「皆で仲良くやっていこうよ(Can we all get along?)」

 

「お願いだよ。ここで仲良くやっていけるはずさ。必ず仲良くやっていけるはず。誰もが、ここでしばらく生きていかなきゃならないんだ。だから、やってみようではないか」

 

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家を出るとですね、まあ、見事に皆さんマスク着用なんですけれども・・・

 

 

アナタは、本当にマスクによる感染予防効果を信じているんですか、とか、

 

アナタは、例えば他の誰がしなくても、それでもマスクを着けるんですか、とか、

 

 

ついつい、そんな事を考えてしまって、

 

何なら聞きたくなってしまって、

 

なるべく視野に入れないようにしてるんですけれども・・・

 

 

春の気配を感じつつも、どうしようもなく心が沈んでいく日々でございます。

 

 

そんなわけで、今回は現実逃避。「本の森」です。

 

『社会はなぜ左と右に分かれるのか 対立を超えるための道徳心理学』

ジョナサン・ハイト著、高橋 洋訳 紀伊國屋書店(2014年)

 

 

リベラルはなぜ勝てないのか?

皆が「自分は正しい」と思っているかぎり、左派と右派は折り合えない。
アメリカの政治的分断状況の根にある人間の道徳心を、
進化理論や哲学、社会学、人類学などの知見から多角的に検証し、
豊富な具体例を用いてわかりやすく解説した、全米ベストセラー!

気鋭の社会心理学者が、従来の理性一辺倒の道徳観を否定し、感情の持つ強さに着目。
自身の構築した「道徳基盤理論」で新たな道徳心理学を提唱する、注目の一冊。

 

 

というモノ。

 

 

「訳者あとがき」によると・・・

 

 本書は『The Righteous Mind:Why Good People Are Divided by Politics and Religion』(Pantheon,2012)の全訳である。オバマが再選を果たした2012年の米国大統領選挙の半年ほど前に刊行された本書は、リベラルと保守の心の奥底を明快に分析して多くの読者を獲得し、全米ベストセラーとなった。(P492)

 

・・・のだそうです。

 

 

一読して思ったのは「う〜ん、まあ、なるほど、そうなんでしょうけど・・・」といったところ。

 

 

「はじめに」で著者さんは・・・

 

 読者には、本書を読み終わるまでに、人間の営為のなかでももっとも重要で、論争の対象になりやすい二つのトピック、すなわち政治と宗教を考える新しい方法を知ってもらえればとても嬉しい。エチケット指南本では、これらのトピックは礼儀が求められる場では持ち出すべきではないとされているが、私は大いに話し合うべきだと言いたい。政治と宗教は道徳心理の表現形態であり、また、その理解は人々を互いに結びつける際に役立つからだ。(P14)

 

・・・と言い、

 

その一方で・・・

 

 ~~~私は本書で、人間には、(必然的に独善に至る)正義へのこだわりが一般的な本性として備わっていることを示したい。つまりそれは、進化によって設計された特徴の一つであって、本来は客観的かつ理性的であるはずの私たちの心に混入した、異物や誤りなどではない。(P15~16)

 

・・・と注意喚起もしています。

 

 

「(必然的に独善に至る)正義へのこだわり」「本性」・・・いろんな意味で刺さりますなあ。

 

 

以下、特に目についた箇所を引用しておきます。

 

コメントを通じて、ワタクシの心理状態などを汲んでいただけたら、なんて甘えたことを思いながら。

 

 

 ~~~しかし、どんなにまっとうな論理を駆使しても、戦闘モードに入っていたのでは敵の心は変えられない。道徳や政治の議論で、誰かの心をほんとうに変えたいのなら、自らの観点ばかりではなく、相手の観点からも、ものごとを見通せなければならない。真に他者の観点から、ものごとを深く直感的に見られるようになれば、それに呼応して自分の心がオープンになるのがわかることもあるだろう。道徳的な議論で共感を保つことがきわめてむずかしいのは確かだが、共感は、独善的になりがちな〈正義心〉の解毒剤になる。(P95~96)

 

・・・はい。

 

 

 ~~~私たちは何かを信じたいとき、「それは信じられるものなのか?」と自分自身に問う。そして次に(クーンとパーキンスが発見したように)、それを支持する証拠を探し、一つでもそれらしきものが見つかると、そこで思考を停止してしまう。それを信じる許可が下りたからだ。誰かが質問しても、理由を答えられる。

 それに対し、何かを信じたくない場合には、自分自身に「それは信じなければならないものなのか?」と尋ねる。それから反証を探し、たった一つでもそれが見つかれば、信じたくないものを放棄する。「しなければならない」手錠をはずすには、たった一本のカギで十分なのだ。(P147)

 

・・・はい。

 

 

 ~~~宗教の実践は、数万年間、私たちの祖先を集団の形成に導いていった。だが、同時にそれを信じる者の目をくらます場合も多々あった。というのも、どのような人物、書物、原理でも、それが神聖なものと見なされると、崇拝者はそれを疑問視しなくなり、客観的に見ることができなくなるからだ。(P420)

 

・・・マスクとかPCRとかを思わずにはいられません。だから、そういうこと言うから「共感」から遠ざかるんだよ、と叱られそうですが。

 

 

 ひとたび何らかの政治グループに参加すると、人はそのグループの道徳マトリックスに深く関わり始め、グループの大きな物語の正しさを再確認させるできごとに、至るところで出会うようになる。そして、自グループの道徳マトリックスの外側から議論を仕掛けられても、自分の間違いを認めることはまずない。(P479)

 

 道徳は、人々を結びつけると同時に盲目にする。それは、自陣営があらゆる戦いに勝利することに世界の運命がかかっているかのごとく争うイデオロギー集団に、私たちを結びつけてしまう。そして、どの集団も、とても重要なことを言わんとしている善き人々によって構成されるという事実を、私たちの目から覆い隠してしまうのだ。(P480)

 

・・・コロナであれ、米大統領選挙であれ、森さん発言であれ、道徳的な話になってしまうと、もう、どうにも噛み合わなくなるなって、ホント、それは実感します。

 

 

最後に、著者さんによる「結論」から・・・

 

 本書では、なぜ人々は政治や宗教をめぐって対立するのかを考察してきた。その答えは、「善人と悪人がいるから」というマニ教的なものではなく、「私たちの心は、自集団に資する正義を志向するよう設計されているから」である。直観が戦略的な思考を衝き動かす。これが私たち人間の本性だ。この事実は、自分たちとは異なる道徳的マトリックス(それは通常六つの道徳基盤の異なる組み合わせで構成される)のもとで生きている人々と理解し合うことを、不可能とは言わずとも恐ろしく困難にしている。

 

 したがって、異なる道徳マトリックスを持つ人と出会ったなら、次のことを心がけるようにしよう。即断してはならない。いくつかの共通点を見つけるか、あるいはそれ以外の方法でわずかでも信頼関係を築けるまでは、道徳の話を持ち出さないようにしよう。また、持ち出すときには、相手に対する称賛の気持ちや誠実な関心の表明を忘れないようにしよう。

 

 ロドニー・キングが言ったように、誰もが、ここでしばらく生きていかなければならないのだから、やってみようではないか。(P485~486)

 

・・・あー、はい。で「まあ、そうなんですが・・・」ということに。

 

 

ちなみに、六つの道徳基盤というのは、ケア/危害・自由/抑圧・公正/欺瞞・忠誠/背信・権威/転覆・神聖/堕落、で、人それぞれ、相手がそのどれに重きを置いているのかを考えて接することが重要なんだそうです。

 

 

参考までに、目次と、著者・訳者紹介を。


 

【目次】

●第1部 まず直観、それから戦略的な思考
――心は〈乗り手〉と〈象〉に分かれる。〈乗り手〉の仕事は〈象〉に仕えることだ

第1章 道徳の起源
第2章 理性の尻尾を振る直観的な犬
第3章 〈象〉の支配
第4章 私に清き一票を


●第2部 道徳は危害と公正だけではない
――〈正義心〉は、六種類の味覚センサーをもつ舌だ

第5章 奇妙(WEIRD)な道徳を超えて
第6章 〈正義心〉の味覚受容器
第7章 政治の道徳的基盤
第8章 保守主義者の優位


●第3部 道徳は人々を結びつけると同時に盲目にする
――私たちの90%はチンパンジーで、10%はミツバチだ

第9章 私たちはなぜ集団を志向するのか?
第10章 ミツバチスイッチ
第11章 宗教はチームスポーツだ
第12章 もっと建設的な議論ができないものか?



【著者紹介】
ジョナサン・ハイト Jonathan Haidt
1963年生まれの社会心理学者。ヴァージニア大学准教授を経て、ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授(倫理的リーダーシップ)。2001年にポジティブ心理学テンプルトン賞を受賞。2012年には米国Foreign Policy 誌の100 Top Global Thinkers 2012入りを果たし、翌年には英国Prospect 誌でWorld Thinkers 2013に選ばれた。邦訳された著書に『しあわせ仮説――古代の知恵と現代科学の知恵』(新曜社、2011年)がある。

【訳者】
高橋 洋(たかはし・ひろし)
翻訳家。同志社大学文学部文化学科卒(哲学及び倫理学専攻)。
訳書に、ニールセン『オープンサイエンス革命』、グリーンフィールド『〈選択〉の神話――自由の国アメリカの不自由』、ブレイスウェイト『魚は痛みを感じるか?』、ミッチェル『ガイドツアー 複雑系の世界――サンタフェ研究所講義ノートから』(以上、紀伊國屋書店)、ベコフ『動物たちの心の科学』(青土社)ほか。

 

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とはいえ、正直なところ・・・

 

別に「皆で仲良く」ならなくても良いんじゃないかと、そう考えると余計に辛くなることもあるんじゃないかと思わないでもない。

 

静かに距離をとって「火事と葬式の時だけは助けるよ」くらいが丁度良い相手だってやっぱりいるんだよ、とワタクシ自身は思ってます。

 

人それぞれ、どうにもこうにもムリな人っていますから。

 

 

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豊橋、向山梅林園。

 

 

 

 

例年「梅まつり」で賑わうんですが・・・

 

 

 

令和2年度の春まつり(うめ)は、愛知県の緊急事態宣言発令中は実施を見合わせております。

不要不急の外出はお控えください。

 

 

 

・・・だそうです。

 

ってことで、出店なし・・・に加えて、あずま屋立入禁止、みたい。

 

 

これは政治? 宗教? それとも道徳でしょうか?