昨年、大阪府藤井寺市の道明寺葛井寺にあります国宝仏像を拝みに行ってきました。どっちもなるほど国宝に選ばれるだけあるよなぁという素晴らしい像でした。でも、大阪府民でもあんまりここの仏さまを知らないんだよなぁ。すごくいいのになぁ。

 

というわけでまずは道明寺からご紹介しましょう。

場所は近鉄道明寺駅から徒歩すぐ。近くに道明寺天満宮がありますのでお間違えなきよう。全く別の境内です。道明寺はメインのお堂がひとつだけのコンパクトさで、地図で見ても見逃してしまいがちです(笑)

ここはご本尊が国宝に指定された十一面観音像です。香木から作られた1mほどの壇像で、だから金ピカではなく真っ黒です(壇像は金を塗らず木地をそのまま残します)。注目すべきは腰布。非常に細かく彫り込まれています。天衣のウネウネもすごいですね。技術的には超高レベルですけど、正直、ちょっと誇示的というか、やり過ぎ感があります。そしてこのやり過ぎ感は唐人の特徴と言えるように思います。(宝菩提院願徳寺の国宝観音像にも同じような超絶技巧性が見られ、やはり渡来人仏師による作品もしくは渡来仏であると考えられています。)

壇像彫刻の最高傑作という世評もある仏像で、毎月18日と25日に開帳されます。

 

お次は葛井寺。この字で「ふじいでら」と読みます。ここの国宝は千手観音像です。千手観音というのは観音様があらゆるひとびとを(十一面はそれを表しています)、数限りない方法で(千手がそれを表しています)救おうとして変化(へんげ)されたお姿です。

全国でもそんなに多くないホントに1000本の手がある千手観音で、そのなかでもいちばん美しいんじゃないでしょうか。

毎月18日にご開帳。

 

葛井寺、道明寺の近くには野中寺というお寺もあります。飛鳥白鳳時代の小さな金銅仏(重要文化財)があり、こちらもやはり毎月18日に開帳されます。仏像好きの方はだいたいこの三つをセットで訪ねることが多いようです。

 

大阪の国宝仏はこのほか3寺にあるのですが、いずれも公開日数がたいへん少ないです(観心寺は年2日、金剛寺は春秋各4日ほど、獅子窟寺は年3日)。月に1日公開されるというのは、じつはまだアクセシビリティが高いほうなんですね(笑)

ということで、ご関心あればぜひ。