唐突ながら・・・

 

拙ブログ読者の皆様なら、下の表から、どういった事柄を読み取られるでしょうか?

 

 

これは、我が国の「人口動態統計速報」から、過去5年(平成27年〜令和元年)と今年(令和2年10月まで)について、月毎の死亡者数を抜き出したものです。

 

小さくて見にくいかと思いますので、分割して大きくしましょう。

 

 


 

グラフも付けちゃいます。

 

 

いかがでしょう?

 

 

 

そうですね。

 

まずもって言えるのは、年々増えてる、冬場に多い、といったところでしょうか。

 

ひょっとしたら、今年はちょっと少なめかな、ということに気づく方がいるかもしれません。

 

 

ところが!

 

 

世の中には、何ともまあ、いろんな人がいるもんです。想像力が豊かと言いましょうか、妄想癖が滲み出てると言いましょうか・・・

 

 

過去5年平均と今年の死亡者数を比較すると、

  3月:  352人
  4月:4,567人
  5月:1,133人
  6月:1,874人
  7月:1,486人
  8月:5,632人
  9月:4,427人
10月:6,320人

となり、計 25,791人の死亡者増がある。
増加数の多い月が新型コロナの感染増加の月と一致している。
GoToトラベル開始後に死亡者が増加している。

 

だからコロナは怖い。政府はなっとらん。

 

・・・みたいな分析をしちゃう方がいるんですよ。

 

 

こんな「加工」後の数字だけ見せられても、読者の皆様も困ってしまうと思いますので、ワタクシの方で元数字と合わせて表にしました。

 

 

グラフにすると、こうなります。

 

 

確かに「感染者」が多かった4月と、GoToトラベルが始まった後の8月以降では、(過去5年平均値と比べて)今年の死亡者数増加幅は大きいですね。

 

 

読者の皆様は「おー、なるほどー」と頷くでしょうか。それとも「いや、でも、ちょっと待てよ」と疑問を感じるでしょうか。

 

 

そうそう、ちょっと待たなきゃいけません。

 

 

今年の死亡者数を「過去5年平均値」と比較するのはどうしてでしょうか。それで「増加している。コロナのせいだ」と言ってしまえるのは何故なんでしょう。

 

 

試しに、平成26年〜30年と平成31年・令和元年の数字について、同じ「加工」をしてみましょう。

 

こうなりました。

 

 

 

グラフも。

 

 

 

うわっ。大変。軒並み増えてる。

 

1月の9,175人増とか、8月の8,033人増とか、ヤバくない?

 

 

平成31年・令和元年には、きっと未知なる感染症が蔓延してたんだー。

 

1月、8月には、政府が秘密のむにゃむにゃキャンペーンをしたから死亡者が特に多かったんだー。

 

 

・・・って、そんなわけあるかいっっ!

 

 

冬の寒い時期はもちろん、真夏の8月など、他の季節に比べて死亡者が増えるのは当たり前です。何より、我が国死亡者数は、もう長らくの間年々増加し続けています。

 

だったら、過去に遡って平均を出せば、その数値は小さくなるに決まってますよね。それと今年を比べれば、大きな差が出るのは当たり前じゃないですか。

 

こんな計算して「どうだ!」とか言ってたら、それで出てくる数字で「大変だ!」なんて騒ぎ出したら、もう毎年毎年、新たな、そして未知なる病気・疾患が流行してたことになるし、政府はロクでもない政策を打ってきてたことになりますよ。

 

 

※ここまでの数字は、以下のリンク内「関連資料 図表データのダウンロード」で確認できます。

※数字に関しましては万全を期しておりますが、絶対に間違っていないとは言えません。ご指摘くだされば直ちに確認して訂正いたします。

 

 

 

 

 

平均値というのは、対象範囲内の数字にバラツキがあって、それでも概略を掴みたいという時に用いるものです。

 

基本的に増加傾向にある我が国死亡者数の、その平均値を出す意味というか理由というか、それ自体が分かりません。年限幅が3年であれ、5年であれ。10年であれ、20年であれ。

 

年限を広く取ればその分数値は低くなり、今年との差は開いていくだけです。

 

 

ちなみに、全国の死亡者数、平成以降の数字です。

 

「2-15 出生・死亡数と婚姻・離婚件数」より抜粋

 

 

 

 

こんなワカラン珍な算数をするのは、よっぽど思い込みの激しい人だけかと思ったら、6月頃、実は同じようなことをしていた人がいるのを発見してしまいました。

 

しかも、プレジデント・オンラインの記事。

 

 今年4月の東京都の死亡者数は1万107人で、過去5年間の平均に比べて1058人多かった。なぜ例年より死者が多かったのか。統計データ分析家の本川裕氏は「新型コロナによる肺炎などの死亡だったのに、PCR検査が不十分だったため、コロナ陽性と判定されない死亡が多かったのではないか」という——。

 

「マジで?」ですわ。

 

 そこで今回は、例年より死亡者数がどれぐらい多いかを示す「超過死亡」から実態を検証してみたい。

 

 過去5年間の毎月の東京都の死亡者数を平均すると、3月1万271人、4月9049人だったが、2020年の死亡者数は、3月1万694人、4月1万107人となっており、超過死亡数は、それぞれ423人、1058人と算出される。


ホント「マジで?」ですわ。

 

 

 

「統計探偵/統計データ分析家」とかいう肩書なんですけど、一体どういう人?

 

何で「過去5年間の平均値」が「例年」扱いになって、それとの差が、そのまんま「超過死亡」になるんですか。

 

 

一般的に「超過死亡」と言えば・・・

 

予測される死亡者数と比較した場合の、増加分の死亡者数。感染症の流行時に算出されるものは、その感染症が社会に及ぼす影響の大きさを見る指標の一つとなる。超過死亡数。

 

 

・・・のはずでして。

 

あくまでも「予測される死亡者数」と今年の数字を比べるものですよ。過去5年間の平均を「例年」として、それと今年と比べる、なんて単純な話ではありません。
 

 

国立感染症研究所の資料には、超過死亡について・・・

 

例年の死亡数をもとに推定される死亡数(予測死亡数の点推定)[閾値1]およびその95%片側予測区間(上限)[閾値2]と実際の死亡数(観測死亡数)との差のレンジで提示しています。

 

 

 

・・・という文言があります。

 

 

正直なところ「え? 何ですって?」という感じです。

 

ただ・・・

 

「超過死亡」が言うところの比較対象は「例年の死亡数をもとに推定される死亡数」であって「過去5年間の平均値」なんて単純な話ではない。

 

・・・ということだけは分かります。

 

東京都にしたって、死亡者は、やはりずっと増え続けているんですから。

 

「出生数・死亡数・死産数・婚姻数・離婚数・合計特殊出生率・平均初婚年齢」より抜粋。

 

 

 

 

なお、国立感染症研究所のサイトには、こんなのもありました(が「Q」の意味自体、分かったり分からなかったり・・・)。

 

 

 

 

と、まあそんなわけでして。

 

意図してのことかどうかはともかく、世の中フェイクに満ち、嘘つきもゴロゴロいるようです。

 

 

画像は修正、動画は編集、数字は加工・・・どれもこれも、ある「物語」に沿うよう「つくられた」ものだと考えた方が良いのでしょう。

 

もちろん、それらの行為全てが悪いというわけでもないですけどね。何なら、ワタクシだって似たようなことをやらかしていないとも限らないですし。

 

重要なのは、それらの素材の調理手法が適切かどうか、切った貼ったの過程に説得力を伴うか、でありまして。

 

上手な味付けをして、本論の趣旨が、より明確に伝わるのなら、それはそれで構わない、という気もします。


 

ただですねえ、世に蔓延る「コロナは怖い」論は、えてして特殊な例を一般化してみせたり、当たり前のことを特別なことのように言ってみたり。

 

「コロナは怖い」ものでなくては困るんだよ、皆が「コロナは怖い」でいてくれた方が儲かるんだよ、という性根が透けて見えたりする人もいますよね。

 

そういう人達の理論は、針小棒大・牽強付会が過ぎるような気がしないでもない。

 

 

例えば、ニュースや感染予防アイテムが売れ続ける、いずれワクチン接種にも繋がる、という経済的利害・・・

 

また例えば「怖い」が現実となれば政府の対応が足りない、「怖い」が非現実となれば政府は遣り過ぎ、と、どちらに転んでも政府批判が可能という、政治的思惑・・・

 

「コロナ怖い」が続く限り、そういった側面でトクをする人々も大勢いますから。

 

 

あるいは、これからも感染者・死亡者は増えていきますよと、何やらソレを望んででいるかのように言ったりとか・・・

 

またあるいは、感染者・死亡者が「過去最多」です、と言う時、何故か嬉しそうだったりとか・・・

 

何が何でも「コロナ怖い」でなきゃダメなんだ、という勢いの人々も、これまた、かなりいますから。

 

 

「水曜日としては」とか「日曜日としては」とか「1週間の合計としては」とか・・・

 

そんなに「過去最多」が好きなら「退院・療養解除者数が過去最多」も言えば良いのに。

 

・・・ですよ。

 

 

 

 

『基準値のからくり』という本を、ずいぶん前に買いました。

 

 

賞味期限、放射線量、食品中の化学物質から電車内での携帯電話まで、私たちはさまざまな基準値に囲まれて、超えた/超えないと一喜一憂している。だが、それらの数字の根拠を探ってみると、じつに不思議な決まり方をしているものが多い。その「からくり」を知らなければ、基準値は無用の不安や油断を生む数字になってしまうのだ。「基準値オタク」を自称する俊英研究者4人が追った基準値誕生に潜むミステリー!

 

 

 

という内容ですが、その「あとがきに」こんな一節があります。

 

 私たちはみな、安全に対してはとても強い関心を持っている。そのため、基準値をめぐっては越えた/越えないで一喜一憂したり、感情的な議論が交わされたりすることもある。〜〜〜

 

 基準値は私たちが安全に暮らしていくための需要な基盤であるにもかかわらず、基準値をどのように設定すべきかについての科学は確立しているとは言いがたい。そういう学問分野がこれまでなかったのである。教科書に載っているような従来型の科学では、問題に対する正解は一つに決まっていた。これに対して、基準値をどのようにして決めるかというプロセスでは、科学的なデータにもとづきながらも、仮定を置いたり、推計を試みたりと、裁量の余地が大きい。そして最後には、どのレベルを「受け入れられるリスク」と判断するかという社会的合意も必要となる。これが従来型の科学と違うレギュラトリーサイエンスであり、今の日本に足りないのは、このような科学を専門とするレギュラトリーサイエンティストなのである。

 

 

ここで言う「安全」を「健康」に、「基準値」を「感染予防対策」に置き換えれば、色々と思うところも出てきますね。

 

全ては「ウイルスによって健康を害するリスク」と「感染予防のために費やされるコスト」との、バランスの問題なんです。あるいは「身体的リスク」と「社会的コスト」と、と言えるかもしれません。

 

 

少なくとも、我が国内において、新型コロナウイルス感染症に関する数値が、インフルエンザのそれに及ばないのは、厳然とした事実でありまして。

 

それは、各人がマスク着用・3密回避などに取り組んだから、各種自粛があったから、緊急事態宣言を出したから、だと言われると「いや、そんなことは何もしなくたって・・・」とは、なかなか言えません。

 

純粋な対照実験ができるわけもないですし。そこは、実際ツライところです。 

 

けれど、マスク着用でインフルエンザに罹る人が少ない、という説明は納得し難い。だったら何故コロナは防げないのかな?

 

 

しかしながら、新型コロナウイルスが、たとえ「感染」したとしても、ほとんどの場合、無症状か軽症で済んでしまう、というのも確かでありまして。

 

「だったら感染しても良いじゃん」とまでは言いません。けれども、現状の「誰も感染してはならない」から「感染しちゃったものは仕方ない」くらいまでは、色々緩めても良いのではないでしょうか。

 

 

遮るものなしに話す、向かい合って食事する、連れ立って旅をする、ライブで伴に歌う、スポーツに歓声を上げる・・・

 

今般の感染症が「新型」であり「未知」だとしても、そういうことを全否定してまで防がなければならないほど「特別」で「怖い」ものかと言えば、そんなことはないでしょう。

 

何故って「疎」と「密」を行き来してこその人であり、そうして織り成していくのが人生だもん。

 

・・・と、これはいつも言ってる結論と変わりませんね。

 

 

 

 

 

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えーと、今回の記事はタイトルにあるとおり、ほぼ私憤から出たものです。

 

なので、以下、その私憤について、です。「愚痴は聞きたくないね」という方は、ここから「いいね」まで跳んでください。

 

と言うのもですね、ワタクシ自身「もうコロナは良いよ」と思う中、とりあえず「キリ」としたつもりの前回の記事に・・・

 

いろいろ不透明ですね


〇厚生省 
過去3年平均より死亡者増加

3月 352人
4月 4656人
5月 1139人
6月 1874人
7月 1455人
8月 5631人
9月 4458人
10月 6320人

計 25885人の死亡者増加
感染増加の月と一致
gotoトラベル後に死亡者増加

この記録的な死亡増加を、政府が超過死亡計算するとゼロになるマジック

医療は、コロナかどうか分からない患者の対応に追われ続けている


30代の後遺症の割合は77%と最も高いということですが 
後遺症の人の実数も12倍くらいかもしれませんね

これからウイルスの本番の冬です
どうなるのでしょうね

 

・・・とのコメントで突っかかってきた方がいらっしゃいまして。

 

 

たまたまですが、ワタクシ、今年1月から7月の死亡者数が対前年比で減少しているのを知ってましたので、直感的にこの数字はオカシイと思いまして。

 

こう返信しました。

 

〇〇さん、コメントありがとうございます。
〈過去3年平均より死亡者増加〉以下に示された数字、および〈30代の後遺症の割合は77%と最も高い〉とのお話、どういったカテゴリーの死亡者なのか、何を分母とした割合なのかが分かりません。その出処、元資料をお示しいただけますでしょうか? 言いっぱなしはご遠慮願います。

 

 

それに対するコメント氏の答えがこちら。

 

>仮面の隠者

元資料厚生省人口動態の死亡者からです

何回、計算してもこの数字になるので試されて下さい
1%くらいズレはあるかもしれませんがどうぞ

今後、11月12月の死亡者も公表されるでしょうから、興味あれば過去の平均死亡者と比べてみて下さい

 

 

「は?」ですわ。

 

何、その人任せな返信。「厚生省人口動態の死亡者」でこの数字が出て来るんか? 30代後遺症77%の方はどうなった?

 

で、そこからは、まるで坂道を転げ落ちるかのように別れ話(?)が・・・という展開。

 

 

興味のある方は前回記事のコメント欄に目を通してみてください。正直、ウンザリするだけなので、あまりオススメはしませんが。

 

あ、でも、この応酬にブチ切れそうになるのを何とか堪え、けれど腹が立って夜眠れなかったりという、そんなワタクシの心情を察し共感してくださるという方は、是非、お読みください。

 

(どっちやねん)

 

 

 

いや、まあ、良いんですよ、別に。

 

過去3年間が実は5年間だったとしても。数字が違ってても。書き間違い、写し間違い、計算間違いは誰にだってあります。人間だもの。

 

何なら、厚生労働省を厚生省と言っちゃってることも、ブログ主を呼び捨てにしてることも、人のコメント欄なのに「それには答えず」を貫いて、かつ、自説を滔々と書き連ねることだって赦しちゃいましょう。人それぞれだもの。

 

 

ただね、どんな意見を持っても良いんだけれどもさ、でもさ、やっぱ自分が書いた数字にくらい責任持ちましょうよ。

 

その数字はどこからですかと聞かれたら、明確に「ココからです」と、間違ってませんかと指摘されたら、ちゃんと確認して「いえ、合ってます」か「はい、間違ってました。訂正します」か、のどちらかでしょ。

 

(ちなみに、コメント氏の数字はやはり間違ってました)

 

 

参考までに、コメント氏が触れていない1月と2月に関しては、こういう数字になります。

 

 

ここを外したこと自体は、まあ、まだ国内のコロナ感染者がほとんどいなかったから、ということで良いと言えば良いんですが、でも、このマイナスということに関しては、どういう説明をされるんでしょうね? 未知なる不老長寿ウイルスでも蔓延したんでしょうか?

 

(この時点で、既に新型コロナ「弱毒株」が国内に入ってきていて、それとの「ウイルス干渉」によりインフルエンザの流行が抑えられたから、という、至って真面目な説があります)

 

 

とまあ、そんなことがあったもので、ワタクシ、少々メンタルやられました。

 

もちろん、件の応酬の間にある好意的なコメントには救われる思いでした。大げさではありますが、泣きそうにもなりました。

 

 

これから年末年始に向けて、心穏やかに過ごすためにも、コメントは優しい、あるいは、厳しくとも愛あるもので、よろしくお願いいたします。

 

 

「反対者たちは、彼らの意見を繰り返しておいて、我々の意見を無視すれば我々を論破したことになると信じている」ゲーテ

 

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こちらの動画、冷静に、心穏やかになれます。是非、御覧ください。