先日書きました通り、今年のゴールデンウィークに滝坂の道を歩きました。終着点は円成寺。運慶のデビュー作で知られる古刹です。今回は円成寺について書いてみたいと思います。

 

円成寺の見どころは入口の看板にまとめられていました。

 

拝観受付を済ませたらまずは相応殿に向かいました。最近建てられた宝物庫で、運慶による大日如来像が間近に拝観できます。運慶はデビュー当初から目を顔の中心部に寄せて造形しているのが面白いです。地獄のミサワ的。まぁそこまでじゃないか(笑)

どんな像か、ちゃんと知りたい方はたとえばコチラからどうぞ。山本勉先生による解説です。

 

次に訪ねたのは本堂なんですけど、

 

本堂前にあります石灯籠が目を惹きました。灯籠の火袋といえば通常は鹿とか松が浮き彫られているもんですけど、ここのはなんか僧兵っぽいのが彫られてます。右手に持ってるのは十文字槍。こんなん初めて見ました。興福寺の宝蔵院流槍術と縁があったりするのでしょうか。

 

腰を入れて、えいやと突いていますよね! 躍動感がある。なんなんこれ? おもろ!

 

それでは本堂に入ります。なお本堂右手には小さなお社が見えますが、国宝です。

 

本堂のなかはこんな感じ。真ん中に定朝様式の阿弥陀如来がいらっしゃって、その前の内陣の柱に二十五菩薩像が描かれています。阿弥陀様も僕好みの良いお顔なんですけど、柱の絵がかなり素敵でした! 

※堂内撮影禁止のため雑誌より転載

 

入口で購入した絵葉書から柱に描かれた絵を切り出してみましょう。ほぼ先頭(前列右柱の下方)にいらっしゃる、死者の魂が乗るための蓮台を捧げ持った観音菩薩。

 

香炉を捧げ持った無辺身菩薩。

 

上の方には三昧王菩薩がいらっしゃって、平籠に入った花びらを散華しています。上2枚の写真にも花びらが舞っている様子が描かれていましたよね。

 

円成寺というとみんな運慶の像のお話しばかりするので完全にノーマークでしたが、柱の絵もたいへん優美で素晴らしいものでした。本堂が再建されたのは室町期で、当時の絵がそのまま残っているようです。絵のことはよく分かりませんが、二尊院で拝見した土佐派の二十五菩薩像とよく似た画風だなと思います。

 

最後に庭園の話も少しだけ。伽藍の前にあるのが池泉庭園で、造成は平安末期。ということは現存最古級の庭園ということになります。当然、国にも名勝に指定されています。いまは周囲をゆっくり歩けるよう手が入れられています。

 

池の中に丸くて低い島があります。その手前に岩だけの島もありまして、形状からは亀島のようにも見えますが、おそらく九山八海じゃないかなぁ。

 

まぁそんな感じ。

いやはや、たいへんに見どころの多い、楽しいお寺さんでした。

 

 

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