2023年春、称名寺璉珹寺(れんじょうじ)に行ってきました。

 

称名寺は村田珠光(侘び茶を完成させたと言われる茶人)が出家したお寺として知られています。普段は完全非公開の檀家寺ですが、毎年5月15日の珠光忌の日だけは一般公開してくれます。

 

お堂内に入ると受付があるのですが、その傍に須弥壇があります。

内陣に入ってもお参りします。(撮影もOKです!) 平安後期の仏師定朝(じょうちょう)系の阿弥陀仏と釈迦如来が安置されています。左の阿弥陀仏が格別美しく、眺め飽きることはありません。(それに比べて右のかたはどういうわけか、なんというかちょっと表現しづらいお顔をしてらっしゃいます。)

 

本堂からお茶席のある建物に移動。掃き清められたお庭が見えます。

 

亭主がこの点茶盤でお茶を立ててくださるのですが、受け取るのは正客(先頭のお客)だけです。それ以外の客は裏からお茶を運んでもらえるので、お作法を知らなくても寛いでお茶をいただけます。

なおこの机、薬師寺の故高田好胤さんと称名寺の住職とで作ったそうです。いろいろな工夫がされていて、でも意図がよく分からぬ部分もあり、使いにくいそうです(笑) でもまぁ、竹と白木の美しい棚です。

 

茶道具の説明は他にもいろいろあるのですが、割愛。でも一つだけ。水差しは「八ッ橋」という銘が付いています。なるほど真上から見たら八ッ橋をデフォルメした形になっていますね。

蓋を開けると、なかの水の高さに合わせてカキツバタが描かれています。すごく可愛い! 


 

外には面白い仕掛けをもった茶室「獨盧庵(どくろあん)」があります。よく手入れされた背の高い生け垣の奥にひっそり隠されています。

 

途中の露地には良い感じに寂びた石造物がいくつかあります。

 

獨盧庵(どくろあん)内部。

かつてここには面白い仕掛けがあった(現在は使用不可)そうですが、それはぜひ現地でお尋ねください。案内してくださるお坊様がいらっしゃいます。

 

本堂から東を望むと若草山の青々とした様子が見えます。

 

称名寺は小さいですが素敵な時間が過ごせますでの、5月15日に奈良に遊びに行けそうならぜひ!

 

そしてもし珠光忌に拝観されるのであれば、あわせて璉珹寺(れんじょうじ)もどうぞ。毎年5月の一ヶ月間だけ公開しておられる奈良市内の小さなお寺です。

裸形の阿弥陀如来像が有名ですけれど、それよりその右手にいらっしゃる観音菩薩立像(平安前期、重要文化財)が抜群の出来です。衣のねじれや皺がとってもリアル。

「観仏日々貼」のリンク先記事の真ん中あたりに、この観音さんの記述があります。

道明寺の観音菩薩立像とか願徳寺の菩薩像(いずれも国宝)に近いレベルだと思いますし、個人的にはなんで重要文化財どまりなのかなぁと思っている像です。
 
 
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