⚫突然ですが・・・国語の時間です

 

以下の文章(スピーチ文字起こし)を読んで問に答えなさい。

 

 

 これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。

 女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。

 私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます。みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです。

 

 

問、このスピーチの趣旨、あるいは意図するところは何か、最も相応しいと思われるものを次の選択肢から選べ。

 

①「女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」との発言が示すとおり、女性一般に対する蔑視。

 

②「女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど」との付言が示すとおり、無自覚な差別意識の責任転嫁。

 

③「お話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです」との発言が示すとおり、組織委女性理事に対する“ねぎらい”、もしくは“よいしょ”。

 

④特に深い意味のない与太話。

 

 

(問題文は、↓こちらからの引用)

 

 

 

さて、①〜④のどれでしょう。まっさらな気持ちで(というのも、今更難しいでしょうけど)考えてみてください。もちろん、他の捉え方があってもかまいません。

 

 

⚫辞任不可避というほどの問題ですか?

 

実のところ、ワタクシ自身は、この問題が持ち上がった当初「あ〜、また例によってクダラナイ揚げ足取り、切り貼り報道始めたんだなあ」くらいにしか考えてませんでした。

 

なので、あえて全文にあたってみようとも思わなかったんですが・・・スミマセン、あまかったです。

 

 

マスメディアと一部ネット民が結託して片言隻句を増幅、海外メディアへご注進、そして逆輸入。そうして煽られた「世論」をバックに、とにかく謝れと。謝ったら、次はとにかく辞めろと。

 

何時か何処かで繰り返し見せられた成り行き。

 

 

で、実際、森さんは東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を辞任しました。

 

率直に言って、怖いことです。気持ち悪いことです。

 

何故って、ほとんどの人は、森さんの発言を直接聞いていないんですから。

 

聞いてないのに「女性蔑視ともとれる発言」が独り歩きし、いつの間にか「性差別発言」となり、ほとんどの人が自分で確かめることなく、そうなんだと早合点して、それこそが唯一の解釈だと信じてるんですから。

 

 

当然のことながら、じゃあ、誰が後任に当たるのか、なんてお構いなし、です。

 

 

⚫被害者に罪はない

 

それにしても、こういった事例の中心にいると思しき、特定の人物・団体に狙いを定め、謝らせ、辞めさせ、社会的に抹殺しようとする人々は、一体何が楽しくてそういうことをするんでしょうか。

 

とにかく政府を困らせる、五輪・パラリンピックを中止に追い込む、何でも良いから日本を貶める、ひょっとしたら、その先に共産主義社会を夢見ている、等々、まあ、いろんな見方があると思います。

 

あるいは、単に「人の不幸は蜜の味」というだけのことかもしれません。

 

しかし、はっきり言って、迷惑千万です。

 

とはいえ、こういった類のことは今に始まったことではないし、彼ら、彼女らに何を言ったところで反省したりはしないでしょう。確信犯なんですから。

 

確信犯は手段を選びません。

 

それが、たとえばイジメに相当するようなことであっても、です。

 

というより、実のところイジメそのものなんだから手段を選ばない、と言うべきでしょうか。

 

余談ですが、今回、森さんをイジメる側にいた人達の多くが、それこそイジメとか言葉の暴力とかいったことについて、常日頃綺麗事を並べているような気がするんですけれども、ワタクシの思い違いでしょうか。

 

 

そう考えるとですね、少なからぬ人による「切り貼りされるのは分かっているのだから、不用意な発言をした森さんも悪い」という指摘は、ちょっと、いや、かなり違うような気もします。

 

何しろ、イジメる側は、その理由は何だって良いわけで、どんなに強引な切り貼りだってやります。場合によっては捏造だってします。

 

だいたい、どこを切り取っても問題にならない発言なんて、面白くも何ともないでしょう。すなわち、聞く側、読む側にとって伝わるもの、届くもの、刺さるもののない、つまりは、人を動かす力の全くない人畜無害・無味無臭の役立たず発言ですよ。

 

 

結果を見て「脇が甘い」とか「危機管理ができてない」とか仰る方もいらっしゃるのですが、ちょっとお待ち下さい。

 

注意不足で餌を撒いたのだからイジメられる側が悪いって・・・いやいや、そういう物分りの良い「評論」がイジメる側を増長させているんじゃないですか。

 

 

被害者が居場所を失う。加害者はそれを成功体験と捉える。そうして同じことが繰り返され、より悪質なことさえ呼び起こされる、ということなのではないですか。

 

 

⚫主犯格の罪と共犯者の罪と

 

ワタクシ的に、さらに気に入らないのは、そんな「評論家」を含め、主犯格の周囲で流されるだけの、その他大勢の、いわゆる「世論」です。

 

「女性蔑視ともとれる発言」に対してどう思いますか、とか水を向けられた時、何で簡単に「許せません」なんて言っちゃうんでしょうか。

 

 

もちろん、発言主を擁護しろとまでは言いません。

 

でもせめて「その場にいたわけではないので答えられません」とか「発言全体を知らないので何とも言えません」とか、その程度に距離をとるくらいはしても良いではないですか。

 

 

付和雷同して空気を読む。

 

「へ〜、そうなんだ。許せないね」と不用意に同調する。

 

周囲がそういう姿勢をとることで結果として共犯者となり、時にイジメを激烈なものにするということくらい知っているでしょうに。

 

 

被害者の側に立つのはもちろん、下手に主犯格と距離をとることさえも、次のターゲットにされかねない、という恐怖は分からないでもないですけれども。

 

 

⚫結論は、たいてい最後に

 

ということで冒頭の問題、ワタクシならば答えは③、せいぜい④です。

 

 

もちろん、感じ方は人それぞれ。国語の読解問題一般がそうであるように「絶対的な正解なんて無い」が「正解」なんですけどね。

 

いずれにせよ、問題を解くにあたって、まず全体を読むのは大前提でありまして。

 

そうして始めて、序・破・急とか、前振り・本題・結論といった枠組みが見えてきて、それぞれの語句、文が、全体の中でどういった意味を担っているのかが理解できるというものです。

 

読解、というか、人付き合いの基本中の基本ですよね。

 

皆さん、マスク着用とか三密回避とかで、自覚なく苛立ちを募らせているんじゃないですか?

 

 

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こういう問題があると、しばしば引用されるのが、聖書にある次の文章です。

 

彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。

 

(ヨハネによる福音書 第8章 第7節)

 

 

引用されすぎて安くなっているので、同じく聖書からもうひとつ別の言葉を。

 

もしある人が、事実そうでないのに、自分が何か偉い者であるように思っているとすれば、その人は自分を欺いているのである。

ひとりびとり、自分の行いを検討してみるがよい。そうすれば、自分だけには誇ることができても、ほかの人には誇れなくなるであろう。

人はそれぞれ、自分自身の重荷を負うべきである。

(ガラテヤ人への手紙 第6章 第3〜5節)