こんな折に何ですが・・・実はワタクシ、マスクが嫌いでして。
そう、自分がするのも、している人を見るのも(医療従事者除く)。
もちろん、一口にマスクと言っても、様々な種類、用途があることは承知しておりますけれどもね。
ずっと昔、まだ子供の頃のことで記憶も定かでないのですが、何かで見たのか読んだのか、とにかく地球の環境が悪くなり過ぎて、全ての人が宇宙服のようなものを着ないと生きていけなくなりました、みたいな話がありまして。
その時ワタクシ、幼心に「そんなことしてまで生きていたくないなあ」なんて思ったものです。
少し長じると、いわゆる環境問題(化学物質、細菌・ウイルス含む)で大多数の人が死んでしまっても、中には、新しい状況に生身で対応できるヒトが現れるんだろうし、何なら、それが人ならざるものであったとしても、地球は一つも困らないよね、なんて生意気なことを考えたりもしました。
ついこないだまでの欧米では、アジア、特に日本ほどマスク姿に慣性がなくて、自分が付けるのも、付けている人が近付くことも、相当に忌避するという話をしばしば聞いたものです。
で、そういう感覚に、密かにシンパシーを抱いておりました。
ワタクシ自身、生まれてこの方、給食当番の布マスク以外付けたことはないし、接客業の人がマスクなんかしてると、「アナタ、実は口裂け女ですね」とか妄想してたクチです。
実際、新型インフルエンザやSARS、MERS流行の際にも、海外において、広く一般の人がマスクを着用する、なんて騒ぎにはなってません。
WHOをはじめ、海外各国の衛生当局も、(日本国内で信じられているほどには)マスクは感染防止の役に立たない、という説明をしていました。
つまり、普通にそこらで売っているマスクはね、風邪とかインフルとか、症状のある人が自分の飛沫を飛ばさない、いわゆる「咳エチケット」の延長アイテムに過ぎない、という話だったわけでして。
そこへ、此度の武漢ウイルス禍ですよ。
もともと「マスク信者」の多い日本国内では需要が急増、供給源だった中国での生産減少もあって、たちまち品薄状態、価格急上昇となりました。
ドラッグストア等では開店前から(そこでの感染リスクの方が高いのに)列ができ、ネット上では高値転売が横行し、政治家や新聞社まで密かに金儲けをしてた、なんて出来事まであったりして。
マスク嫌いのワタクシとしては、(人様の勝手とはいえ)皆さん、何もそんな、シャカリキになって手に入れようとしなくても、くらいに、冷ややかに見てたもんです。
が、人の心は弱く、世は移ろい易いものでございますね。
何と(その一点に関してだけは頼りにしていた)WHOが「感染抑制にマスクの効果あり」みたいなことを言い出しまして。
いや、もちろん、無いこともないんだろうけれどもさ。裏切られた感満載です。
この報道が出てからというもの、日本の「マスク文化」が国際社会で認められた、という感覚もあったのでしょうか、いよいよ「皆さんマスクを付けましょう」圧力が高まってまいりまして。
ついには「自分が感染しないためではなく、感染しているかもしれない自分が人を感染させないために」という、はなはだ日本的かつ説得力(破壊力)のある物言いも流布してきまして。
ええ、マスク嫌いには、大変辛い世の中になりました。
でもね、(もちろん、ごく稀にではありますけれども)自分はマスクをしているからと言って、マスクを付けていない人を、まるで非国民であるかのように批判する人もいるらしいので、誤解のないよう、件の報道、全文引用しておきます(太字は引用者による)。
[ジュネーブ/ワシントン 3日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は3日、新型コロナウイルスに対応するに当たりマスクの使用を主に医療関係者に集中させる必要があるとの見解を変えていないとしながらも、手作りのマスクの使用やその他の手段で口元を覆うことが感染拡大抑制の一助になる可能性があるとの見解を示した。
WHOで緊急事態対応部門を統括するマイケル・ライアン氏は「外科用マスクは第一線で対応する医療関係者のためにとっておく必要があるが、咳やくしゃみ(による飛沫の拡散)を防止するためにマスクを使ったり、口元を覆ったりすることは悪い考えではない」と指摘。マスク着用について議論することは「極めて重要」との認識を示した。
その上で、マスク着用は全般的な感染防止対策の一環と考えるべきで、手洗い、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の敢行の必要性を否定するものではないとしながらも、「手作りのマスクや布製のマスクを一般市民が使用することは、新型ウイルス感染拡大の全般的な抑制の一助になる可能性がある」と述べた。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はこの日、新型ウイルスの感染拡大抑制に向け、外出する際は他人との間に適切な距離を取る措置に加え、マスクなどで顔を覆うことを推奨する姿勢を表明。ただ「マスク着用はフィジカル・ディスタンシング(物理的距離の確保)に追加して行うもので、代替するものではない」と述べた。
※ロイター:WHO、新型コロナ抑制に広範なマスク利用の効用を示唆
→https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-who-idJPKBN21L34F
つまりですね、「マスクさえしていれば私も貴方も安心」なんて思っている人がいるとしたら、それは間違っているよ、ということです。
まして、(おそらく、人に先んじることで手に入れた)使い捨てマスクをしていながら「自分がではなく人に感染させないためです」とか宣うのであれば、それこそ「人の為に善いと書いて偽善」の世界ですよ。
だからこそ「ああ、それは手作りですね」というマスクをしている人を見ると、素直に偉いなあと思うわけです。でも、自分がそれを付けたいとは思いません、ゴメンナサイ。
猛烈批判を受けた、政府による布マスク2枚配布も、だから一般の人は使い捨てマスクを無闇に買わないでねという、つまり、それによってマスク不足に悩む医療機関を救うための施策ですからね(そこを理解できない、しようとしない人が多過ぎる)。
首相官邸:マスクについてのお願い
この際なので、マスク関連でもうひとつ。
かなり古いものではありますが「使用中、口周りを覆うフィルター部分は触らない」「外す際、フィルター部分の表面に触れない」「マスクを外した後は手を洗う」など、マスクの正しい使い方をしていない人が7割ほどいるという調査結果もあるそうです。今でも6割くらいいるのではないでしょうか。
正しいマスクの使い方のうち、5つの項目(下記参照)について普段から実践しているかどうか尋ねたところ、普段から実践している人(すべて「はい」と回答)は26.8%で、およそ7割の人が正しいマスクの使い方ができていないことが判明しました。
※ウイルス・菌対策研究所:マスクに関する意識調査
→https://virus-eisai.com/mask/infection/
確かに、マスクは見た目解り易い。心理的な意味での安心アイテムという面だってあるやもしれない。
けれど、元来が天の邪鬼なワタクシ、解り易いところで「感染予防に努めてます」っていうのを見せつけられると、ちょっと引いてしまうというところもあったりして。
実際問題として、マスクを顎にしてる人、頻繁に付けたり外したりする人、マスクに触った手を洗わない人、いっぱい見かけます。それ、意味ないし。「何だよ〜、格好だけかよ〜」って思います。
何しろ、武漢ウイルスは飛沫感染すると同時に、接触感染もします。それは人と人とが接触して、ではなく、“人-媒介物-人”で感染すると言う意味です(ルート不明の感染はこれが主ではないかと言う人もいます)。
以前、映画『コンテイジョン』について・・・
映画の中でCDC職員が接触感染について説明したくだりです。
人間は普通 日に2000〜3000回顔を触る
起きてる間 1分に3〜5回
その他 ドアノブにも触るし 水飲み器 エレベーター 人の手
それらが“媒介物”に
マスクも良いけど「まずは手洗い」たる所以ですね。
・・・と書いたとおりです。
※角燈と砂時計:自分、逃避したいの? 直視したいの? どっちなの?・・・映画『コンテイジョン』(≒接触感染)
→https://ameblo.jp/hermitofthemask/entry-12580474916.html
ただ、これを言い出すと、まさに不安にはキリがない、というか、付ける薬はない、というような話になってしまいますけれどもね。
ワタクシ思うに、いわゆる「3密」(特に「夜の繁華街」等)を避けていれば、よほど強運(?)の持ち主でもない限り、そうそう感染するものじゃありませんよ。
ともあれ、他者に対して「マスクしなさい」と言うなら、ソレ以前に、少なくとも、ソレと同時に、貴方ご自身のするべきことがありますよね、ということを言いたいのでした。
もちろん、マスクもしないよりは、したほうが良いに決まってますけれどもね。それは認めます。
でも、やっぱり、自分はしたくない。可能な限り人と会わず、会っても喋らず、必要であっても対面せず距離をとって話しますから、それで許してください。
以上、今回記事は、私憤8割・公憤2割な自覚あります。
ワタクシにだって、そういうこともあります。人間だもの。
そう言えば、シンガポールではマスク着用が義務付けされるのだそうで、シンガポール見習え論もある昨今、いや、マスク嫌いにとっては難儀なことです。
※YAHOO!JAPANニュース:シンガポール、マスク着用を義務化 ソーシャルディスタンス違反1回目で罰金も 新型コロナ巡り強まる管理
→https://news.yahoo.co.jp/byline/nakanomadoka/20200416-00173218/
何かね、どんどん隅っこに追いやられて、場合によっては道徳的に非難される喫煙者の悲哀って、こういう感じなのかな、って思う今日此の頃・・・
止まない雨はない。明けない夜もない。
お肌には大敵だけれども紫外線頑張れ。ウイルスやっつけてくれと神頼み。
・・・です。
正直なところ、武漢肺炎それ自体が、世界規模でここまでの騒ぎになるとは思っていませんでした。
確かに、感染力がかなり強いとか、多くは無症状・軽症と言いながら、突然重症化したり死んでしまったり、武漢ウイルス恐れるに足らず、とは言えないでしょう。
けどね・・・
禍を克服するためとは言え、ここまで人それぞれ日々の暮らしを「犠牲」にしなきゃならないのか、という意識も薄っすらあるし、そんな「対価」を払ってようやく死者数を抑え込んだとしても、それをウイルスに対する「勝利」と呼べるのか、という疑念もどこかにあったりして、その他種々諸々思うところがあります。
・・・くらいのことは言っておきたい。
一方で、ワタクシ、被統治能力の高い人間でもあるので、日本政府のこれまで対応は、まあ、よくやっている、とそれなりに評価もしてます。
いえ、むしろ、現在の結果(あくまでも途中経過ですが)を見れば、国内の死者数は諸外国よりも文字どおり桁違いに少ないわけで、それなのに、色々、遅いとか少ないとか批判ばかり言う人の方が、どうかしてるんじゃないかと思います。
イライラが高じて口が悪くなったりするのかもしれませんが、それでは、さらに人の心を荒廃させ殺伐とした空気を生むだけです(これは自戒を込めて)。
緊急事態宣言対象地域を全国に拡大するという今、国民対政府、ワタシ対アベ、という図式でモノを論じている時ではありません。
毎度言ってる気がしますが、ともかく、まずは人の言うことを聞きましょう。
でも、私たちにはもっとできることがあります。それは目の前の現実に立ち向かうだけでなく、未来を変えることです。私たち全員が、今、不要不急の外出を避けることで、2週間後の新規の感染者数を劇的に減らすことができます。それは間違いなく、医療現場の負担を減らすことにつながります。2週間後の医療現場の状況を決めるのは正に今なのです。未来は私たちの今の行動にかかっています。医療現場を支えるため、その負担を減らしてください。皆さんの力で未来を変えてください。緊急事態に皆さんの御協力をお願いいたします。
※首相官邸:令和2年4月17日
新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見
→http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0417kaiken.html
4月18日現在、各国当局発表による感染状況。感染者数は検査件数の影響が大きいので死者数順にしてます。
政府、医療関係者、そして国民、日本は頑張っていると思います。
※worldmeter:Coronavirus