新型コロナウィルス、未だ先が見えませぬ。と言うか、時々刻々事態が動いてるし、発生源である中国武漢の状況は相変わらず闇の中だし。
で、既に古い話ですが、
「人権の問題もあり、踏み込めないところもある」
「これ以上、私どもの法的な根拠がない」
1月30日、参院予算委員会で、安倍首相、および、加藤勝信厚生労働相がこのように発言したそうです。
※Web産経ニュース:帰国邦人 強制的に隔離や検査できず 2人が一時検査拒否
→https://www.sankei.com/politics/news/200130/plt2001300027-n1.html
「言い訳すんな!」とお怒りの方も多かったようですけど、心優しいワタクシとしては「まあ、そうだろうな」と思いました。
ともかくですね、この新型コロナウィルス、感染率(割と高め?)とか致死率(割と低め?)とか、色々言われているわりに肝心なところが不明でして。
いや、だからこそ、最悪を想定して迅速・果敢に対応するべし、という意見には、一理も二理もあるわけですが、やはり「平穏な日常生活」を守るべき政府としては、どこまで動いて良いものか、ちょっと困ってたのだろうなって感じです。
というか、
人間誰しも、重要・重大な行動に出る前には少なからず沈思黙考する時間が必要でして、行政府の長でありながら予算委員会に縛り付けられている日本の首相は、相当にお気の毒だと思います。
だいたい、その立法府がですよ、常日頃からこのテの非常事態に対する法的整備をしっかりやっとけば、行政府は、冒頭掲げたような「言い訳」をすることなんて無いわけで。
ましてや・・・
感染を防ぎ中傷から守るためにも検査は必要だった。無症状の人からも陽性反応が出ている。政令と現実の乖離(かいり)を埋めるべく政府の責任で超法規的に検査を受けさせるべきだった。
・・・などと(後にどのような責任追及がなされるかも知れない)「超法規的措置」を求められるいわれも無いわけで。
※Web産経ニュース:【主張】新型肺炎 国民の保護に覚悟を示せ
→https://www.sankei.com/column/news/200131/clm2001310002-n1.html
国会議員諸氏は、平時に有事を想定して議論することができず、有事に現実対処の方法を語ることもできず、新型感染症拡大の危機を前にしてもなお、相変わらず諸々の「疑惑」追求しかできない己自身をこそ、まず反省すべきでしょ。
そういうね、およそどうでもいい「質問」に答えるために、役所は労力を削がれ、首相・大臣は思考を妨げられているわけで。
ところで、同じ1月30日には・・・
事務局長は、今回の判断が中国に対する「不信任」ではないと強調した上で、「最大の懸念はより脆弱な医療制度の国に感染が拡大する可能性だ」と語った。
同時に、中国との取引や渡航の制限は勧告しないと述べた。
・・・なんて要らんオマケ発言付きながら、(中国政府とズブズブの)WHOが、新型コロナウィルスによる肺炎ついて、ようやく「緊急事態」を宣言しました。
※ロイター:WHO、新型肺炎で緊急事態を宣言 18カ国に感染拡大で
→https://jp.reuters.com/article/china-health-who-idJPKBN1ZT2UJ
それを受け日本政府も、当初2月7日施行としていた「指定感染症(感染症法)」「検疫感染症(検疫法)」指定を1日に前倒しすることを決めたりして、その対応は、まあギリギリ許容範囲かなと、ワタクシは考えております。
とは言え・・・
新型肺炎の感染が確認されれば、感染症法に基づき設備や受け入れ態勢が整った感染症指定医療機関に入院するよう勧告できる。従わなければ強制的に入院させられる。ただ、症状がない感染者は「患者」に当たらないため入院勧告はできず、要請にとどまる。
・・・のだそうで。
※Web産経ニュース:
政府、新型肺炎「指定感染症」の政令施行 強制入院可能に 入国拒否措置も
→https://www.sankei.com/politics/news/200201/plt2002010010-n1.html
ここら辺は・・・
米国内での感染拡大阻止に向け、新型肺炎の震源とされる中国・湖北省に渡航した米国民を強制的に隔離するほか、過去14日間に中国に滞在した外国人の入国を拒否する措置を講じる。2月2日から実施する。
・・・と明言した米国には、ちょっと及ばないところではありますね。
ロイター:米、新型肺炎で緊急事態宣言 強制隔離や入国禁止措置実施へ
→https://jp.reuters.com/article/china-health-usa-31-idJPKBN1ZU32O
いずれにせよ、中国政府の発表が金輪際アテにならない中、日本国内で感染・発症者が出たのは、まあ不幸には違いないのだけれども、したら、しっかり経過観察できるし、ウィルスも分離できたようだし、今後、国内対応については暗中模索・五里霧中を脱していくのではないかとワタクシは楽観しております。
※国立感染症研究所:
国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真
→https://www.niid.go.jp/niid/ja/multimedia/9368-2019-ncov.html
けれど政治方面について言えば、こちらは残念ながら悲観するしかないですな。
政府対応を批判する皆さんから「米国並み」に「緊急事態」への対処ができるよう、憲法論議も真面目にやろうよ、という話が出てきても良いはずなんですが、それはもっぱら自民党議員だけのようでして。
(↑これは、昨年つくられたチラシ)
※自民党憲法改正推進本部:憲法改正の必要性訴えるビラを作成
→http://constitution.jimin.jp/news/2019/000003.html
まあ、それなりに勉強しなければならない感染症の話よりも、チマチマとねちっこく質問して、ケシカランとか言っとけば議論しているように見えるアレヤコレヤを議題にしている方が楽ちんですからね。
彼等はもう、平日の昼日中NHKを視ているおヒマな、あるいは、未だに朝日新聞しか読まず、ソコに書かれていることだけが真実だと信じている純真な人達だけを相手にしているんでしょう。
(近頃すっかり素性が割れた感のある)この方に至っては「それなのに」と言うべきか「案の定」と言うべきか・・・
「悪乗りというか悪用というか、本当に大変な危機になりかねない。人命に関わっている問題を憲法改正に悪用しようとする姿勢は許されない」
「感染症の拡大防止のために必要な措置はあらゆることが現行法制でできる。それを運用するのかどうかという行政判断の問題だ。憲法とは全く関係ない」
・・・んだそうな。
※Web産経ニュース:枝野代表、新型肺炎を受けた改憲議論は「悪乗り」
→https://www.sankei.com/politics/news/200131/plt2001310025-n1.html
いやいや「悪用」ってアナタ。これはまた、憲法改正の機運⇒「大変な危機」=「戦争する国」理論ですかね。
そもそも、現行法制では「あらゆること」はできないよ。あくまでも、現行の法律に書いてあることしかできないんですから。
(もっとも、枝野くんが官房長官だった時の首相は、震災後も安全に稼働していた原発を止めるよう、超法規的に「要請」してみせましたけどね。そのおかげで、我が国の原発政策は未だ迷走中ですわ)
まあ、彼と彼のシンパに対して何を言っても詮無いことで、皮肉も通じないのでしょうけど、
かつて、田中美知太郎氏が「いわゆる平和憲法だけで平和が保証されるなら、ついでに台風の襲来も、憲法で禁止しておいた方がよかったかも知れない」と書いたのは有名な話でして、そこから連想すれば「感染症の蔓延は、これを認めない」とかいう条文を加えればそれでOKとか考えているのかもね。です。
あ、でも、もしそうだとしても「安倍首相の下での改憲論議には応じない」んでした。こりゃまた失礼いたしました。
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自慢じゃありませんが、ワタクシ、枝野くんのこと、ほんとダメでして。そんな想いにお付き合いしてくださる方は、こちらをどうぞ。
「黙っていたら、ナメられる。」ごもっともです。
でも、誰よりも人をナメてるのは枝野クンその人なんじゃないかと、ワタクシなんぞは思うわけでして、
#219 「黙っていたら、ナメられる。」・・・枝野クンで遊ぼう
この記事を読んだ時の第一印象、「ま、そりゃそうでしょう。枝野クンのくせに、案外普通のこと言うなあ」でした。
憲法の定義が、そういう「ルール」だというのは、間違いではないにしても、その一側面でしかないですよね。
もう、枝野クンてば・・・
本音のところで、どうしても憲法論議したくない、けど「立憲主義」との整合性はあるように見せたい、ということかしら?
ならね、いっそ憲法改正の発議ならぬ、憲法護持の国民投票でも仕掛けてくださいよ、です。
立憲民主党、枝野クンへ。いっそ、憲法「非」改正の国民投票なら文句ないんじゃない?
こうしてみると、我ながら色々書いてますね。でも決して「嫌よ嫌よも好きのうち」とか、そういうのじゃありませんから。皆様、誤解のないように。