真山に1部屋余っているからうちに住まないか?と言われ、私はありえないと思った。
既婚者男性と同じ屋根の下に住むなんて。
ちなみにわたしは奥さんも子どもも会ったことがあるし、真山とは恋愛関係には絶対にならない。
ただ、常識的にもやばいなと思った。
私が困った顔をしていると、真山は言った。
「これはシェアハウスだよ!部屋は鍵付きだし、ここからここまではさやちゃんのスペース!」
真山のプレゼン力はすごい。
いろいろな話をされ、確かに今の家も一軒家で1人一部屋で住んでいるので変わりないな、と最後は引っ越しに前向きになっていた。
ただ、真山と2人っきり(+犬)というのが問題だ。
正直、私は犬とは住みたい。
犬の散歩もえさをあげることもそうだが、定期的に洗ったり、伸びすぎた毛をカットすることすらやっていた。
もう私の犬!!
(違う。)
そして、私が住んでいるシェアハウスには、実は親友も一緒に住んでいた。
草薙との喧嘩の間に入ってくれた友達だ。
その時、親友は彼氏と同棲するために家を探している時期だった。
親友が引っ越すのであれば私も引っ越したいなと思っていたタイミングとも重なり、真山の家に引っ越すのもありかな、と思ってしまった。
住む場所も大きく変わらないし、ちょうど良さそうだった。
真山は家賃5万で光熱費は支払わなくてよい、と言ってくれた。
私が住んでいる地域は一人暮らしをしようと思ったら家賃8〜10万はかかる。
そこに5万で住めるという安さにも惹かれ、真山にも説得され、結局私は引っ越すことに決めた。
その時、コロナ禍で少し収入も下がり気味だったのもあったので、家賃を抑えられるのはありがたかった。
親友が先に引っ越してしまうと、私がシェアハウス残されてしまい、それが寂しくて嫌だったので、親友よりも先に引っ越そうと決めてさっさと引っ越しの準備を始めた。
真山の住んでいる物件は2LDK。
1部屋は私の部屋となった。
レンタカーを借り、友達に手伝ってもらい、引っ越しをした。
引っ越し当日には真山と2人で鍋をした。
真山は
「よろしく!」
と手を差し出してきて、握手をした。
そこから奇妙な同居生活が始まった。
実は、私が引っ越したあと親友は同棲をする予定だった彼氏と別れることになり、結局一人暮らしをすることになった。
親友も新しい引っ越し先が決まり、
新しい家の場所を聞いて驚いた。
私と真山の家から徒歩30秒の場所だったのだ。
親友も頻繁にうちに来ることになる。
そして、私は犬との生活が始まった。
朝になると犬が私のベッドまできて顔を舐める。
(嬉しい)
それで起きて散歩に行くという生活。
真山は超多忙なので日付が変わってから帰宅することも多かった。
時間がかぶれば一緒に食事をするし、犬の散歩に一緒に行くこともあった。
当時、クラブハウスという音声でやりとりをするSNSが登場し、流行っていた時期だった。
クラブハウスは最初招待制で誰かに招待されないと参加することができない。
真山はクラブハウスをいち早くダウンロードし、家にいる時もいろいろな人と話していた。
私は横ですごいな、さすがコミュ力おばけだなと思いながら見ていた。
ある週末、真山が
「俺、昨日クラブハウスで仲良くなった人と今夜渋谷で飲んでくるわ!」
と言って出かけて行った。
本当にすごいな。
SNSで知り合った人と翌日飲みに行くなんて、さすがすぎる。
私は家で仕事をしたり、犬の散歩をしたりして過ごしていた。
夜になり、真山からLINEがきた。
"さやちゃん、これからみんながうちに来ることになった!うちで飲み直そうってことになって・・・"
まじかよ!
急いで部屋を掃除した。
何か作った方がいいのかな・・・?
何を思ったか私は米を炊き、手巻き寿司を作った。
真山以外に、3人の人がきた。
みんなノリのいい人たちでとても楽しかった!
私だったら絶対に知らない人と飲みに行ったりしないが、こうやって出会うのも楽しいなと思った。
真山の行動力やコミュ力、プレゼン力などは本当に尊敬できる。
しかも真面目な時はしっかりやるが、それ以外はふざけて陽気なおじさんで人に好かれるタイプだ。
私にないものを持っていて羨ましかった。
そのあとも定期的にクラブハウスで仲良くなった人とは飲みに行ったり、うちで飲んだりしていた。
一回すごく楽しかったのが、5人泊まりに来てくれて、東京以外にも福岡から友達がきた。
みんなで遅くまで飲んだり、ゲームをして、布団を敷いて修学旅行のような感じで泊まったことがあった。
みんなでヘッドスパごっこをしたり、
(美容関係で働いている友達が多かった)
しょうもない話で盛り上がった。
真山と
「この家が広くてよかったね。」
と話したのを覚えている。
シェアハウスの時とはまた違う楽しみが増えて、今の生活も楽しかった。
続く。

