理由はどうあれ、
45人もの人を次々と刺し、内19人は亡くなってしまった。
それは異常なことで、
凶行に及んだその精神にしても、
異常と言って悪ければ、
少なくとも異形だ。
事件直後、彼の考え方に、
少なからぬ人が理解を示したかのようだったけれども、
その後伝わってくる、接見での彼の言葉、
あるいは、彼の手による「漫画」、そして公判での行動・・・
私なりに、それらを追ってきた上での結論を言えば、
彼に対する共感のほとんどは、
おそらくは勘違いから来るものだったということ。
思うに、
彼は、何者でもない。空っぽの人だ。
刺激的なことを仕入れては吐き出し、
特異な行動で周囲を驚かせ、
何者かであるかのように見せたかった。
それだけ、だろう。
彼に思想などなく、
「世間に認められたい」「役に立つ人間だと思われたい」
そういう情念があるのみだ。
公判開始にあたって名前を公表した美帆さんはもちろん、
他の18人も、怪我をした26人も、皆それぞれに名前がある。
障害の有る無しも、その重さも関係ない。
今はただ、
彼等もちゃんと生きていた、生きている、
そのことだけ忘れずにいようと思う。
キレイゴトだと謗られるかもしれないけれど、
世の中、少しでも綺麗な方が良いに決まってる。
あなたがたは、世にあって星のように輝き、命の言葉をしっかり保つでしょう。
(フィリピの信徒への手紙 2 15-16)
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彼の言っていることは、真面目に聞けば聞くほど馬鹿らしくなってくる類のものなんだけれども(少なくとも私はそう思う)、それを時代とか社会とか、何なら安倍政権批判にまで持っていく人もいたりして、ホント、うんざりします。
少数とは言え容疑者・被告に群がるそういった人々の心根に、被害者・遺族に同情するフリで、社会を憂えるフリで、「要するに商売ですよね」というのが透けて見えるような気がするのは私だけ?
※YAHOO! JAPANニュース:翌朝小指は噛みちぎったー相模原事件・植松聖被告が面会室で語った驚くべき話
→https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20200114-00158929/
※iRONNA:相模原事件、植松聖被告「獄中ノート」
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皆様御存知のことと思いますが、刑法には・・・
第三十九条 心神喪失者の行為は、罰しない。
・・・という条文があります。
※刑法→http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?re=&vm=1&id=1960
でもって、裁判所はこんな説明をしています。
刑罰法規に触れる行為をした人の中には,精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のない人や,その判断能力又は判断に従って行動する能力が普通の人よりも著しく劣っている人がいます。
刑法では,これらの能力の全くない人を心神喪失者といい,刑罰法規に触れる行為をしたことが明らかな場合でも処罰しないことにしています。また,これらの能力が普通の人よりも著しく劣っている人を心神耗弱者といい,その刑を普通の人の場合より軽くしなければならないことにしています。
これらは,近代刑法の大原則の一つである「責任なければ刑罰なし」(責任主義)という考え方に基づくもので,多くの国で同様に取り扱われています。
※裁判所:心神喪失又は心神耗弱とは何ですか。
→http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_21/index.html
「津久井やまゆり園」相模原殺傷事件の裁判において、被告は45人を殺傷したことについては争わず、もっぱら心神喪失あるいは心神耗弱による無罪・減刑を求めているようです。少なくとも弁護士はそう言っています。
まあ、そういうことになるんでしょうね、とは思います。思いますが、やっぱり釈然としない部分もあります。
精神鑑定、それ自体についても・・・
〜〜〜つまり、精神鑑定とは、客観的な証拠をひとつひとつ積み上げて、犯行時における精神疾患の存否や心理状態の推論を確実なものにしていく作業であるといえます。そのため、社会を騒がせたような重大事件では、鑑定に数ヵ月かかります。犯罪を行った者が、意図的に精神病に罹患しているかのように装って、処罰を逃れる刑事ドラマや映画のイメージをもっている一般の方々も多いと思いますが、現実には、そのようなことはまずできません。
※Meiji.net:精神鑑定は犯人救済のために行うものではない
→https://www.meiji.net/life/vol157_yuji-takase
・・・という意見から、
あるいは・・・
「精神医学はいまだに未熟な学問。当然診断基準というものがあるとはいえ、ほかの医学と比べて数値で判断できるものが非常に少ないのです。そのため、精神科医によって鑑定結果もさまざまで、客観的とはいえないのが現状でしょう」
※DIAMOND online:犯罪者の「精神鑑定」、重要だが誤診も多い悩ましき実態
→https://diamond.jp/articles/-/173941
・・・という意見まで、実に様々なものがあります。
一応ね、
心神喪失・心神耗弱による無罪・減刑措置それ自体は、文明社会の為すところだと思います。
が、そんな判決を度々聞かされると、実際にそういう事例は少ないにも係わらず、「精神障害者は何をしても無罪放免」という印象が強く、「これだから精神異常者は・・・もう、ちゃんと閉じ込めとけ」みたいな差別意識を助長させます。
犯罪とは無縁の、大多数の精神病・精神疾患当事者にとっても、極々少数の犯罪者によるそういった事例は、むしろ迷惑千万な話なんじゃないか、とも考えられますが、如何なもんでしょう?
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こちら、旧ブログ関連記事です。よろしければ・・・
PROM.39 「障害者が安楽死できる社会を」・・・相模原殺傷事件について。