伊藤詩織さんと山口敬之さん、ワタクシにとってお二人とも赤の他人ですし、ぶっちゃけ、どうでも良い話ではあるんですが・・・
そもそも、いや、だいたい、
性行為における「合意」の有無なんて、どっちにしろ御本人にしか分からないことです。
双方どうとでも言える。
何なら、その時は確かに「そのつもりだった」にしても、後から「そんなつもりじゃなかった」と言うことだってできちゃいます。
場合によっては、女性がではなく、男性が「合意なく性行為をさせられた」と言うのもアリでしょう(ほとんどの人は信じないでしょうけど)。
その意味では、基本、裁判所の判断を了とする他はありません。
他ありませんが、それにしても、判決後の、この巷のはしゃぎよう(と、少数ではありますが、憤りよう)と言ったら、一体どうしたことなんでしょう。
皆さん、ご存知かと思いますが、一応確認しておくと、これは民事裁判(有罪・無罪という話ではない)でして、しかも敗訴側は控訴するとしています。つまり、今はまだ確定判決じゃありません。
ついでに言うと、準強姦容疑の刑事事件としては不起訴になってます。
それなのに、いや、だからこそなのかもしれないけれども・・・
世の中は、伊藤さんの味方が圧倒的多数(に見えるの)で、天邪鬼なワタクシとしては、どうしたもんかなあ、と思ってます。
伊藤さんは、山口さんから準強姦、強姦、暴行、傷害致死未遂等の被害を受けたとして民事裁判に訴えているのですが、それらに関する客観的・物理的証拠は、ほぼ検討もされず(それらが貧弱すぎて刑事では不起訴になったわけですが)、勢い、
性行為に合意が有ったか無かったか、そこを争い、どちらの証言が、より「信用」できるか?
という様相へと変化しました。でもって「合意の無い性交渉はつまりレイプでしょ」という理論でして、つまるところ痴話喧嘩?
なのに、この騒ぎ。
そりゃね、ワタクシなりに、事情は分かってるつもりですよ。
曰く、伊藤さんは就職相談のつもりだったのに、その見返りとして、酒を飲まされ(ひょっとしたら薬を盛られ)、肉体関係を強要された・・・すなわち、典型的なセクハラであり許し難い。
曰く、刑事事件として山口さんの逮捕状が出てたのに執行されなかった、結局不起訴になった、その一連の流れに安倍(首相)さんや菅(官房長官)さんの働きかけがあった・・・すなわち、山口さんの友人・知人等、政府筋による陰謀を追求すべきだ。
曰く、性被害における警察の捜査手法は言わずもがな、被害者の実名・顔出し告訴に対しても時に激しい誹謗・中傷が湧き上がる・・・すなわち、セカンドレイプが横行する日本社会は変わらなければいけない。
等々、話がどんどん大きくなり、世界的な「#MeToo」運動の盛り上がりとも重なって、伊藤さんは日本における、そのトップランナー(?)扱いされてますからね。
そんな彼女が「嘘つき」認定されたら、そりゃ支援者は困ってしまうし、逆に山口さんの方が嘘をついているとなれば、ほら、やっぱりね、セクハラだよ、陰謀だよ、セカンドレイプだよ、となるわけで。
ただですね、近頃、いろんなことが直ぐにアチラとコチラに色分けされ話が通じなくなるってことが多くてウンザリなんだけれども・・・
少しでも伊藤さんを批判しようものなら、すぐさま、山口さんの味方だ、安倍べったりだ、お友達だ、ゆえに言ってることも信用できない、式の反応は如何なもんかと思いますよ。
だったら、山口さんを罵る人達だって、ちょっと検索かければ忽ちその「党派性」が透けて見えちゃうわけでして。何しろ山口さん、ジャーナリストとしてライダイハン問題(ベトナム戦争中、韓国軍兵士が云々というアレ)を発掘した人ですからね。
そういう背景を考えるにつけ、今、伊藤さんを弁護し応援している人達は、果たして本当に、伊藤さんの言ってること書いてることをそのまま信用しているのか、純粋に、数多いるであろう(名もなき)性犯罪被害者のことを思っているのかしら、と疑いたくもなるでしょう。
山口さんと知り合った時、まだ何者でもなかった伊藤さんが、(意図してのことか、あるいは結果的に、なのかは「神のみぞ知る」ではありますが)今や、世界的に有名な「ジャーナリスト」になりました。
正直なところ、そうやって「世に出た」彼女の言動・行動が、(本人には全く非のない、なのに非があるかのように言われる)性犯罪被害者の救済につながるとは、ワタクシには思えません。
彼女は・・・強過ぎますもん。
「#MeToo」であれ「#WeToo」であれ「#WithYou」であれ、そういった運動の先に、女性(と、もちろん男性も)の幸せがあるとも思えないんですけど、どんなもんでしょう?
そうそう、念の為言っておくと、山口さんについても、やはり不注意というか「身から出た錆」な面は否定できないんで、その点で擁護はしません。ただ、その錆があまりに大きく成長しちゃっているということについて、ちょっとお気の毒だなという気はしてます。
何故って、互いにイイ大人(?)の男女が、何となく「そういう雰囲気」になってしまって性行為に至ったとして、けど後から、どちらか一方が「あれは合意の上ではなかった。損害受けた」と民事(!)裁判を起こし、裁判官がその言い分を「信じられる」と判断したら、賠償金を払わなきゃいけなくなるんですよ。
ですからね、この判決、ホントは物凄く怖い話なんです。世の男性(とは限りませんけど)は、明日は我が身かと、もっと恐れないと。
ということで、この事象(事件じゃないですよ)で得た教訓。
性行為は同意書に署名捺印してからで。
また「この性行為は業務上の利益供与を約するものではない」という種類の添え書きを忘れずに。
なお、署名捺印は(後に強制的に書かされたとか言われないよう)弁護士か行政書士に立ち会ってもらうのが望ましい。
・・・うん、こりゃ文字通り、萎えますね。
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実際、どうでも良い、あるいは、双方とも胡散臭い、と考えている方も多いんじゃないかと思いますが、以下、判断材料として。
⚫伊藤さんの著書(カスタマーレビューを読むと、世間のアチラとコチラぶりが面白いです)。
真実は、ここにある。 なぜ、司法はこれを裁けないのか? レイプ被害を受けたジャーナリストが世に問う、 法と捜査、社会の現状。 尊敬していた人物からの、思いもよらない行為。 しかし、その事実を証明するにはーー密室、社会の受け入れ態勢、差し止められた逮捕状。 あらゆるところに〝ブラックボックス〟があった。 司法がこれを裁けないなら、何かを変えなければならない。 レイプ被害にあったジャーナリストが、自ら被害者を取り巻く現状に迫る、圧倒的ノンフィクション。
※Amazon:Black Box
→https://www.amazon.co.jp/Black-Box-%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E8%A9%A9%E7%B9%94/dp/4163907823
⚫小川榮太郎氏による論考。
※性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【シリーズ第1弾・前編】
→https://hanada-plus.jp/articles/230
※性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【シリーズ第1弾・後編】
→https://hanada-plus.jp/articles/231
「伊藤詩織」は性被害者なのか【シリーズ第2弾】
→https://hanada-plus.jp/articles/246
⚫判決後の記者会見、山口さん。
⚫判決後の記者会見、伊藤さん。
以下、その他諸々読んだ中で気になったもの。
こちら、まあ、そういう見方もあるのだろう、とは思いました。
被害者がセカンドレイプなどを恐れ、告発に踏み切れないことも多い日本の社会状況も、こうした考え方が定着することで変化していくだろう。伊藤さんも、カミングアウト後には「オンラインでの攻撃をされて悩んでいた」「女性から『同性として恥ずかしい。日本人としてこういう(性被害に関する)話はするべきじゃない』と言われたこともあった」というが、判決を受け、「社会が少しでも温かくなれば、声を上げやすくなると思う」と前向きに語った。
※Forbes JAPAN:伊藤詩織さん勝訴、なぜ民事と刑事で判断が分かれたのか。性犯罪事件に示した2つの道筋
→https://forbesjapan.com/articles/detail/31418/1/1/1
こちら、伊藤さんについては保留しておきますが、その他の趣旨、性犯罪、セクハラの現状に関しては概ね同感です。
伊藤詩織さんのように壮絶な想いをしなければならない人を、これ以上生み出さないために、もう無法地帯を許してはいけないとあらためて強く思う。
※BUSINESS INSIDER:打ち合わせでレイプ、交際拒否で賃金不払い……伊藤詩織さん裁判は氷山の一角
→https://www.businessinsider.jp/post-204516
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旧ブログ、関連過去記事です。お時間あったら、是非。
「#MeToo」が国会進出(?)した頃の記事。
もうね、ワタクシこういう流行に乗っかるだけの方々を見るとですね「#YouToo?」って呟いて心の平安を保つようにしてます。色んな意味で「アナタも?」というか「アナタもですか?」ですわ。
#245 要するに憲法の話はしたくないんだね。あ、いや、できないのか・・・
同じ頃、小説世界(有川浩『キケン』)に逃避して書いた記事。
昔(江戸時代「寛政の改革」の頃)「白河の 清きに魚も 住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき」という狂歌があったそうですが、あんまり「品行方正」を求め過ぎるとね、世の中住みにくくなるだけです。というかですね、「#MeToo」に便乗する人とか「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」振りかざす人とか、皆さんそんなに「清廉潔白」なんでしょうか?
#246 セクハラとか強制猥褻とか、近頃『キケン』が多すぎる!
内閣府のセクハラ防止ポスター、ご記憶でしょうか? 関連の記事。
まあ確かにね、知識として「今時、そういうのはセクハラと言われかねないね」くらいには思います。けどね、「セクハラを決めるのはあなたではない!」―すなわち「加害者」の意図はどうあれ「被害者」が不愉快に感じたらそれはセクハラだという(今流行中の)理屈を認めてしまったら、もう、人は皆貝になるしかありません。