オーウェルの日本再生論 -5ページ目

公営選挙サイトの内容の無さに苦言を呈する

  先週衆議院議員総選挙の公示が行なわれ、法律

挙戦がようやくスタートした。テレビでも8月30日の

挙を伝えるCMが流され、ネットでも総選挙を告知す

広告が貼られている。私は試しにそのネット広告をクリ

クして総務省と中央選挙管理会なるものが運営してい

公営の選挙サイトに行ってみたのだが、その内容のな

とレベルの低さに非常にがっかりさせられた。いかにも

人が作ったと言った感じの退屈さと使い勝手の悪さ。

際の候補者や政党に関する情報もほとんどなく、選挙

知以上の役割はほとんど担っていなかった。


  私が一番酷いと思ったのは、サイトの中心的な内容

が衆議院議員総選挙とはどういうものかと言う話や投票

の仕方に関する説明になっていた事だ。選挙のサイトな

のだからそういった点について説明するのは構わないが、

多くの有権者が知りたいのは自分の住んでいる選挙

の候補者が誰でどんな人であるといった身のある情報

であり、ほとんどの有権者は今更衆議院や投票方法に

いて知りたくてサイトに来る訳ではない。そもそも投票

仕方など説明されるまでもなく投票所へ行けばわかる

とだ。こういった事は本来端っこの方に初心者や子供

けの項目として置いておけば良いものであり、サイトの

心に据えるようなものではない。


  しかし、実際には選挙の告知広告と総選挙と投票に

関する項目が逆にトップページのほとんどを埋め尽くし、

選挙区の候補者リストの項目は端の方に小さくあるだけ

だ。しかも選挙区のページに行っても選挙区に関する地

図などの視覚的な情報が欠けているため自分の選挙区

が何県の第何区であるか覚えていない人は自分の選挙

区の候補者が誰かさえわからない。候補者のリストにし

ても名前と所属政党が載っているだけでほとんど役に立

たない。また同時に行なわれる最高裁判所裁判官の国

民審査については、裁判官の名前のリストすら載せてい

い。これでいったどうやって審査をしろと言うのか。

票率を上げるために立ち上げられたサイトだとは到底思

えない不親切さと使い勝手の悪さである。


  たぶんこのサイトは総務省と中央選挙管理会なるも

のに属している役人達がこれまでの慣例に従ってユー

ザーの事など考えないで作ったのだろう。しかし、国民の

税金を使ってサイトを立ち上げ運営をしているのだから、

もっと有権者の身になって考え、選挙の投票率が上がる

ような工夫をしても良いものだ。今のままでは中身のない

饅頭のようなもので、その存在意義はないに等しい。もっ

と言えば、使い勝手の悪いサイトにする事で投票率を下

げたいのではという穿った見方さえできるほどだ(投票率

が下がると組織票を多く持つ現政権にとって有利となる)。


  先ほど民間のポータルや新聞社が立ち上げた選挙

サイト少し調べてみたのだが、公営のサイトと比べて

り使い易いものになっている。YAHOOのみんなの政

サイトなど非常によくできていて、候補者の写真と基本情

報、HPへのリンクや各党のマニフェストを要約したもの、

それに裁判官の情報についてもちゃんと載せている。そ

れに引き換え公営の選挙サイトは国民に選挙に関する

情報を提供し、投票所に足を運んでもらうようにるとい

う役目があるにも関わらず酷い内容になっている。期待

するだけ無駄なのかもしれないが、選挙広告をクリックす

ると行けるようになっているのだからもう少しまともなサイ

トにしてもらいたいものだ

食料自給率をどう見るかー金額ベースとカロリーベース

  先週のサンデープロジェクトで、「食糧自給危機は本

か、自給率40%の虚実」という特集を放送していた。

まで食料自給率の議論に際してあまり語られてこ

った様々な側面を浮き彫りにしたなかなか面白い内容

あった。今回はその中で私が重要だと感じたいくつか

点について紹介すると共に、私の考えも合わせて述べ

ておきたいと思う。


  まず最初に押さえて置きたいのは、食料自給率には

金額ベースとカロリーベースという二つの計算方法があ

る事だ。日本の食料自給率は40%と言う時の食料自給

率はカロリーをベースにしたもので、金額ベースに直すと

その数字は66%にまで跳ね上がる。どうしてこういう事

になるかと言うと、畜産物や野菜などの国内自給率は意

外と高いのだが、カロリーベースで計算すると畜産物は

ほとんどカウントされなくなり、野菜は他の穀物や畜産物

と比べてカロリーが低いため自給率が大きく下がる事に

なるからだ。(畜産物の自給率は飼料の自給率によって

決まる。日本は飼料のほとんどは輸入に頼っているため

国内で作っていても畜産物の自給率は低く抑えられる)


  カロリーベースの食料自給率を採用する理由として

は、食糧安全保障上世界で食料不足や食料高になり、

日本への輸入が途絶えた場合を想定すると、金額べー

スよりも実体がわかりやすいという利点がある。例えば、

畜産の飼料が輸入されなくなれば、畜産物の生産はス

トップしてしまうが、金額ベースの数字ではそういった実

体は反映されない。また、生命を維持するためには野

菜よりもカロリーの高い穀物などの方が大切であり、カ

ロリーベースを使う意味はある。ただ一方で、日本は肥

料も機械の燃料も外国に頼っているのだから、そういっ

た点を含んでいないカロリーベースの自給率では真の

食糧安全保障上の自給率をを反映したことにはならな

いとの批判もある。それに加えて、カロリーベースだと食

べられずに廃棄される食糧も供給カロリーとして計算さ

れるため、分母が大きくなり食糧自給率は大きく下がる。

ちなみに廃棄分を除いて計算すると食糧自給率は54%

カロリーベース)まで跳ね上がる事になる。


  このように食料自給率については様々な見方や批

判があるのだが、だからと言って食料自給率を改善しな

くて良い言う事にはならない。日本の食料自給率が低い

事は紛れもない事実であり、金額ベースで見ても日本の

食料自給率は先進国で下から2番目だ。肥料や機械の

燃料についても、輸入に頼っているから食糧自給率を上

げても仕方がないではなく、肥料や燃料も自給していけ

るよう努力するのが筋である。実際それは不可能な事で

はないし、そういった方向へもって行く政策の努力が必要

だ。また、廃棄食糧を食料自給率の分母から外せば、自

給率が上がるのは事実だが、実際問題として、どんな状

況下であろうと小売における廃棄ロスや食べられずに捨

てられる分は必ず出てくる。それを考慮しないで、廃棄分

を除いた食料自給率を出して喜んでもあまり意味はない。

何にしてもこれはカロリーベースだけの問題ではなく、金

額ベースの食糧自給率についても言える話だ。


  それから番組では、日本の農産物の輸入額が他の

と比べてそれほど高くない事を上げて(日本は輸入額

で4位、1人当たりの輸入額で5位)さも日本の海外への

食糧依存度が高くないかのように話していたが、それは

誤りである。例えばアメリカは農産物の輸入額が飛び

けて高いが、それでも金額ベース、カロリーベース共

100%を優に超える自給率を誇っている。これを、ア

リカは大量の農産物を輸入しているが、それをはるか

越える量を輸出している事を意味する。つまり、食糧

機が起こっても輸出を規制すれば、自国内で完全に

糧を賄っていけるのだ。上位に入っている他の先進国

ついても食料自給率が高ければある程度同じ事が言え

るだろう。一方日本は輸入額は多いが、輸出はほとんど

しておらず、国内自給率も低いので食糧危機が起これば、

国内が食料難に見舞われる事になる。まったくもって立

場が違うのである。


  話は変わるが、番組ではもうひとつ重要なポイントと

して農水省がカロリーベースの日本の低い食糧自給率

を強調したがるのは、食料自給率の向上という大義名

分によって省の予算と権限を増やそうという意図がある

からだと指摘していた。この見方はほぼ100%当たって

るだろう。かつて農水省は金額ベースの自給率も発

ていたが今はカロリーベースの数字だけを出してい

る。これは、数字の低いカロリーベースを強調する事で

率が低い事を印象付けるようとしているためだ。ま

た、が最優先となる縦割りの官僚行政を考えると、

それの意図は逆に考えにくいとも言える。もし農水

あらぬ疑いをかけられたと考えるのであれば、金額

スの数字も一緒に公表するようにするべきだろう。

かしそよりも、農水省が食料自給率の向ためと言

っての予算を使っておきながら、まったくもっ

残せいない事の方が重大な問題である。政

水省僚も税金を無駄に費やしてきた事を

罪し、を取るべきだろう。

マヒからの回復に光ー脳科学による新しい治療法

  先週ガイアの夜明けという番組で、脳科学を取り入

れた商品開発やその知識を活かした新しいリハビリ治

療などについて紹介していた。特に私が感銘を受けた

のが、東京慈恵会医科大学が進めている磁気刺激治

療という後者のリハビリ治療についてである。これは脳

の機能の仕方を逆手に取って正常に機能している方の

脳の働きを弱める事で、失われた脳機能を回復させ

ようとするものだ。脳疾患などで回復期を越えてマヒが

残ってしまった場合にも、このリハビリ治療を行なう事で

マヒしている部分の機能を回復させる事ができると言う。


  これまで脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳疾

患によって負った後遺症は、最初の6ヶ月間は回復が

見込めるが、その後はほとんど回復が認められなくなり、

リハビリをしてもあまり効果がないとされたきた。しかし、

この磁気刺激治療という新しいリハビリ治療を活用すれ

ば、回復期の後の慢性期でも、一定の回復効果が認め

られると言う。番組では脳出血で右半身にマヒが残って

しまった女性が、このリハビリ治療を受ける様子を追っ

いた。たった2週間の治療であったが、今まで右手で

物を掴めなかったのができるようになるという驚きの回

復ぶりを示していた。


  この磁気刺激治療の仕組みを簡単に説明すると以

のようになる。健康な脳は本来、右左の脳がお互い

に抑制って働いているのだが、片方の脳がダメー

を受け能が弱くなるとそのバランスが崩れ、正常

方の脳メージを負った方の脳に対して過剰に干

するようる。脳がダメージを受けてマヒが残ってし

った合、この正常な方の脳の過剰な干渉がマヒか

の回復を妨げていると考えられる。故に正常な方の

に磁気を当ててその機能を一時的に少し弱らせる事で、

ダメージを負った側の脳が干渉を受けない状態になり、

リハビリの効果を高まるというのだ。治療は1日2回20

分づつの磁気刺激とリハビリの組み合わせたもので、2

週間ぐらいの短期集中型でやっているそうだ。


  しかし、この治療法はまだ研究段階にあり、院側

試験的に治療を行ないデータを取っているだけでどこ

でも受けられる訳ではない。ただ、今の所被験者全員に

何らかの回復が認められ、副作用も見られないことから

将来的にはかなり期待できるのではないかと思う。現在、

医療技術の発展によって脳疾患になっても命を取り留め

るケースが増え、半身マヒなどの後遺症が残るケースも

増えている。そのせいで生活するのに支障を来たしたり、

社会復帰する事が難しくなるなど苦しんでいる患者の方

はたくさんいるし、患者さんを介護をする家族の側の負

担も軽視できないものがある。その意味でこういった新し

い治療法が出てきた事は彼らにとって希望の光となるな

るはずだ。この磁気刺激治療が一日も早くマヒの治療法

として確立され、多くの人が受けられるようになる事を願

わずにはいられない。