門田 隆将

 

 

あの時、何が起き、何を思い、どう闘ったのか。原発事故の真相が明らかに!

 

2011年3月、日本は「死の淵」に立った。福島県浜通りを襲った大津波は、福島第一原発の原子炉を暴走させた。日本が「三分割」されるという中で、使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いを展開した男たちがいた。

 

 

 

 

「慢心」による原子力発電所の「被災事故」。

 

建屋の水素爆発、ベントによる環境への放射性物質拡散が起き、メルトダウン(炉心溶融)に至りました。

 

しかしながら、原子炉そのもの爆発は、ギリギリ食い止められました。

 

それは与えられたわけではなく、奇跡を信じて「今できることは何でもするんだ」という覚悟を持って現場を支えた人々が呼び寄せたものなのだろうと思います。

 

そういう人々がそこにいた、という、その「奇跡」に感謝です。
 

 

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1都3県では(新型インフルエンザ等対策特別措置法による)緊急事態宣言が続いておりますが、上述の緊急事態とは、その様相が全く異なりますな。

 

「武漢ウイルス」が真に「新型」で「未知」なるウイルスだった昨年の2月、3月頃はともかく、今や、実態のともなわない、一部(?)政治家および圧力団体(?)によるパフォーマンスとしか思えません。

 

 

ただ、似たようなところもあります。

 

例えば、現場は頑張ってるのに上層部はへなちょこで、まるでお約束のように、現場を助けるどころか邪魔をするというね。

 

これはもう、(平常時には遊んでいるように見えることが多い)緊急時向けの人材を確保しておいて、いざという時にしっかり働いてもらう、ということができない「日本型人事」の宿痾でしょうか。

 

 

※参照過去記事一覧