半分に包丁を入れて、へたを切り落として、
更に縦に。
青の匂い。
ふゆのうり、と名乗って実は、夏の野菜なのだ。
誤解されやすい子なのよね、
厚い皮を剥きながらつぶやく。
夏の暑さと冷たいもので疲れた胃を、
冬瓜の煮物でやすめる。
鶏のそぼろと、とろりと煮よう。
ーー今度飲みに行こう
昨夜、小刻みに震えた携帯の画面に、
そのメッセージは届いた
なんというか、
昔の恋人に遭遇してしまったのだ。
2年半ほど付き合ったけれど、
私はこてんぱんにふられた。
恋人のように仲の良い友達から、
友達のように仲の良い恋人になって、
恋人でも友達でもなくなった。
それ以来連絡が来ることもなく、
することもできず、
注意深く、姿を目にしないように過ごした。
行き場のない気持ちは、思い出ごと包んで土に埋めた。
音楽や日常の些細な出来事に呼び起こされて暴れるたびに、より硬い殻で包み込み、土をかぶせた。
その後お互いの環境も変わり、
もう会うこともないと思って油断していた。
数年を経た友人たちの集まりで、ばったりと。
ばったりの距離が近過ぎて、逃げも隠れもできず、半ば自棄の気持ちで声をかけた。
せいいっぱい何もなかったふうを装って。
案外と、とりとめのない会話で以前のように笑いあえ、
もう大丈夫、と思った。
それなのに。
緑の硬い皮を削いでしまうと、
中からかき氷のように白くてみずみずしい果肉が現れる。
熟れると皮が厚く硬くなり、
冬までもつから、冬瓜。
長いあいだ堅牢に守りを固めてきた皮も、
とり除かれてしまえば、果肉はやわらかく、煮込まれると透明でとろとろになってしまう。
種とわたを、無心でスプーンでこそげる。
わたは少し固く、種が飛び散る。
スプーンを短く持ちなおして、
いっそう指に力を入れて、種を掻き出す。
ごりごり。
ごりごりごり。
削がれた種が
シンクに染みのように、点々と貼りついていた。