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ヘリテージング倶楽部で文部省唱歌「ふるさと」をとりあげました

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 7月に始めた「ヘリテージング倶楽部の集い」もすでに3回目、参加者は今回も20名オーバーとコンスタントです。ご近所のお友達でも誘うのか、わが団地以外の顔ぶれも見られて嬉しいかぎりです。

 お茶を飲みながらDVD映像を眺めつつヘリテージング談義に興じるわけですが、同年代の方々(50代から60代)が集まってのんびり過ごす土曜の午後、せっかく集まってくださった皆さんを飽きさせないよう、毎回テーマには知恵をしぼります。

 さて、今回のヘリテージングはちょっと〈建物離れ〉をして、明治から大正にかけて作られた「文部省唱歌」をテーマにしました。いわば音楽ヘリテージングです。


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 文部省唱歌というのは、日本の子供たちに西洋音楽を教育しようと明治政府が制定したもので、アイルランドやスコットランド民謡、賛美歌などの外国製もあれば、文部省が日本人作曲家や作詞家に制作を依頼した純国産もあります。 
 今回とりあげたのは、日本人なら誰もがくちずさんだことのある、もしかしたら第二国歌ともいうべき曲「ふるさと」です。♪うさぎ追いしかの山、こぶな釣りしかの川~

 大正3年に作られたこの国民的愛唱歌の作詞・作曲者名は、文部省唱歌という名のもと長い間公開されなかったのですが、この人物を求めて長野県を訪れるBS朝日のドキュメンタリー番組(「うたの旅人・ふるさと 長野県中野市」8月16日放映)という質の高いテレビ番組(のDVD)を見ながら、過ぎし日本の「なつかしさ」と「うつくしさ」を楽しみました。
 
 作詞・高野辰之、作曲・岡野貞一。「ふるさと」を作ったこのコンビは、~白地に赤く~の「ひのまる」や「はるがきた」「春の小川」、~秋の夕日に照る山~「もみじ」「おぼろ月夜」など数々の名曲を残しています。




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 この時代に作られた〈尋常小学唱歌〉もまた、誇るべき日本の近代遺産だとつくづく感じた次第です。

団地の集会所で「ヘリテージングの集い」をやりました。

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千葉市の埋め立て地に建つわが団地、東日本大震災では液状化現象に遭いました。さいわい被害は軽く、噴出した大量の砂も住人が力を合わせ一日で片づけてしまいました。
日ごろ、人付き合いの薄い共同住宅ですが、いざというとき頼りになるのはやはりご近所さんですね。
そんなわけで、近所どうしの絆を深めるという意味をこめて、「ヘリテージングの集い」なるおしゃべり会を始めています。3棟200所帯ほどの小さな団地ですが、第1回15名(7月)、第2回21名(8月)と予想以上の参加者を集めています。 

ヘリテージング関連のBS放送を見ながら、ヘリテージングの楽しみ方について語ってみようと思ったのです。

NPOを設立した際に購入したビデオ・プロジェクション装置が宝の持ち腐れになっていましたが、はじめて役に立ちました。

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 ふだんテレビ番組のタイトルに気をつけていると、これは!と思うヘリテージングに関するプログラムはけっこうあるものです。特に地上波よりBSに多い。

わたくしは2週間に1回、こうした番組をDVDレコーダーの予約機能を使ってチェックしHDDにまとめて録画しています。あとで気に入ったものだけをDVDにコピーし保存するわけですが、こうして作ったDVDがすでに500枚を超えています。

日本紀行もの、温泉グルメ番組、歴史番組、ドラマ、クイズ・バラエティ、音楽映像もの…。場所も中身もいろいろです。

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 わがDVDコレクションから数点選び出し、ヘリテージングの楽しさが伝わるような構成にしてお話します。


たとえば第2回目は、「ブラタモリ」という番組から横浜に残る明治遺産を紹介し、そのあとで「ラストサムライ」の1シーンをお見せしました。それは主役のトム・クルーズ演じるオールグレン大尉が、横浜港に上陸するシーンです。

 タモリが昔の横浜を映した古い絵葉書で、やたら電線の多いヘンな電柱を見つけて面白がるのですが、ハリウッドが大金かけて再現した明治9年の横浜港、ラストサムライにも同じ電柱がちゃんと登場しているのです。

 ヘリテージングは歴史や建築の学術研究ではなく観光レジャーですから、楽しめるかどうかがキーポイント。第1回目では、女優・川上貞奴が名古屋に建てた和洋折衷の豪邸二葉館を紹介しながら、その館で展開した福沢諭吉の娘婿・福沢桃介との堂々たる不倫物語の顛末を付け加えるといった具合。

 ご近所さんを楽しませることもさることながら、自分でもかなり楽しんでいる次第です。

どうか、無事で。

 大震災の犠牲となられたすべての方々に、心より哀悼の意を表します。

 震災後17日目、3月28日の日経夕刊に東日本大震災による文化財の被害に関する記事がありました。国宝、重文、有形文化財など、東北・関東を中心に被害は400件を超えているとか。 
 中でも無残なのは茨城県北茨城市の登録有形文化財・五浦(いずら)六角堂です。津波による「消失」。
 倒壊、水没、炎上など被災にも様々な形があるなかで、跡形もなく消えうせる「消失」という言葉には、人間など手も足も出ない圧倒的な力による悪意を感じます。

 「六角堂」は明治38年に岡倉天心が思索の場として建てた小屋。横山大観、下村観山、菱田春草等と近代日本美術の本拠地を茨城の五浦(いずら)と定め、海に突き出た断崖上に通称「六角堂」を建てました。岡倉天心は「観瀾亭」(かんらんてい)と名付けたそうですが、皮肉にもその意味するところは、瀾(大波)を観る亭(あずまや)だそうです。

 天災、戦災、人災、日本人はこれまでも歴史的な大災厄を乗り越え、多くの文化財を今日に残してきました。見方を変えれば文化財は日本人の災害復興の証でもあるのです。
 未曾有の大震災が私たちの時代に起きてしまった。でもしぶとく生き延びてほしい。かつて東北や関東で出会った近代遺産たちに、どうか無事でいてほしいと願うばかりです。

 宮崎駿監督は、ある作品発表会でいまは高所から文化論を語るときではないとのコメントを口にしたそうですが、原発を含め現在進行形の災害現場から離れた場に身を置き、文化財への思いを語ることがいかに無神経か、宮崎監督ならずともそう思います。
 ただ、生き延びた近代遺産たちが、復興を遂げた次の世代の日本人に愛される日が来ることを思い、その思いに縋ることで心の平穏を保つ、そういう必死な心境にあることも事実です。

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天気がいいので、ちょっと横浜人形の家まで。

 「ぶらり途中下車の旅」で紹介されていた横須賀のオバちゃん、高橋勝美さんのドールハウス展が始まったので、ヘリテージングⅢ世号は横浜に向かいました。 
<「名残の陽だまり」和風ドールハウス作家「女職人」高橋勝美の昭和>と銘打った作品展を見に行ったのです。
 会場は山下公園に面した横浜人形の家。入館料800円!シルバー料金はないのかい…心の中でつぶやきながらチケット売り場へ。「ドールハウス展はここですか」「右手の多目的ホールになります。特別展のみでしたら入場無料です」「やったー!」

 見ると聞くとは大違い。いやいや、実物とテレビで見るとは大違い。高橋さんのドールハウスは手抜きを許さぬ美学、その徹底ぶりは黒沢明監督に通じるものがあります。テレビでは伝わらないミニチュアアートの極地を見る思いがしました。
 虫眼鏡サイズの細工モノをリアルにこしらえる手錬もすごいですが、私が感動したのは、ある時代の ある日のある場所のディテールを、隅から隅まで余さず再現する記憶と目配りです。
 フィギュアを巨大化して現代アートにしたのが村上隆なら、昭和の庶民生活を極小化して現代アートにしたのが高橋勝美のドールハウス…なんて、あたしのゲージツ論など聞きたかないや、ね。

 近代建築遺産を楽しむのがわがヘリテージングなら、近代という時代のひとこまをミニチュア・アート化して楽しむのもヘリテージングではなかろうか…。みたいなことをシドロモドロご説明申しあげ、会場撮影およびブログへの掲載許可を作家ご本人からいただきました。
 実物と写真で見るとは大違いではありますが、写真28枚の長編スクロール大絵巻「名残の陽だまり展」の始まりです。

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会場入り口










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大型作品「馬車駅舎旅館」縮尺は20分の1です










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馬車駅舎旅館の堂々たる正面











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旅館の看板。文字はちゃんと彫って漆がかかってますね。










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旅館の右下の部屋のテーブル、小指の爪に乗っかるような灰皿に吸殻があるのにお気づきかな






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会場はやや暗くなっていて、細かいところは懐中電灯(無料貸出)で照らして見せるところがニクイ演出です



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はた織り小屋を覗き込むひと、縮尺10分の1のはた織り道具一式がこの屋の主を待っています




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田舎家に干されている柿と大根、リアルとしか言いようがない






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左が作家の高橋さん、創作の苦労話が聞けるのも個展会場ならでは




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「向こう三軒両隣」の一軒、割烹着が干され七輪が置かれ、仕立物致しますの貼り紙が…





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これはすごいジオラマです。タバコ屋、交番、映画館、紙芝居屋さん、写真館、新聞配達 懐かしさのオンパレード





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朝日新聞の自転車には印刷された当時の新聞(縮小コピーしたそうです)が、虫眼鏡でもこのくらいにしか見えない








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映画館の入り口にはなんとこんなポスターが








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女の子がのぞいているのは写真館のウィンドーです








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そのウィンドーの中








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写真館の横に紙芝居の自転車がありました





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ちゃんと黄金バットがセットされています。拍子木も置かれている 引き出しのコスれ具合…豆本の世界です





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タバコ屋さんのウィンドーに虫眼鏡を向けてみる








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そういえばタバコ屋の店先ってなぜかブルーのタイル張りでしたね。ホントは10円玉を置いて写真を撮りたかった。多分ウインドーは10円玉で隠れてしまう








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縮尺30分の1の木造校舎、中は圧巻でした。音楽室にはバッハやベートーベンの肖像が、図書館の書棚にはぎっしりと本が並べられ、教室の後ろには子供たちの習字が画鋲で貼られていました


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作家一家が昔暮らしていたという「娘の育った家」台所の瞬間湯沸かし器から、娘の勉強部屋に貼られた不二家のペコちゃんのカレンダーまで、縮尺20分の1の思い出になっていました


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交番です。誰もいないので犬がちん入しようとしています







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デスクには出前のラーメンが。紙袋に入ったわりばし、ナルトにメンマにホウレンソウ…文字通り芸がこまかい





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もっとも気に入った「青森の朝市」日が昇る前の様子を、店の裸電球があたたかく照らしています




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今は田舎に行っても見られない木の電柱と街路灯、質屋の看板がいい味をだしています




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20分の1の朝市、置いたのは普通サイズの虫眼鏡です。リンゴのサイズは推して知るべし。


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アクリル製なのか実に氷っぽく垂れ下がっていたつらら。このほか魚屋、古着屋、八百屋が軒を並べている

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撮影依頼ににっこりと応じてくださった和風ドールハウス作家・女職人・高橋勝美さん 私と同じ昭和19年生まれだそうです。












自ら職人を名乗っていらっしゃいますが、なにからなにまですべて一人で作ってしまう創意の人です。ここでは紹介しきれませんが、全部で24の作品が並べられていました。
こういう人が近代遺産を創ってくれたら、ヘリテージングのジャンルが広がると思うのです。十分に楽しめるヘリテージングになるでしょう。
作品展は3月13日まで開催。間に合うようでしたらぜひお出かけください。


高橋勝美さんのアメブロです
http://ameblo.jp/furusato-katsumi/entry-10791233850.html
(クリックして飛ばなかったら、コピー&ペーストでどうぞ)


ムービーコンテストで「千葉ヘリテージング100選」が大賞を受賞!

千葉県と日本マイクロソフト(株)の協働事業シニア・ショートムービーコンテストで「千葉ヘリテージング100選」が大賞を受賞しました。このコンテストと作品内容は昨年12月23日の「千葉ヘリテージング100選について」というブログに書きましたので、そちらもご覧ください。(左サイドバーの「最近の記事一覧」の7番目をクリック)
受賞式では森田健作知事より賞状をいただきました。いずれ「」千葉ヘリテージング100選・実践編」を企画プロデュースしてみたいものです。
日本マイクロソフト社のサイト(下記アドレス)で作品を見ることができます。

http://www.microsoft.com/japan/citizenship/contest/chiba.aspx

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            前列右から二人目は樋口泰行日本マイクロソフト社社長