例えば・・・
鼻毛にくっついている。鼻水に浮いている。ウイルスだけに、ここで増殖するわけもなく、鼻をかむだけで追い出せるんだけど。
これをPCR検査すると陽性。世に言う「感染」。
また例えば・・・
咽頭まで入り込んだ。でも粘液に捕まってる。すぐに殺菌(?)され排除されるだけなんだけど。
これまたPCR検査すると陽性。世に言う「感染」。
[1]-①、[1]-②、ともに、ヒトの体に備わっている「物理的・科学的防御」システムで、あっさり処理してしまう。
ただ「曝露」しただけ。断じて「感染」ではない。
モチのロンで症状はないし、当然、人に感染させるはずもない。なのに「無症状感染者」とされ自宅・ホテル療養等、隔離対象になる。
さらに例えば・・・
細胞に侵入された。
でも、好中球、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ等がウイルスやウイルスに侵された細胞を攻撃、やっつけ、壊してくれる。
これをPCR検査すると陽性。ようやく一応「感染」の部類。
ただし、大多数の人が無症状のうちに回復する。
多少、炎症や発熱があったりするけれども、それはむしろ「自然免疫」システムが機能している証拠。
この程度の段階で、他の人を発症させるほど大量のウイルスを排出しているかどうかは(控えめに言って)分かりません。
さらにさらに例えば・・・
自然免疫だけで対処しきれないほど大量の(!)ウイルスに曝され、増殖をゆるしてしまった場合には、樹状細胞、ヘルパーT細胞、B細胞のはたらきによって抗体がつくられる。
でもって、・・・
抗体がウイルスを攻撃するのと同時に、キラーT細胞がウイルスとウイルスに侵された細胞をバシバシ排除していく。
[3]-①、[3]-②、ともに、特定の病原体にはたらく獲得免疫(それぞれ体液性免疫、細胞性免疫)。発熱はもちろん、ウイルスや壊れた細胞を体外に排出しようとして咳が出たりもする。
これをPCR検査すると陽性。そう、確かに「感染」。
はっきりと症状がある人であれば、そりゃ他者を発症させるくらい大量のウイルスも一緒に排出しているかもしれない。
なので、外出を控え、人との接触を避けるくらいは当然必要。
それでもなお、ほとんどが大人しくしてれば回復します。
PCR検査では、プラス(陽性)マイナス(陰性)の判定しかできません。
どの程度体内でウイルスが増殖しているのか、どの程度体外にウイルスを排出しているのか、そこの評価はしてくれないのです。
陽性者であっても、他者を感染・発症させるかどうかは判別できません。
昨年の12月2日、参議院「地方創生及び消費者問題に関する特別委員会」において、柳ヶ瀬裕文委員と佐原康之厚生労働省大臣官房危機管理・ 医務技術総括審議官との間で、こんな遣り取りがありました(議事録 発言№109〜112)。
○柳ヶ瀬裕文君 そういうことではなくて、今のPCR検査で陽性と判定されるためには五コピーあれば陽性と判定されるわけですね。これが限界です。じゃ、その五コピーで陽性と判定された人が本当に感染力あるのということなんです。
○政府参考人(佐原康之君) 御指摘のとおり、PCR検査の陽性判定は必ずしもウイルスの感染性を直接証明するものではございません。
○柳ヶ瀬裕文君 そうすると、確認ですけれども、これ、PCR検査で陽性判定されたからといってその人に感染力があるとは言えないということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(佐原康之君) PCR検査の陽性判定イコールウイルスの感染性の証明ということではないということでございます。
この前後も、なかなかに意義深い遣り取りが続いています。
PCR検査の陽性判定イコールウイルスの感染性の証明ということではないということでございます。
・・・でございますよ。
柳ヶ瀬さんを特に応援しているわけではないんですが、良い仕事してます。
そもそも、PCR検査「陽性」の意味は「新型コロナウイルスとされる遺伝子配列の、その極一部と同じ遺伝子の断片が見つかりました」というだけでして。
実際感染しているのか、発症するのか、あるいは重症化するのか、はたまた死亡してしまうのか、そういうことはひとつも分かりません。
つまり・・・
感染症の診断ツールとしては、限りなく役立たずなんです。
ついでに言うと、症状の有無・軽重、死亡リスク等は、ひとえに、曝露したウイルス量と個々人が持つ免疫力の強弱で決まるものです。
実際、これまでのPCR検査陽性者累計は271,155人、退院または療養解除となった者は215,527人(令和3年1月9日現在)です。
陽性判定から退院または療養解除まで10日から2週間程度のタイムラグがあってこの数字ですからね。
ちなみにワタクシ自身は、この他に、既にもっと多くの人が新型コロナウイルスに暴露してるし、何なら感染もしていて、けれど、ほとんどの人が知らぬ間に治ってしまっているのだと考えています。
つまり、PCR検査陽性をもって「感染者」とし、その数が増えたと言って怖がっている(フリをしている?)ことが、根本的に間違いなんです。
検査すればする分だけ「感染者」は増えます。
と言うか、検査しようがしまいが、一定数の「感染者」が、多分いるんです。第一波(というより、先シーズン)でもやっぱりいたんだと思います。
おそらくは、今後もずっと、季節とともに、増えたり減ったりを繰り返していくのでしょう。
なのにっ!
全くもって困ったことにっ!
(必ずしも、現場の医師・看護師の声を代弁しているとは思えない)日本医師会と、(感染対策してますアピールに余念がない、けれど責任は取りたくないしお金は国に出してもらいたい)緑の人とに押し切られるようにして、政府が(とりあえず一都三県を対象に)緊急事態宣言を発出しました。
その理由として説明されているのが「新型コロナウイルス感染症対策分科会提言」にある、感染状況を示す4つのステージと6つの指標というものです。
今後想定される感染状況と対策について 新型コロナウイルス感染症対策分科会提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/kongo_soutei_taisaku.pdf
「ステージⅣ」の「④新規報告数」を見てください。25人/10万人/週 以上となってますね。
例えば、人口約1,400万人の東京に当てはめると、3,500人。1日平均500人です。
昨年末以降、東京でこの目安を大幅に上回っているのは確かですが、ちょっと待ってください。
こんなのを基準(のひとつ)にしてたら、もう毎年冬になれば緊急事態ですよ。
ここまで見てきたとおり、コロナのPCR陽性者は、症状の有無・軽重とは関係なく、検査件数次第と言う他ないものです。
ワクチンが普及したところで、そこは変わりません。
感染やワクチン接種によって抗体を持っている人であっても、それとは無関係に、ウイルス(の断片)が見つかればPCR検査は陽性になるんですから。例えば、単なる曝露でさえも、です。
ちなみに、インフルエンザは毎年5,000万人がワクチンを打って、それでも毎年1,000万人の有症状(!)感染者が出ています。
そしたらもう、新型コロナウイルスについては(というか、本来、あらゆる病気・疾患がそうなんですが)検査の陰・陽ではなく、症状をもとに判断をした方が良いでしょうということになります。
すなわち、(その実態に合わせて)いわゆる風邪(8割がウイルス性)以上インフルエンザ未満、と捉え直すしかないじゃありませんか。
何しろ、他ならぬ我が国政府自身が、実質・・・
病原体としてはインフルエンザウイルスと同じだ。
・・・と言ってますからね。
ベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第23項の四種病原体等に追加する。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の 一部を改正する政令等について(施行通知)
→https://www.mhlw.go.jp/content/000613829.pdf
四種病原体等:A型インフルエンザウイルスなど、病原体の保管・保持は可能であるが、国民の健康に与える影響を勘案して、人為的な感染症の発生を防止するため、保管等の基準の遵守を行う必要がある病原体等(我が国の衛生基準では、通常は死亡に至ることは考えられない病原体)。
第39回厚生科学審議会感染症部会(持ち回り開催)資料
→https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000615582.pdf
そうそう「我が国の衛生基準では、通常は死亡に至ることは考えられない病原体」なんですよ。
だからこそ、各地域の保健所や民間の会社でもウイルスを含んだ検体を扱うことができるわけですね。
ただ、しばしば指摘されているように、高齢だったり基礎疾患があったりで免疫力の弱い人の中には、不幸にして亡くなる人も出るでしょう。実際、何人も出てます。
けれども、それは「だから特別。だから怖い」という話ではありません。
これまでだって風邪やインフルエンザがきっかけで亡くなる人はたくさんいました。それと変わりません。
そういう人が、冬場に多くなることも同じです。
だから「たいしたことない」とは言いません。重傷者のケアには万全を期して、本人や家族がそれを望む限り救える命を救うのは当然の事です。
何なら、死に至らずとも色々な後遺症に悩む人がいる、という話だって新型コロナに限ったことではありません。
加えて言えば、およそ「感染者」とはいえないPCR陽性者を「新型コロナ患者」として数えているように、循環器系、呼吸器系の疾患が主因なのにPCR陽性というだけで「新型コロナ死亡者」の数に入れているという実態もあります(WHOの方針なので世界中がそうしてます。理由はよく分かりませんが)。
新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について
→https://www.mhlw.go.jp/content/000641629.pdf
そこら辺をしっかり頭に入れてから数字を見ましょう。
というか、新型コロナ関係の数字なんて、いっそ見ない方が良いかもしれません。
風邪でもインフルエンザでも、その他諸々の病気・疾患でも、その患者数とか死亡者数とか、誰も気にしてませんでしたよね?
最後に、おまけの例えば・・・
曝露さえしてない、そこら辺を漂っているウイルスが混入しちゃった、であっても陽性、世の中的に言う「感染者」になってしまいます。
ついでに言うと、夏場以降、民間検査会社のPCR検査参入(?)も増えてまして。プライマー設定とか、Ct値とか、けっこうマチマチらしいんだけれども、一体全体、精度とか、統計の有為性とか、そういうの担保できてるんでしょうか?
例によって(?)本の紹介。
『本当はこわくない新型コロナウイルス-最新科学情報から解明する「日本コロナ」の真実』です。
本書は、新型コロナウイルスの特徴や感染のしくみ、免疫がどのようにウイルスを排除するのか、日本・東アジアと欧米・南半球の違い、どんな人が重症化リスクが高いのか、効果的な感染防止策は何かなどを網羅。
Q&Aも入れながら、新型コロナウイルスに対してどう対処したらよいのかを具体的に示します。
ウイルスをゼロにすることは不可能です。であるならば、リスクが高い免疫弱者には最大の配慮をしながら、通常の健康人は経済と感染予防をバランスよく両立させることが大事です。恐怖心をあおる情報に翻弄されず、正しい知識にもとづいた科学的思考で冷静に対応し、当たり前の日常を生きながらウイルスと賢く共存する――これが本書に込められたメッセージです。
・・・という内容。
著者の井上正康(いのうえ・まさやす)さんは・・・
大阪市立大学名誉教授(病理学)。
1945年広島県生まれ。1974年岡山大学大学院修了(病理学)。
インド・ペルシャ湾航路船医(感染症学)。
Albert Einstein医科大学客員准教授(内科学)。
Tufts大学医学部客員教授(分子生理学)。
大阪市立大学医学部教授(分子病態学)。
2011年大阪市立大学名誉教授。
宮城大学副学長等を歴任。
現在、キリン堂ホールディングス取締役、現代適塾・塾長。
腸内フローラ移植臨床研究会・FMTクリニック院長。
・・・という人です。
今回は、一箇所だけ引用します。
私たちが子どもの頃から何度もかかってきた“風邪”も、ウイルス感染症の一種です。“風邪”の原因ウイルスには、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルスなど、多くの種類がありますが、このうち10〜15%(流行期は35%)はコロナウイルスのしわざです。
風邪に特効薬がないことは、古くから知られています。“風邪薬”は、風邪の症状を緩和するものであり、風邪を引き起こすウイルスをやっつける薬は未だにありません。
では、どうやって風邪を治しているのでしょうか。
そのカギを握るのが「免疫力」です。
私たちの体の中にウイルスなどの病原体が侵入すると、体内で様々な白血球が働き、「抗体」がつくられ病原体を排除します。これが「液性免疫」と呼ばれる免疫力です。
また、「細胞性免疫」と呼ばれる免疫力もあります。これは病原体に感染した細胞を直接攻撃するもので、ウイルス感染症ではこの細胞性免疫が重要な役割を担っています。
風邪が治るのは、まず自然免疫力でウイルスの感染を防御し、次いで液性免疫で抗体ができてウイルスを撃退し、細胞性免疫でもウイルスや感染した細胞を直接排除してくれるからです。(P.27〜28)
新型コロナウイルス感染症(と言われているもの)はね、たぶん、検査すればするほど陽性者の数は増えて、それでも、重傷者・死亡者はたいして数が変わらず、その比率はどんどん下がって「な〜んだ、実はそんなに怖くないじゃん」ってことになるんだと思います。
というか、例えばワクチン打っても、PCR検査陽性者はどうしたって出続けるわけで。緊急事態宣言や諸々の感染予防対策で新型コロナウイルス(とされているもの)を封じ込められると思っている人達には、根本的に考えを改めてもらわないと、どうにもならない気がしてます。
井上さんの考え方がよく分かります。お時間あれば、是非。