アブサンの話 | アンリの思い出と刹那なる心象

アンリの思い出と刹那なる心象

酒・食・旅・美術・映画等の思い出と心象をエッセイとして綴ります。

特別なお酒の話をしたい。
スイス製のアブサン・アルテミジア・カプリシューズである。
ゴッホが飲んでいたのもこのスイス式の蒸留法のアブサンであった。
元々アブサンはスイス人医師が薬として発案したもので、その製法をフランスのペルノー社が買い取り、商品化されたのがいわゆるアブサンである。
一世紀以上前に作られていたそのペルノー社のオールドアブサンを100万円くらいで高田馬場のあるバーが2003年頃オークションで落とし、それをいただいたことがあるが、アブサン・アルテミジア・カプリシューズは、それにほぼ近い素晴らしいアブサンである。
フェンネルは使っていないタイプで味わい深く余韻も長い。
アルコール度数は72度ある。
2005年のスイスでのアブサンの解禁に合わせアブサン作りの名人が一人で研究に研究を重ね作りあげた。
アブサンの入ったグラスの上にアブサン専用の独特の形をした平べったいスプーンに砂糖を載せ、その上から専用のサーバーから水を一滴ずつ垂らして白濁させ飲んでもいいが、私はいつもストレートで飲むことが多い。
 
1対1くらいで氷を入れずに冷たい水で割ってもいい。
その時ほぼ無色の液体がサーっと白濁するのがアブサンの特性だ。
香りが独特なので万人向けではないが、薬草系リキュール、特にアニス系リキュールが心から好きな方は黙って飲んでほしい。
きっと涙が出てくると思う。